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中国

不動産関連情報

不動産に関する法制度

土地・不動産の所有権

〔基本概念〕

中国の全ての土地が国家所有又は農民の集団所有に属するとされている。土地管理法第8条では、「都市の中心区域の土地は、国の所有に属する。農村の土地及び都市の郊外地区の土地は、法律の規定により国の所有に属する場合を除き、農民集団所有に属する。宅地、自留地及び自留山は農民集団所有に属する」と規定している。そのため、土地については、国家による所有及び農民による集団所有を並存させた制度を採用している。

〔所有権〕

土地に関する権利としては、土地使用権が認められている。土地登記弁法によると、農業用途以外の建築物の敷地となりうる土地の使用権は下記に分けられる。

  • 払い下げ土地使用権(国所有で都市部の民間企業等が使用。使用年数制限がある)
  • 割当土地使用権(国所有で都市部の公共利用目的等のため使用。使用年数制限がない。)
  • 集団建設用地使用権(集団所有で農民等が使用。使用年数制限がない。)

建物は土地の一部として扱われ、別個の不動産としては扱われない。土地が賃貸、譲渡、担保設定等により処分される場合には、その土地上の建物も土地に従う。建物のみを土地と分離して保有や処分、担保設定をすることはできない。建物は完全所有権が認められ、建物登記弁法に諸規定が定められている。

〔外国人の土地所有権〕
  • 払い下げ式土地使用権を持つことができる。
  • 国務院が定める土地使用権譲与金等の土地有償使用費、その他の費用を納付した後、土地の使用が可能。

土地・不動産の登記

2015年3月より不動産登記暫行条例が実施され、統一登記制度となった。国務院国土資源主管部門が全国不動産登記業務を指導、監督し、県級以上の人民政府の不動産登記機構で登記が行われる。

土地登記簿の内容は、下記を明記しなければならない。

  • 不動産の位置、住所、空間区分、面積、用途等の自然状况
  • 不動産権利の主体、類型、内容、出所、期限、権利変更等の権利帰属状况
  • 不動産権利に関連する制限、注意事項
  • その他関連事項
土地登記の効力

不動産登記制度は不動産関連物権の設立、変更、譲渡及び消滅の発効要件。 

物件法第9条において、「不動産物権の設定、変更、譲渡及び消滅は、法に基づく登記を経て、効力が生ずる。登記を経なければ、効力は生じない。」と規定されている。

契約の効力

物権法第15条で、「当事者間で不動産物権の設立、変更、譲渡及び消滅に関連する契約を締結した場合、法律に別段規定がある場合、若しくは契約書に別途約定のある場合を除き、契約が成立した時から効力を生じる。」と規定されている。

登記資料

不動産登記暫行条例第27条において、権利者、利害関係者は不動産登記資料を紹介、複製できるとされている。

不動産登記暫行条例では、登記情報を共有するため、不動産登記情報管理基礎プラットフォームを構築しなければならないとされており、国土資源部により構築が進められている。プラットフォームの基本的な方向性として、行政部門間の情報共有だけでなく、社会公衆(権利者、利害関係者)の利用も想定されている。

不動産の鑑定評価

〔鑑定評価概要〕

不動産鑑定は買主あるいは売主のどちらか、あるいは双方が行う場合もある。不動産鑑定士資格として、「不動産評価師」がある。専門的に土地・建物の複合不動産を評価する国家資格。

中華人民共和国城市房地産管理法(2007年修正)により、不動産鑑定業者を含む不動産仲介サービス機構の成立のためには、以下の条件が必要とされている。

  • 組織名・組織機関を有すること
  • 固定的な営業場所を有すること
  • 相当な財産や経費を有すること
  • 十分な数の専業職員を有すること

法制度が確認できるWebサイトの紹介

  • 中華人民共和国国土資源部
  • 土地・鉱物・水資源などの管理・保護・運用を担当している。各県に「住房和城郷建設庁」、「土地管理局」、「建設委員会」を設立しており、不動産登記の記録・調査・発行を行う。
  • 中華人民共和国住房和城郷建設部(住宅・都市農村建設部:MOHURD)
  • 都市部の低所得者向けの住宅制度や、都市管理、建設の標準システム化などを所掌
  • 中華人民共和国国務院法制弁公室
  • 法律の制定、実施、監督管理等を担当。

不動産事業を行う際の免許制度

〔制度概要〕

宅地建物取引主任者に相当する国家資格として、不動産経紀人就業資格がある。業務の範囲は、売買、賃貸、交換等の不動産取引における代理、仲介、コンサルティング等であり、 不動産経紀人協理(アシスタント)および高級不動産経紀人は、年一回資格試験が実施される。不動産取引事務所には不動産経紀人と不動産経紀人協理(アシスタント)がいなければならない。 不動産資格試験は年2回行われる。

〔不動産取引業務の規定〕

不動産取引業務の規定は下記の通り。

  • 売買・交換・賃借の媒介
  • 売買・交換・賃借の代理

中国で不動産取引業務の許可を得ることができるのは、「独立した法人資格のある団体」である。これに該当するものは、公司(有限公司(株主は50人まで)、株式有限公司(有限公司より大規模)、LLP(リミテドパートナーシップ企業)、個人単独資本がある。

関連法律

人力資源・社会保障部、住房和城郷建設部「『不動産経紀専門業者職業資格制度暫定規定』及び『不動産経紀専門業者職業資格試験の実施弁法』に関する通知

〔不動産取引事業者の届出〕

不動産取引事業者は、営業許可証を受領した日から30日以内に、所在地の直轄市、市、県の人民政府建設(不動産)主管部門に届け出を行う(弁法第11条)。その後、直轄市、市、県の人民政府の建設(不動産)主管部門は、不動産取引事業者とその従たる事務所の名称、住所、法定代表者(執行パートナーを含む)または責任者、登録資本金、不動産取引従業者の登録事項を社会に対して公示しなければならない(弁法第12条)。

〔不動産の開発・分譲〕

不動産の開発・分譲は、都市不動産管理法に基づき、「不動産開発経営会社」としての許認可を政府から取得しなければならないとされており、設立要件等は不動産取引業務とは別体系となっている。毎年監査制度があり、協会に所要書類を提出し、監査を受ける必要がある。無免許で不動産開発や仲介業を営んでいる者は、経営活動の停止や所得の没収、罰金が科される。

実際には事者に免許制度に対する意識が低いため、無免許での不動産仲介業務も散見される

出典

土地・不動産の所有権

土地総合研究所「土地総合研究 2011年冬号

土地・不動産の所有権

日本貿易振興機構(JETRO)「知っておこう中国の土地使用権」(2008年4月)

日本貿易振興機構(JETRO)「中国 ビジネス関連法 物権法

国際協力銀行「JBIC中国レポート 2015年8/9月号

中華人民共和国土地管理法

土地・不動産の登記

日本不動産鑑定士協会連合会「アジアの不動産諸事情の調査結果」(2013年3月)

不動産の鑑定評価

国土交通省「不動産鑑定評価基準の国際化に関する検討業務に係る調査報告書」(2011年3月)

公的土地制度・評価制度

国土交通省「地価公示のあり方に関する検討会 報告書の概要

不動産事業を行う際の免許制度

不動産適正取引推進機構 RETIO NO.82「中国の不動産仲介制度の概要」(2011年7月)

住房和城郷建設部「不動産仲立管理弁法(房地産経紀管理弁法)」

中華人民共和国城市房地産管理法

不動産の取引に関する制度

不動産を取引する際の制度

〔制度概要〕

不動産取引事業者は、不動産取引サービス契約を締結するまでの間に、委託者に対して不動産取引サービス契約、不動産売買契約、不動産賃貸借契約に関する内容を説明し、併せて以下の事項を書面で告知しなければならない。

  • 委託する不動産との利害関係の有無
  • 委託者の協力を必要とする事項、提供を要求する資料
  • 委託する不動産の市場参考価格
  • 不動産取引の一般的な手順と存在の可能性があるリスク
  • 不動産取引に関連する税金
  • 取引サービスの内容と達成のレベル
  • 取引サービス報酬標準と支払い時期
  • その他告知を必要とする事項

不動産の賃貸借建物の賃貸を行なう際、貸出人と賃借人は、賃貸期限、賃貸の用途、賃貸価格、修繕責任等の条項および双方の其の他の権利義務について約定した賃貸契約書に調印しなければならない。併せて建物管理部門に登録しなければならない。

〔不動産売買の慣行等〕
前売り実績の登録
  • 不動産開発企業が商品住宅を前売りするときは、予約購入者に商品住宅前売り許可証明を提示しなければならない。
  • 不動産開発企業は、商品住宅前売り契約を締結した日から起算して30 日以内に、商品住宅所在地の県級以上の人民政府不動産開発主管部門と責任を負う土地管理業務部門に登録しなければならない。
商品住宅の売買契約
  • 商品住宅の売買は、当事者双方が書面で契約を締結しなければならない。
  • 契約書には商品住宅の建築面積と使用面積、価格、引渡し期日、質量の要求、不動産管理方式および双方の違約責任について記載しなければならない。
仲介機構による代理販売
  • 不動産開発企業が仲介機構に商品住宅の代理販売を委託する場合は、仲介機構に委託書を交付しなければならない。
  • 仲介機構が商品住宅を販売するときは、商品住宅の購入者に商品住宅の関係証明書類と商品住宅販売委託書を提示しなければならない。
不動産の販売価格

不動産開発プロジェクトのと商品住宅の販売の価格は、当事者が協議して定める。国家の優遇政策に適応する居民住宅の価格は、政府の指導価格又は政府が定める価格を実行。

商品住宅の質量保証
  • 不動産開発企業は、商品住宅を引渡すときに、購買者に住宅の質量保証書と住宅使用説明書を提供しなければならない。
  • 住宅質量保証書には、工事の質量監督組織が検査認証した質量等級、補修保証の範囲、補修保証期限と補修を行なう組織等の内容が記載されていなければならない。
登記手続
  • 前売り商品住宅の購買者は、商品住宅の引渡しを受けて使用の日から90日以内に、土地使用権の変更と家屋の所有権の登記手続をとらなければならない。
  • 現物取引の商品住宅の購買者は、販売契約締結の日から起算して90日以内に土地使用権の変更と家屋の所有権の登記手続をとらなければならない。

消費者保護(インスペクション、瑕疵対応、その他)

  • 不動産取引事業者及び不動産取引従事者は、ごまかし、詐欺、賄賂等の不正な手段で客を誘引し、消費者をだます行為を行ってはならない。「不動産仲立管理弁法(房地産経紀管理弁法) 25条」等様々な禁止規定が設けられている。但し、貸主優位が特徴で、日本のような「借地借家法」は存在しない。
  • 今般の弁法制定が、詐欺行為や購入代金の持ち逃げ等の取り締まりを主眼としていることから、様々な禁止規定を細かく設けているのは当然であるが、さらに、欧米では既に導入している一種のエスクロー制度を取り入れ、消費者保護を図ろうとしている。具体的には、弁法第24条において、不動産取引事業者が取引資金の代理収受、代理支払を約定した場合、不動産取引事業者は、銀行に開設した顧客用決済専用口座を通じて取引資金を入出金しなければならないとされ、消費者の取引資金の保護を図ろうとしている。

不動産行政の方向性(新築・中古、長期・短期、持家・借家)

住宅制度改革

住宅金融制度の整備が進められている。住宅金融制度の整備の主な内容は国、地方政府による住宅公積金制度の実施である。住宅公積金制度は、都市戸籍を持つ住民を対象に持家化を促進することが目的で、住宅購入資金を加入者が同制度を利用して貯蓄することをサポートしている。

棚戸区(バラック地区)開発計画

「棚戸区」と呼ばれる都市部のバラック地区の再開発を加速する意見書(中国国務院2015年6月発表)により、2015年から17年までの3年間に、バラック地区の1,800万戸、農村で倒壊の危険がある住宅1,060万戸の合計2,860万戸の再開発を行う目標を掲げた。国民の生活に直結するインフラ建設の拡大で景気を下支えするとともに、住宅難にある中・低所得者層の生活環境を改善し、社会の安定を確保する狙いがある。

集団建設用地を利用して賃貸住宅を建設する試験方案

賃貸住宅の供給需要を緩和するため、北京市、上海市、南京市、杭州市等13ヵ都市で集団建設用地を利用して賃貸住宅を建設する試験を行う。2020年末までに、試験結果を報告する。

不動産のリース(期間、延長・解除の是非)

  • 1年契約が一般的である。ホテルマンション・サービスアパートは数ヶ月単位の契約も可能である。ただし、その場合賃料は年間契約より高くなる。
  • 中途解約は2ヶ月前通知・保証金没収が多い。中途解約不可の場合もあリ、契約時の交渉次第となる。
  • 特別な事情がない限り、貸主側からの解約はできない。その場合、貸主は一定金額の補償金を支払い、借主が解約する場合も残存期間の賃料あるいは2ヶ月分を負担することが一般的。
  • 賃貸借期間6ヶ月以上の賃貸借契約は書面で行わなければ、期限の定めのない契約となる。期限の定めのない契約の場合、賃貸人は合理的な期間をおいて解除通知を出せば解除ができることになっている。基本的に定期借家契約であるが、契約が更新される場合も多い。「合同法」第214条による、賃貸契約期間は20年間を超えてはならず、超える部分は無効となる。
  •      
  • 中国の財政部は、2017年7月5日に「企業会計準則14号‐収益」、さらに、2018年12月13日に「企業会計準則21号‐リース」を公表。これらの新基準は、国際的な会計基準との整合性を重視しており、国際財務報告基準(IFRS)15号および16号とほぼ同様の規定となっており、 非上場企業の場合、2021年1月1日から適用。新リース基準では、契約形態によらずリース取引を識別し、リース期間の判断を含め、以下のリースも新基準の適用対象になると考えられる。
出典

不動産を取引する際の制度(不動産取引事業者)

住房和城郷建設部「不動産仲立管理弁法(房地産経紀管理弁法)」

「Measures for the Administration of Real Estate Brokerage」

「Regulations on the Administration of Urban Real Estate Development and Operation」

不動産を取引する際の制度(不動産売買の慣行等)

国務院「都市不動産開発経営管理条例」

消費者保護(インスペクション、瑕疵対応、その他)

最高人民法院「都市建築賃貸契約紛争の裁判案件に関する法律応用の若干問題の法解釈」

最高人民法院「最高人民法院による不動産販売契約紛争の裁判案件に関する法律応用の若干問題の法解釈」

不動産行政の方向性

国務院「国務院による都市部のバラック地区と農村部の危険家屋の再開発及びインフラ施設の建設を加速する意見書

住房和城郷建設部「集団建設用地を利用して賃貸住宅を建設する試験方案」

Notice of the Ministry of Finance on Revising and Issuing the Accounting Standards for Business Enterprises No. 21?Leases (2018)

不動産に関する税制

不動産取得に関する税制

〔契約税〕

不動産の売買、土地使用権の譲渡-税率3~5%(取引時課税)

〔印紙税〕

売買契約の場合は取引額の0.5%、不動産リース契約はリース金額の 1%、融資契約の場合は融資額の0.05%を支払う。契約者双方に課税。

不動産譲渡に関する税制

〔増値税〕

建築サービス、不動産の販売、不動産のリース、土地使用権の譲渡-税率5~9%(譲渡時課税)

不動産販売の税率
  • 不動産開発企業(自社開発物件を販売):11%
  • 非不動産開発企業:5%
  • 個人:5%(地域&条件により免税優遇に適応することもある)
不動産リースの税率

1.5%~5%

〔土地増値税〕

国有土地使用権及び建築物、付属物を譲渡し、収入を得ようとする企業や個人に対し課税されるキャピタルゲイン課税。譲渡額から取得原価、法定控除項目等を控除しキャピタルゲインに課税される。30~60%の超過累進税率が適用される。

〔個人・企業所得税〕

不動産の販売、リースによる利益に対して所得税が課税される。

  • 個人所得税税率:20%(販売物件は5年超居住且つ唯一所有の物件の場合は免税)
  • 企業所得税税率:25%(企業規模&条件により免税や優遇税率に適応することもある)

また、2019年1月1日より改正された所得税法により、給与等所得に関する税率の変更、基礎控除額の増額、専用付加費用控除の新設等が実施された。

〔印紙税〕

売買契約の場合は取引額の0.5‰、不動産リース契約はリース金額の 1‰、融資契約の場合は融資額の0.05‰を支払う。契約者双方に課税。

不動産保有に関する税制

〔房産税〕

房産税は建物を対象とする税であり、建物の課税標準残価または建物の賃料収入に応じて、所有権者に対して課税される。房産税は内資(中国国内資本)企業、個人に適用される。税率は賃貸収入の12%、所有の場合は1.2%である。外資企業に対しては、房産税は課されないが、同様の税として城市房地産税が課される。

〔都市土地使用税〕

農村以外で、土地使用権を持つ企業あるいは個人は使用している面積に対し、0.6~30元/㎡あたりの課税を毎年受ける。地方によって規定が異なり、個人の住宅に対しては免除している地方もある。

その他税制

日中租税条約において不動産所得、役務提供などを規定(源泉税率は親子会社間の配当が10%、一般配当が10%、利子が10%、使用料が10%)。日本の居住者が中国国内にある不動産を直接使用するか、 もしくは貸与するなどにより得る所得に対しては、中国で課税される。この場合、居住者が個人である場合は個人所得税が、居住者が企業である場合は企業所得税が課される。

出典

不動産取得・譲渡に関する税制

不動産流通近代化センター「 不動産コンサルティングに関わる海外調査報告書Ⅱ 各国の不動産市場・制度・不動産業(03 各国の不動産関連制度 04 不動産関連業の動向) 」(2013年3月)

財政部、税務総局「営業税から増値税へ全面展開の試点の通知

税務総局「納税者の不動産譲渡に係る増値税の徴収、管理暫定弁法

税務総局「不動産開発企業が販売する自社開発した不動産プロジェクトの増値税課税管理暫定弁法

税務総局「納税者が提供する不動産オペレーティングリースサービスの増値税課税管理暫定弁法

税務総局「営業税から増値税への徴収改定試行の過渡的政策に関する規定

中国政府網「全国人民代表大会常務委員会の『中華人民共和国個人所得税法』改正に関する決定」(2011年)

税務総局「個人の住宅販売による所得に対する個人所得税の徴収問題に関する通知

税務総局「中華人民共和国企業所得税法

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る中国税制

不動産保有に関する税制

日本貿易振興機構(JETRO)「 国税・地方税分類表

その他税制(租税条約等)

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る中国税制

独立行政法人労働政策研究・研修機構「個人所得税法の改正

不動産取引に関する外国人及び外国資本に対する規制

外資に関する優遇措置もしくは規制

外商投資産業指導目録(2017年改訂)で外商投資を制限する産業の目録から下記の項目が削除された。

外商投資企業は土地使用権を取得する際に土地用途の厳格な制限を受けるため、原則的には、法に基づき大規模土地開発経営権を取得した外商投資企業を除き、 外商投資企業は通常その取得した土地使用権を第三者に譲渡または賃貸することはできず、自ら使用するしかない。

  • 大型の農産物卸売市場の建設、経営
  • 大型テーマパークの建設、運営

外国投資者による不動産業への投資に関するその他の規制(商業拠点設置の原則、プロジェクト会社原則など)は依然として有効。

外資参入の許認可制度

「不動産市場の外資参入および管理の規範化に関する意見」において、国外機構および個人が中国国内において私用でない不動産を投資購入する場合、商業拠点の設置の原則に従い、外国投資家による不動産投資の関連規定に基づいて、外商投資企業の設立を申請しなければならない。

「外国投資家の不動産業への直接投資の審査認可および監督管理のさらなる強化、規範化に関する通知(2015改訂)」は、外国投資家が投資して不動産会社を設立する場合、まず土地使用権、不動産建築物の所有権を取得するか、または土地管理部門、土地開発業者/不動産建築物の所有者と、土地使用権もしくは不動産の払い下げ/購入の予約に関する協議書を締結しなければならないことを定めた。

外国投資者は、その投資する業種の中国政府業種主管部門に、当該業種への投資にかかわる特別法の提供を請求するとよい。

外国人による不動産の取引について

非居住者(外国の法人、自然人、経済組織等)は、中国の土地の所有権、開発権を取得することはできず、土地使用権のみを単独で取得することもできない。

ただし、非居住者は中国国内の建物不動産(私用)を購入することにより当該不動産の占有範囲の土地使用権を取得することが可能。

外商投資企業は中国の土地の所有権を取得することはできず、中国に合弁、合作または独資による事業主体を設立する方式によって国有土地の開発権および使用権を取得しなければならない。

出典

外資に関する優遇措置もしくは規制

日本不動産鑑定士協会連合会「アジアの不動産諸事情の調査結果」(2013年3月)

外資に関する優遇措置もしくは規制

National Association of Realtors「 China Market Situation

中国「外商投資産業指導目録(2017年改訂)」の概要と特徴(2017年7月)

外資参入の許認可制度

不動産適正取引推進機構 RETIO NO.82「 中国の不動産仲介制度の概要 」(2011年7月)

商務部「外国投資家の不動産業への直接投資の審査認可および監督管理のさらなる強化、規範化に関する通知

商務部「一部の規定および規範性文書の改正に関する決定」(商務部令2015年第2号)

外国人による不動産の取引について

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 中国 外資に関する規制 外国企業の土地所有の可否 詳細

主要都市等における不動産マーケット情報

〔工業団地(土地)購入価格〕
北京
  • 北京経済技術開発区
  • 155~215米ドル/m2(50年間の土地使用権)
上海
  • 上海嘉定工業園区
  • 108~172米ドル/m2(20年間の土地使用権)
広州
  • 広州黄埔区
  • 128米ドル/m2(50年間の土地使用権)
〔工業団地借料〕
北京
  • 北京経済技術開発区
  • 4.30~6.45米ドル/m2月
上海
  • 上海嘉定工業園区
  • 5.16~6.45米ドル/m2月
広州
  • 黄埔区開発東区
  • 5.03米ドル/m2月
〔事務所賃料〕
北京
  • 市内商業中心区(CBD)国貿オフィスビル
  • 77~280米ドル/m2月
上海
  • 上海国際貿易中心
  • 40.02米ドル/m2月
広州
  • 広晟国際ビル(天河区)
  • 20米ドル/m2月
〔市内中心部店舗スペース/ショールーム賃料〕
北京
  • 国貿商城1期2期の店舗(建国門外大街1号)
  • 115~502米ドル/m2月
上海
  • 徐家匯 天?橋路
  • 208.7米ドル/m2月
広州
  • 天河区珠江新城花城大道89号
  • 29米ドル/m2月
〔駐在員用住宅借上料〕
北京
  • 市内商業中心区(CBD)、国貿アパート
  • 3,586~7,889米ドル/m2月
上海
  • 虹橋・古北地区
  • 1,979米ドル/m2月
広州
  • 広州市天河区 凱旋新世界楓丹麗舎
  • 1,434米ドル/m2

(2019年11月~2020年1月)

取引履歴・物件情報などのデータベース化

県級以上の人民政府の建設(不動産)を管理する行政部門は、下記を公示しなければならない(弁法第31条)。

  • 不動産取引信用記録
  • 日常の監督検査において発見した不動産取引事業者及び不動産取引従業者の違法違反行為
  • 調査を経て事実であることが証明された告発記録等の状況

住宅の新規分譲については、オンライン上で分譲住宅予約販売許可証に関する情報、販売中住戸の住戸別の詳細情報、住戸の予約済・契約済の状態等が公開され、消費者が必要な情報をネット上で確認しながら購入できる仕組みが普及している。

不動産取引量、取引価格などについて、多くの都市がHPで無料で公開している。データベースは民間データプロバイダにより有料で提供されている。

物件情報についてはChina Index Academy(CIA)がデータベースとして利用されている。

出典

主要都市等におけるマーケット情報

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 投資コスト比較

不動産業者に関する情報

不動産業(住宅販売等を含む)を展開する主な日系企業

  • 三井不動産
  • 三菱地所
  • 住友不動産
  • 東急不動産
  • レオパレス21
  • スターツコーポレーション
  • 東京建物
  • 大和ハウス
  • 積水ハウス
  • 森ビル
  • オリックス
  • 新日本建設
  • 京阪電鉄
  • 住友商事
  • 野村不動産
  • アパマンショップホールディングス
  • シーズクリエイト
  • シノケングループ
  • オープンハウス
  • ASIAN STAR        等
出典

NNA調べ(2017年9月)

※当データベースについては、細心の注意を払って情報収集をしておりますが、必ずしも正確性または完全性を保証するものではありません。国土交通省は、閲覧者が当データベースの情報を用いて行う一切の行為について何ら責任を負うものではありません。

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