総合政策局公共交通政策部交通支援課 課長補佐
平賀 親美昭和61年(1986年)入省
[ Career ]
H30.4 | 総合政策局公共交通政策部交通支援課課長補佐 |
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H28.4 | (独)自動車事故対策機構被害者援護部マネージャー (貸付・債権管理・企画調整担当) |
H27.4 | 自動車局旅客課長補佐 |
H23.4 | 自動車交通局保障課保障事業室専門官 |
H20.4 | 自動車交通局技術安全部整備課適正指導係長 |
H18.1 | 自動車交通局保障課管理係長 |
H15.4 | 自動車交通局保障課保障事業室訟務管理係長 |
H13.9 | 自動車事故対策センター附属千葉療護センター事務部庶務課係長 |
H13.4 | 自動車交通局技術安全部管理課自動車登録管理室システム運用第二係主任 |
H5.4 | 自動車交通局総務課経理第一係 |
S63.7 | 関東運輸局東京陸運支局総務課 |
S61.8 | 関東運輸局東京陸運支局登録第一課 |
鉄道や路面電車、バス、タクシー、フェリーといった地域公共交通は、地域住民や来訪者の移動手段であるだけでなく、街の賑わい創出や観光客を含む地域内外の交流人口の増加などを通じて、様々な面から地域経済を支えています。しかし日常生活における自家用車への依存度が高まり、公共交通の利用者は減少してきました。特に地方都市や過疎地域などにおいてその傾向は顕著で、鉄道・乗合バス事業者などの交通事業者が不採算路線から撤退する中、輸送人員の減少やサービス水準の低下も懸念されています。
こうした状況に対処するべく、平成19年に「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」を制定。平成26年には同法が一部改正され、まちづくりや観光振興など地域戦略と連携しつつ、面的に地域公共交通ネットワークを再構築するための枠組みとして強化されました。現在各地で取り組みが進められていまして、国土交通省もあらゆる角度から支援を続けています。
その中で私は現在、バス系統における補助金制度の運用に携わっています。国土交通省では地域のバス運行を補助金等で支援していますが、私の役割は各自治体等から提出される申請書の内容を確認し、金額を決定すること。1年間で約600の自治体等から、約3500系統の申請があります。その内容は地域によって様々で、すべてに補助金が交付されるわけではありません。誰も乗らない「空気を運ぶバス」であってはいけないので、地域と地域を結ぶ幹線バスを補完していること、1回の運行に対して2人以上の乗車があるなど、様々なポイントを精査して交付の確定をします。
各自治体からの申請書類は紙ですが、そこに記された現状を読むと、地域の顔が見えてきます。また「こういう場所に行きたい」「こういう学校に通いたい」という人の流れも分かってきて、バスを切実に必要としていることがよくわかります。今は自家用車が多く走っていて、特に地方では1人に1台が普通になっています。しかしそうは言っても、運転できない学生さんや足の悪いお年寄りの方がいる中で、今はご家族が送り迎えできても、核家族化が進み将来はできなくなるかもしれません。現在都市局で進めているコンパクトシティ+ネットワークでも物流と人の流れが必要で、公共交通は重要。自家用車に頼るだけでなく、街のバスを地域全体で支えていけたら嬉しいです。
ではバスを通じてどう暮らしを便利に、豊かにできるかを考えると、まずはバスに乗ってもらい、使ってもらうことが大切。乗り物はどこかへ行くための手段ではありますが、乗ること自体が楽しくなる未来があってもよいのではと思っています。これは聞いた話なのですが、被災地でようやくバスが復旧したことで、ある女性がお買い物に行けるようになり、久しぶりに友達に会うのも楽しくてお出かけするようになって、いつの間にかお化粧をするようになったとか。バスは移動だけでなく、コミュニティを醸成したり、心や体の健康を促したり、様々な効果を生み出す可能性を秘めています。例えばバスの中に地域の小学生の絵を飾ることで「誰々ちゃんの絵があるよ」と言ってバスに乗り、そこで新しい交流が生まれるかもしれません。私たちが支援している地域は、人口が少なく企業が撤退してしまっているようなところなので、そういった人と人の触れ合い、支え合いを生み出すことにも貢献していきたいです。
現在の部署に配属になる前は、自動車局に長くいました。自家用車に関する手続業務や事故の被害者支援をしていたので、現在担当している公共交通とはある意味で正反対。異動になった直後は、正直少し戸惑いました。でも私は好奇心が旺盛な性格で、知らないことを知るのはいくつになっても楽しい。それでまず興味を持ったのが、各地域から上がってくる申請書に書かれたバスの名称の面白さでした。「すてっぷくん」「のらんけバス」「なだバス ナディ」といったユニークな名前ばかりですし、バスのカラーリングも面白い。それで興味を持って自治体や会社のHPなども見てみると、忌憚のない意見がたくさん書かれていました。「日帰り温泉に行きたいのだけど、あっちの町は送迎バスが通ってるのに、どうしてうちの村はないんだ」など、リアルな声をひとつひとつ知るうちに、私の気持ちも自然と入っていきました。
本当は、補助金がなくても地域で持続可能な運行をできるのが一番いいと思っています。でも今はまだ難しい現実がある。生活利便性の向上はもちろん、バスがあることで観光客が増えて地域経済が豊かになるなど、地域活性化につながる付加価値も生み出していきたいです。
できれば年に1回は海外へ、特に大好きなハワイに行きたいです。ハワイは街も自然もコンパクトなエリアで楽しめますし、何よりあの穏やかな環境が好きで、行くと日常から解き放たれてリフレッシュできます。ほかには推理小説や2時間ドラマが好きなので、普段の休日は鑑賞を楽しんでいます。