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島国日本の
魅力を、港から、
高めていく。

港湾局産業港湾課クルーズ振興室 課長補佐

稲葉一考平成22年(2010年)入省

[ Career ]

H30.5 港湾局産業港湾課クルーズ振興室課長補佐
H28.9 港湾局海岸・防災課危機管理室専門官
H28.4 港湾局産業港湾課産業連携企画室・官民連携企画室専門官
H26.4 人事院給与局給与第2係長
H23.4 北海道開発局札幌開発建設部札幌道路事務所工務課工務第1係
H22.4 北海道開発局建設部道路維持課防災第1係

急増するインバウンド需要に、
高い満足度で応えられる国へ。

島国である日本には、長い海岸線に数多くの港があり、それぞれに特徴や魅力があります。こうした港の効果的な活用を促していくことが港湾局の役割のひとつ。その中で私は現在、海外から日本に来るクルーズや日本を発着するクルーズの振興を手掛けています。近年、中国を筆頭にアジアにおけるクルーズ人口が増加し、10年前の約3倍に拡大。日本への寄港数も2017年に2764回と過去最高になり、訪日客数も252.9万人と急増しています。クルーズ旅行の利点は、港から直接観光地にアクセスできること。訪日クルーズ客や日本人クルーズ旅客に日本全国を訪れて満足していただくと同時に、インバウンド効果を全国津々浦々に波及させていくことが私たちのミッションだと考えています。

そのために、政府が掲げた目標は「2020年に訪日クルーズ旅客500万人」を達成すること。様々な施策を実施していますが、そのひとつが「お断りゼロ」の実現を目指した、クルーズ船の受け入れ環境整備です。海外のクルーズ船は大型船が多数ありますが、日本には大型クルーズ船を受け入れられる十分な大きさの岸壁のある港が少なく、そこではクルーズ船を受け入れられません。その対策として進めてきたのが、既存岸壁を活用した港の整備です。既存の貨物船用の岸壁を延伸するなど改良を加えることで、専用の岸壁を設けることなく、最低限のコストでクルーズ船に対応できるようになります。これにより、長崎や博多などの大型港だけでなく各地に寄港できるようになり、クルーズ船が来訪した港湾の数も、平成26年の108港から平成29年の130港に拡大しています。

企業も地域も嬉しい体制を、
官民連携で築きあげる。

私たちが手掛けるフィールドは、クルーズ船の寄港から寄港地における観光に至るまで幅広く、港湾管理者、クルーズ船社、旅客、二次交通や観光地をはじめとした地域の受入れ側など様々なプレーヤーの動きを見ながら施策を実行しなければなりません。特に近年では官民連携の取り組みにも力を入れています。先ほど述べた通り、日本にはクルーズ専用の旅客ターミナルが少なく、大きな費用がかかるため各自治体だけで整備するのも難しい現状があります。しかし海外から日本にクルーズに来たいという需要は非常に多い。また、クルーズ旅行は1年以上も前から売り始めるのが一般的であるため、クルーズ船社としては寄港したい港において充分な時間的余裕を持って寄港の予約をしておきたいという要望がありました。そこで、クルーズ船社に対して、公共性を担保しつつ他の船社に先駆けて一定期間優先的に予約できる権利を与えつつ、その対価として優先的な権利を受けたクルーズ船社がターミナルビルを整備し、官民が連携してクルーズ拠点を形成する制度を平成29年に新設しました。

現在その制度を活用し、全国7港において拠点形成が進められています。海外のクルーズ船社と日本の港湾管理者が交渉や契約を進めるのですが、我々も間に入ってサポートしながら慎重に動いてきました。その結果よい連携が生まれていて、例えば熊本県の八代港では、海外での人気も高い「くまもん」をテーマにしたターミナルが2020年のオリンピックイヤーに完成予定。多くの人で賑わう港を見るのが、私も今から楽しみです。

今後はクルーズ船に来てもらうためのハードの受入環境整備に加えて、継続的に日本におけるクルーズビジネスが成り立つような仕組みづくりも重要。そのため、クルーズ旅客に日本各地への寄港に満足してもらいリピーターになってもらえるように、寄港地で行われる観光を上質化するためのクルーズ船社と各寄港地との間の対話を実施してきているほか、よりスムーズに乗下船と寄港地の観光をつなぐことができる体制を作っていく必要があります。また、全国クルーズ活性化会議という全国138港の港湾管理者や寄港地観光に関連する内陸を含む自治体の方たちで構成される会議が定期的に開催され、課題や成功事例を共有してきています。各地域では伝統の踊りを披露したり、シャトルバスを運行するなど、それぞれが工夫してクルーズ旅客の「おもてなし」をしており、クルーズ旅客に非常に人気ですが、無理なく効果的なおもてなしを継続できるようにする必要があります。地域、クルーズ船社、クルーズ旅客のみんなにとって嬉しい体制を築けるように動いていきます。

人生を支える場である、
「国土」をつくるやりがい。

私が国家公務員になったのは「この国をよりよくしたい」と考えたからです。国とは人なので、人々の暮らしや人生に関わる幅広い場づくりを直接所管している国交省に魅力を感じました。人々が継続的に、やさしい気持ちで生きていける。そんな場所をつくっていきたいと考えています。そんな私に「港」というフィールドはうってつけで、非常に面白いですね。港は海上物流と陸上物流の結節点であり、海外と国内の物理的な境界であり、産業の賑わいがあり、生活の場でもあるなど、多面的な機能が集約されています。さらに日本の貨物の99%は海外から入ってくるなど、我々の産業や生活を支えている重要な存在です。しかし多くの人にとって港には知らないことが多く、実際私もこの仕事をするまで港という存在を深く考えたことはありませんでした。だからこそ、大きなポテンシャルがあると考えています。例えば鉄道の駅からまちづくりをしているように、ターミナルとして、港でも同じようなことができる可能性がある。今の世の中のために、港にできることは何か。産業、物流、賑わいなどあらゆる視点から考え、この国をよりよくできることを実行していきます。

〔 私の休日の過ごし方 〕

休日は妻と離島へ旅行したり、色々な土地でおいしい食事やお酒を楽しんでいます。食にはその土地が表れますし、料理人の方やお店にも土地のよさが表れて、奥深くて面白いですね。離島は自然もいいのですが、地元の方たちが暮らすペースや活気など、空気感を感じることが好きです。最近は新島へ旅行に行きました。