建設産業・不動産業

公共工事の入札及び契約の適正化の推進について(入札契約適正化法に基づく地方公共団体あて要請)

国総入企第24号
総行行第157号
平成15年10月31日
 
各都道府県知事 殿
 
国土交通省総合政策局長
総務省自治行政局長
 
 
公共工事の入札及び契約の適正化の推進について
 
 公共工事の入札及び契約の適正化については、平成14年5月14日付け通知文書「公共工事の入札及び契約の適正化について」及び平成14年10月31日付け通知文書「公共工事の入札及び契約の適正化の推進について」において、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(以下「入札契約適正化法」という。)の厳正な運用をお願いしてきたところです。
 しかしながら、今般、入札契約適正化法に基づき行われた、公共工事の各発注者による「入札契約適正化法」及び「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(以下「指針」という。)の措置状況調査の結果によると、同法により各発注者に義務付けられた事項については、一定の改善は見られるものの、指名基準の策定・公表、金額変更を伴う変更契約の内容及び変更理由、随意契約の相手方の選定理由の公表、施工体制台帳の写しの提出の求め等については、発注業務執行体制の整わない一部の市区町村において、依然として対応に立ち遅れがみられます。
 これらの義務付け事項については、入札及び契約の適正化のため各発注者が特に一律に遵守しなければならない基本的な事項ですので、各地方公共団体におかれては、他の発注者の具体的な対応状況や今般策定の各種マニュアル等も参考にしつつ、速やかに実施するようお願いします。
 一方、指針において発注者に努めるよう求めている事項の実施状況については、調査結果によると、指針策定後着実に改善が図られていますが、第三者機関の設置や入札時における工事費内訳書の提出等、発注者による実施が不十分な事項も見受けられます。
このため、入札契約適正化法第18条に基づき、各地方公共団体におかれては、適正化指針に照らして特に必要があると認められる以下の措置を講ずるよう、大臣の命により要請します。
 各都道府県におかれては、貴都道府県内の市区町村においても、入札及び契約のより一層の適正化が進むよう、本通知の趣旨の十分な周知をお願いします。
 
 
1.入札及び契約の過程並びに契約内容の透明性の確保
 
(1)入札及び契約に関する情報の一層の公表の推進
 競争参加者の経営状況及び施工能力に関する評点又は当該点数と工事成績その他の各発注者による評点の合計点数、等級区分を定めている場合の基準の公表は、入札手続きにおける透明性及び公平性を確保するための基本的な事項であることから、未だこれらの公表を実施していない地方公共団体はできる限り速やかに公表すること。
 また、指名競争入札における指名基準の策定・公表については、指名行為に係る発注者の恣意性を排除し、不正行為の未然防止に資するものであることから、各地方公共団体は速やかに策定し、公表すること。
 さらに、予定価格の事前公表については、その価格が目安となって競争が制限されること、建設業者の見積り努力を損なわせること、談合が一層容易に行なわれる可能性があること等にかんがみ、各地方公共団体においては、地域の実情を踏まえ適切に判断すること。なお、低入札価格調査基準価格及び最低制限価格の公表についても、予定価格の取扱いに準じて適切に判断すること。
 
(2)第三者機関等の活用による入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性及び公平性の確保の推進
 入札監視委員会等の第三者機関が設置されていない地方公共団体においては、早急に設置すること。なお、市区町村については、今般策定の第三者機関の運営に係る基本指針を参考として設置に努めるとともに、各地方公共団体の規模、第三者機関の運営コスト等の実状も踏まえ、複数の地方公共団体による第三者機関の共同設置、地方自治法第195条に規定する監査委員を活用するなど既存の組織を活用すること等により、入札及び契約の透明性の確保と不正行為の排除に積極的に努めること。
 
(3)苦情等への適切な対応の推進
 入札及び契約に係る透明性を確保し、かつ公正な競争を促進するため、非指名理由の公表を推進するとともに、入札及び契約の過程に係る苦情に対する処理方策の策定及び公表を早急に推進すること。
 また、手続の透明性を一層高めるため、入札監視委員会等第三者機関の活用も含め、入札及び契約に係る苦情を中立公正に処理する仕組みを整備すること。
 
2.公正な競争促進のための入札及び契約の方法の改善
 
(1)適切な入札方式の実施及び適正な企業評価に基づく受注者選定の推進
 入札方式については、工事の規模、発注に係る業務執行体制等を踏まえつつ、一般競争入札、公募型指名競争入札又は工事希望型指名競争入札等を適切に実施すること。
 特に、昨今、一般競争入札の拡大が進む一方で、施工能力の乏しい不良・不適格業者の応札が指摘されていることから、工事の品質の低下を招かないよう、工事の監督・検査及び工事成績評定、資格審査の強化を図ることとし、工事の監督・検査基準及び工事成績評定の要領の策定、資格審査や監督・検査体制の整備等業務執行体制の充実に努めること。
 なお、十分な技術力を有しない地方公共団体については、企業評価に係る 技術審査、監督・検査等における外部機関の活用等に努めること。
 
(2)入札時における工事費内訳書の提出等の促進による談合等不正な入札の防止等
 入札時における工事費内訳書の提出は、談合、ダンピング等の不正な入札の防止に特に有効であるため、各地方公共団体はこれを早急に実施し、不正行為防止に努めること。
 なお、技術者の不足等業務執行体制が不十分な地方公共団体は、他の発注者の具体的な活用方法を参考にしつつ、工事費内訳書の有効な活用を図ること。
 
3.低入札価格調査制度の適正な実施等によるダンピング受注の防止の徹底
 
 いわゆるダンピング受注は、工事の手抜き、下請けへのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながりやすいことに加え、公正な取引秩序を歪め、建設業の健全な発達を阻害するおそれがあることから、低入札価格調査制度及び最低制限価格制度を適切に活用し、ダンピング受注の排除を徹底すること。
 このうち、低入札価格調査制度は、入札参加者の努力によるより低い価格での落札を促進しつつ、公共工事の品質確保の観点から、契約の相手方となるべき者の申込みの価格で契約内容に適合した履行がされないおそれがあるかどうかについて調査する制度であるから、その運用に当たっては、低入札価格調査制度の調査要領の策定及び公表を推進するとともに、調査の実績を踏まえた調査基準価格の適宜見直し、調査結果の公表等を推進し、適切な調査の実施及びその調査結果の有効な活用を図ること。
 
4.談合に対する適切な対応による不正行為の排除の徹底
 
 入札契約適正化法第10条に基づく公正取引委員会への通知義務を適切に実施するため、談合情報を得た場合の取扱要領の策定及び公表を推進することと併せて、談合情報対応のための内部での連絡・報告の体制を整備し、不正行為の排除の徹底に努めること。
 
5.適正な施工の確保
 
(1)施工体制台帳の写しの発注者への提出の徹底
 適正な施工体制の確保のためには、入札契約適正化法第13条において受注者に提出が義務付けられている施工体制台帳の提出により現場の施工体制を把握し、適切に点検を行うことが重要である。このため、各地方公共団体においては、公共工事の監督・検査の充実と併せて、受注者による施工体制台帳の提出を徹底し、今般策定の施工体制台帳等の活用マニュアルを参考に適正な施工体制の確保に努めること。
 
(2)施工体制把握のための要領、工事の監督・検査の基準の策定及び公表の推進
 公共工事の適正な施工を確保するとともに、施工能力の乏しい不良・不適格業者の排除の徹底を図るため、各地方公共団体においては、施工体制把握のための要領、工事の監督・検査基準等の策定及び公表を推進すること。
 なお、当該要領を未策定の地方公共団体については、既に策定・公表している他の発注者の要領を参考にしつつ、早急に策定に取り組むとともに、技術者の不足等業務執行体制の整わない場合には監督・検査の外部機関への委託も含め、工事の監督・検査の充実に努めること。
 
(3)発注者支援データベースの活用の推進
 各地方公共団体においては、発注者支援データベースを積極的に活用し、入札参加者の選定及び落札者の決定に当たって、入札参加者又は落札者が配置を予定している監理技術者の工事現場への専任を的確に確認し、適正な施工体制の確保に努めること。
 
6.電子入札の導入等の推進
 
 電子入札は、事務の簡素化や入札に係る費用の低減が図られるとともに、併せて入札公告等の情報をインターネットで公表することにより、競争参加資格を有する者が公共工事の入札に参加しやすくなり、競争性の一層の向上に資するものであることから、可能な限りその導入に努めること。
 なお、電子入札の導入に当たっては、導入に要する地方公共団体の負担増も踏まえ、地方公共団体が入札手続の電子化を計画的かつ円滑に検討することができるよう、国においては必要な施策を講じているところである。
 
 

ページの先頭に戻る