加古川でもっとも観光客が訪れる場所として、「闘竜灘」があります。「闘竜灘」は、東播磨の平野を貫流する加古川の多くの名勝のうち、最も圧巻といわれるものです。川床いっぱいに奇岩怪石が起伏し、ここにきて流れは一気に加速します。この激しい流れが、岩を乗り越えて走る様は巨竜の躍動にも似ており、古来より文人墨客が度々訪れ、多くの詩歌が詠まれました。この滝はもと「双龍灘」と呼ばれていましたが、幕末の詩人・梁川星厳(やながわせいがん)がここに遊び、「闘竜灘」と題する七言絶句を賦したことから、その漢詩にちなんでこの名が付けられました。滝のやや下流西岸の座の浜には、近世には高瀬舟を牛耳った滝野船座の建物や倉庫があり、今でもその面影を残しています。
また闘竜灘は“飛び鮎の名所”として鮎漁が盛んで、5月1日の解禁日には太公望を楽しませてくれます。特に鮎の習性を活かした「筧どり」は、当地独特の漁法として知られ、5月3日(旧4月8日)の「光明寺の花祭り」や「鮎まつり」とともに初夏の滝野の風物詩にもなっています。