世界に例を見ない速度で進む人口減少。超高齢化。2008年をピークに減少局面に入った日本の人口は2050年には1億人を割ると推計され、同時に2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる。
こうした少子高齢化は、労働供給力の減少のみならず、将来の経済規模の縮小や生活水準の低下を招き、経済の持続可能性をも危うくする。
日本社会がこれからも活力を維持していくためには、若者も高齢者も、女性も男性も、1人ひとりの住民誰もが意欲・能力を発揮し、社会に参加できる環境をつくることが不可欠である。一方、少子高齢化は日本だけの課題ではない。
世界に目を転じれば、ヨーロッパやアジア諸国においても今後急速に高齢化が進むことが見込まれている。
他の先進国に先駆け、超高齢社会に対応したあらゆるバリアフリー化を進めることは、「課題解決先進国」として我が国が世界の課題解決に貢献することができるフロンティアでもある。誰もが安心して、活躍できる社会の構築へ。
いま私たちが真正面から取り組まなければならない課題である。
高齢者のみならず、障がい者、妊婦、子どもなどあらゆる人が生活を送る上での障壁をなくすために、2006年に「バリアフリー法」を制定。公共交通機関の車両や旅客施設、道路等の歩行空間、公共施設等のバリアフリー化について具体的な数値目標を設定するとともに、バリアフリー化を図るための施設改修やノンステップバス・福祉タクシー等の導入に対する支援を実施しています。また、2020年のオリンピック・パラリンピック大会に向け、開催地である東京において先進的な施設を含めたバリアフリー化を集中的に推進。超高齢化が進む我が国のベストプラクティスを内外にアピールする取組みを進めていきます。
子育てに適した住宅の確保を支援するため、公的賃貸住宅制度(地域優良賃貸住宅)において「子育て支援タイプ」を創設。戸建て空き家等を子育て仕様に改修して供給する取組みへの支援を拡充しています。また、既存のUR賃貸住宅や公的賃貸住宅団地において、保育所や幼稚園、放課後児童クラブ等の子育て支援施設を誘致する取組みを推進。子育て世帯の利便性を向上させ、子育てしやすい環境作りを進めています。
子育てや介護について世代間でお互いの暮らしを助け合い、健やかに安心して暮らせる環境を作ることも重要なテーマです。このため、三世代同居に対応した良質な新築住宅の取得を支援しているほか、三世代同居に対応した住宅リフォームを行う場合に税制上の特例措置を講じています。また、子育て世帯や高齢者世帯等と、支援する親族世帯が近居する場合におけるUR賃貸住宅の家賃減額措置(近居割)を拡充。家族の支え合いによる子育てや介護をしやすい環境を整備しています。