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新たなモビリティ社会の
実現へ。
シームレスな移動環境に
オールジャパンで挑む。

総合政策局 公共交通政策部 交通計画課 課長補佐

小川 洋輔平成24年入省

[ Career ]

H30.12 総合政策局公共交通政策部交通計画課課長補佐
H30.6 総合政策局公共交通政策部交通計画課主査
H28.8 米国留学(コロンビア大学)
H26.6 住宅局市街地建築課法規係長
H25.7 観光庁総務課法規係
H24.4 観光庁総務課企画室

新たなモビリティ社会の実現へ。
シームレスな移動環境にオールジャパンで挑む。

私は現在、総合政策局公共交通政策部交通計画課で、MaaS(マース。Mobility as a Serviceの略称。)をはじめとする新たなモビリティの推進に取り組んでいます。我が国の交通の分野においては、都市部では道路混雑、地方部では少子高齢化の深刻化等に伴う地域の交通サービスの縮小や移動そのものの縮小、さらにはドライバー不足が発生するなど、様々な問題が発生しています。このような諸課題の解決に当たって、MaaSは大きな可能性を秘めています。MaaSは移動をサービスとして捉える概念ですが、わかりにくいため、具体例で説明してみます。あなたは、お母さんの誕生日のために、プレゼントを買いたいと考えています。お店に行くためには、どのような交通手段を使って、どのように向かうのがいいでしょうか。それは鉄道かもしれませんし、バスかもしれません。あるいは晴れているので、自転車を借りてサイクリングするのもいいでしょう。そのような複数の移動手段について、検索をして、(自転車などを借りる)予約をして、(運賃などの)決済を、アプリなどで一度にできると便利ではないでしょうか。そして、それがプレゼントを売っているお店のクーポンなどと連動していたらなおさら。MaaSの指し示すものはとても広いですが、例えばこのような社会を目指して、最近、日本を含めた世界中で取組が進んでいます。交通計画課では、省内の都市局及び道路局と共同で、「都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会」を立ち上げ、「日本版MaaS」の実現を目指して議論を重ねています。MaaSを実現するためには、ソフト面だけではなく、ハード面・インフラ面での議論が不可欠です。例えば、自動運転を前提としたMaaSを構築する際に、どういう駐車場が必要となるでしょうか。あるいは、乗り換えを検索したときに乗換えルートが提示されたとしても、物理的な空間において何分も歩かないといけないとなると、本当の意味でのシームレスな移動は実現できません。まさに、省全体で取り組むべきテーマであり、ソフト・ハードの両方にまたがる国土交通省の強みが発揮される分野です。そしてもちろん、民間の力も欠かせません。MaaSは民間での取組が先行していることから、最近では民間の事業者と意見交換を頻繁に行っており、多いときには一日のうちに3、4件、MaaSについて議論を重ねています。MaaSは新しい分野のため、鉄道会社やバス会社といった従来の交通事業者さんだけではなく、IT企業、コンサルティング会社やデベロッパー等、これまでは交通に取り組んでこなかった多分野の企業が参入している点にも大きな特徴があります。MaaSはまさに政府だけではなく、従来の交通事業者をはじめとするあらゆる分野の民間の力を結集し、オールジャパンで挑まないといけないものです。MaaSはまさにこれからの分野であり、2019年がMaaS元年とも言われています。業務では手探りのことが多いですが、その分、やりがいも多く感じます。

新たなモビリティのあり方を世界に発信、
世界経済フォーラムのカウンシル。

そのように国内でのMaaSの推進・普及に取り組んでいる中、海外から一つの大きな話が持ち込まれました。世界経済フォーラムで新たに「グローバル自動運転・都市交通カウンシル」を立ち上げるので、石井国土交通大臣に共同議長として就任していただきたいという依頼です。世界経済フォーラムの年次総会はスイスのダボスで開催されることから、通称「ダボス会議」と呼ばれ、世界各国の官民のリーダー達が集まる舞台です。ここに国土交通大臣が出席するのは初めてのことであり、世界経済フォーラム事務局からの、共同議長として日本にカウンシルの議論をリードしてもらいたいという強い期待の表れでもあります。しかし、自動運転もMaaSもまだ未来が見通せない中、世界のモビリティ分野の官民のリーダーたちに対して、日本として何を訴えて、世界に何を発信するべきなのか。まずは日本語で何度も議論を重ねて、ふさわしい内容を作り上げていきました。そして今度は訳した上でさらに話し合いを続けて、英語としてしっかりと伝えたいことが伝わる中身になっているのか、検討を続けました。最終的には、政府の役割として「自動運転を前提とした新たな規制・制度の設計」、「シームレスな交通結節点等のインフラ整備」、「データの共有・活用を可能とする環境整備」等が重要であること、カウンシルが今後の活動を進めていく上で、①データのアクセシビリティの向上など官民連携、②自動運転車の国際的な安全基準の策定やサイバーセキュリティなど国際協調、③安全で安心できる質の高いモビリティサービスの提供や地方部への考慮など「利用者中心」の3つの観点を重視すべきという内容でカウンシル当日を迎えました。発表内容に他のカウンシルメンバーも賛同、今後の会合においても、議題として取り上げられることとなりました。国際的な業務の大変さとともに、その醍醐味を感じることもできる経験となりました。

国土交通省で培ってきた経験を、
日本の成長に活かしたい。

現在は交通分野の業務に就いておりますが、これまでの国土交通省での多様な経験が活きる機会が多いと日々感じております。例えば、観光。私は入省して最初に観光庁に配属となり、訪日外国人の数をいかに増やすか、旅行会社がどうすれば魅力的な旅行商品を提供しやくなるか等について業務経験を積んできました。実は、MaaSの議論においても、観光は大きなテーマの一つです。交通をサービスとして捉えるという考え方は、パックツアーという旅行商品の形で、観光の分野で一部先行しています。また、人の移動の流れを考えるという意味でも、住民と並んで観光客の存在は大きな影響を与えます。もちろん、留学中の経験も活きています。大学院では統計学や計量分析についての授業を取り、ビッグデータをどのように活用するかについて実践的に学ぶことができました。MaaSの分野でも、データ連携は重要なテーマの一つであり、それについて基礎的な知見を得ることができたことは、今でも役立っています。最初からこのようにつながっていくと思っていたわけではないですが、幅広い分野を所管している国土交通省で経験を培ってくることができたからこそ、今の業務につながっているのではないかと思います。

〔 私の休日の過ごし方 〕

米国留学中は色々な場所へ旅行しました。NBAが好きだったため、滞在中に全30チームを見て回ろうと考えて、全米各地を訪問。インディアナポリスやオクラホマシティーなど、普通の観光であれば訪ねないような街にも行けたことはいい思い出です。同じ米国内であっても、大都会もあれば地方都市もあり、住んでいる人や気候風土も様々です。同じNBAの試合でも、スタジアムの雰囲気や応援の仕方も少しずつ異なり、最終的に目標を達成する中で、米国の多様性を感じ取ることもできました。