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不動産の売買や開発に関しては、州政府の管轄にある。
土地についての法律は連邦憲法に基づき、National Land Code1965にて制定されている。
マレーシアには特定の家主やテナントに関する法律は存在しない。土地法(1965)の一部の条項には、賃貸借契約に関する条項が含まれている。テナント契約は、1950年契約法の適用を受ける。 借家人の立ち退きは、特定救済法のいくつかの条項に含まれている。しかし、これらの法律は曖昧で、通常借家人に有利である。
法的概念としての土地は、土地の表面、土地を構成する全ての部分に加え、成育する食物、天然の産出物、土地に定着する全ての物を包含する。ただし、木造住宅はこの原則の例外であり、動産として扱われる。
マレーシア国内の土地は州によって管轄されており、土地・不動産を所有するためには、州当局の認可を得て土地の登記を行う必要がある。住宅に関しては、外国人個人による登記も認められているが、商業物件、工業用地、農業用地については、現地法人を設立して登記しなければならない。
土地はもともと州政府に管理・所有されている。下記のように2種類に分類される。
プランテーション事業のために譲渡した土地。永久的な土地の権利として登記されている。
フリーホールド以外の州政府が賃貸している土地。政府によって、30年、60年、99年間の賃貸期限が定められている。コンドミニアムは99年程度と長期のものが大半で、賃貸の更新もされていくので、事実上フリーホールドと変わりない。メジャーな権利形態でもある。
土地は農業用、工業用および建設用に分類される。利用形態を変更するには、州当局の承認が必要となる。
土地に関する取引は、譲渡(Transfer)、賃貸借(Lease)、チャージ(Charge)および地役権(Easement)といった登記により始めて効力を有する取引と、リエン(Lien)および居住権(Tenancy)といった登記に寄らず効力を生じうる取引に分類される。
首相府経済企画庁(EPU:Economic Planning Unit)の「不動産取得に関するガイドライン」によると、外国人が取得できる不動産の最低価格は100万リンギである。ただし最低金額は州により変わってくる。
土地別の登記制度(Torrens title system)に基づき、不動産に関する権利は登記によって確定される。土地の名義を変更したり不動産の売買をしたりする場合、まず弁護士が登記簿の内容を確認、調査する。登記簿上の土地の用途・利用条件や権利に関する内容から変更が必要な場合は州政府の同意が要求される。土地の売買契約とは別に、新たな登記を申請するため、法律で定められた譲渡証書を提出し登記の許認可を待つ必要がある。
不動産鑑定士は国家資格。財務省の権限下にある鑑定委員会(Board of Valuers, Appraisers and Estate Agents)に登録されている。
鑑定評価基準としてMalaysian Valuation Standards (MVS)を発行。
Board of Valuers, Appraisers and Estate Agents Malaysiaの登録状況は下記の通りである。
Valuer & Estate Agent (VE) : 402社
Valuers (V) : 119社
Appraisers & Estate Agent (AE) : 6社
Estate Agents (E) :990社
Estate Agent & Property Management (EPM):7社
Property Management (PM) : 61社
Registered Valuers (V) : 912人
Registered Appraisers (A) : 16人
Registered Estate Agents (E) : 1990人
鑑定業界では、会計制度と同様にInternational Valuation Standars (IVS)を取り入れており、現在もIVSの改定に対応してMalaysian Valuation Standards (MVS)が逐次改定されている。多民族国家であり地理的・経済的立場からも国際商取引を意識。積極的に、IVSとの互換性を維持するためMVSの改定を行っている。
Valuers, Appraisers & Estate Agent Actに基づいて、The Board of Valuers, Appraisers & Estate Agents Malaysia.により免許が交付される。実務経験及び試験により資格が付与される。業者が更新時に個人によって少なくても5時間以上の講習(CPD)を受講すること(個人によってVAEが5時間以上のCPDを受講することも可能)、更新申込み料金を払うこと、破産履歴がないと証明できるものを提出。
無免許で事業を行った場合、禁固ないし罰金刑を課される。また、不動産業に従事する個人が虚偽の説明等を行えば、免許を受けた業者が業務停止等の処罰を受ける。
マレーシア国民またはマレーシアの永住者(PR)で、所定の資格を満たし、経験を有する者は誰でも、鑑定委員会(BOVAEA)に登録できる。 資格を取得した者は、訓練生として登録し、登録されたエステート・エージェントの下で2年の実務研修を受け二つの実務課題を提出し、取締役会のインタビュー(TPC:技能検定と呼ばれる)を受けなければならない。 TPCを通過した後は、フォームIを発行する不動産管理業務権限理事会へ登録をする。上記過程を完了した者が、不動産業者 (REA) として事業を行うことができる。
不動産関連法・制度の現状
National House Buyers Association
National Land Code (Act 56 of 1965)
土地・不動産の所有権、土地・不動産の登記
日本貿易振興機構(ジェトロ)「外資に関する規制」
不動産証券化協会「不動産証券化ジャーナル September-October 2015」
IFC「Doing Business Registering Property in Malaysia」
BTMUアジア新興国の不動産法制
GUIDELINE ON THE ACQUISITION OF PROPERTIES
不動産の鑑定評価
The Board of Valuers, Appraisers, Estate Agents and Property Managers
不動産関連担当省庁及び関連機関
The Board of Valuers, Appraisers & Estate Agents
不動産事業を行う際の免許制度
BTMUアジア新興国の不動産法制
不動産を取引する際には、個人事業主、パートナーシップ、法人としてVAEA委員会 (Board of Valuers, Appraisers And Estate Agents)に登録し、免許を取得しなければならない。
免許取得の要件は下記の通りである。(FORM Nに記載)
不動産会社(法人)はCCMへ法人登録してから、VAEAに登録を行う。法人としてVAEAに登録する場合、DIRECTORSは全員VAEAの会員であることが条件。
消費者保護に関する明確な法律はない。
主な住宅政策は以下の6つである。
ローン期間は最長35年となっているが、ローンの返済期間は70歳まで(35年間か70歳までかになる)BaseRate(BR)に銀行が一定の金利を加えたものになっている。各銀行のレートは3か月間一回更新。
2021年1月末時点で、大手銀行の住宅ローン金利は大体3%~、限度融資額は住宅価格の70~80%となっている。また、マレーシア中央銀行によると、2021年3月時点における政策金利は1.82%となっている。
銀行がDSR(DEBT SERVICE Ratio)で計算し決める。
マレーシアで家を借りるための最低賃借期間は1年で、更に1年更新することが可能。しかし、多くのテナント契約、特に長期滞在契約では、最長3年間のオプション付きで2年間のテナント契約が結ばれる傾向にある。
不動産を取引する際の制度
Board of Valuers, Appraisers And Estate Agents
消費者保護の規則
不動産金融
不動産等の資産の譲渡に伴う契約書などに課税される累進課税。
2020年1月1日以降の外国人・外国法人に対する税率は次のとおり。
固定資産税は州により税率は異なる。クアラルンプールの場合の土地税金はマンション、アパート、戸建てにかかわらず年間RM0.035/sfを国の土地管理局に支払う。建物の税金は年間2月と8月、2回の分割で払う。マンション、アパート,戸建ての税率はそれぞれ異なる。政府が査定する年間賃料に対して6%が建物の税金となりこれを管轄市役所へ支払う。(住人が要るかどうかにかかわらず課税される)
日本・マレーシア二重課税防止条約(JMDTA)の下、日本の居住者がマレーシアから得る所得に関しては、次の条件を享受する。
その他税制(租税条約等)
日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る マレーシア 税制」
NNA調べ(2017年7月)
外資、外国人による不動産取引は可能。不動産の所有に関しては州当局の許可を得て土地の登記を行う必要がある。
不動産の取得に関しては、Economic Planning Unit,Prime Minister's Department (EPU)よりガイドラインが発行されている。EPUの承認が必要、かつ取得条件を満たさなければならない不動産の概要は下記の通り。
商用ユニットの取得では、下記の場合、EPUへの申請は不要だが、州政府または他の所轄官庁の許可は必要としている。
外国人が購入できる不動産は価格が100万リンギット以上の物件に制限される。なお、州あるいは地域によって、別の規制が適用される場合がある(例:セランゴール州の場合は住居物件200万リンギット、商業物件300万リンギット)
流通取引事業を行うための不動産売買には、Ministry of Domestic Trade, Co-operatives & Consumerism (MDTCC)の認可を得てから、地方自治体、その他の所轄官庁から当該事業に関する認可・ライセンスを取得。
2020年12月現在は、第一に、日本人を含む外国人のマレーシアへの出入国・滞在には諸々の制限が設けられ、自由な出入国に支障をきたす状況になっている。第二に、2020年6月末に人的資源省大臣が、2020年中の外国労働者の新規受入れを凍結すると発言し、 事実上、外国人労働者の新規雇用ができない状況になっている。その後7月末に凍結解除後は農業、プランテーション、建設業のみに限定するとしている。 2021年1月1日より、駐在員の雇用パス申請および外国人労働者の就労許可申請に先立ち、マレーシア人が当該ポストに応募する機会を広く提供するために、政府の求人サイトであるMYFutureJobsポータルにおいて 30日間広告を掲載する必要があるとされている。当初は2020年11月1日より開始する旨が2020年10月に発表されたが、その後、2021年1月1日開始に変更された。
就労ビザは、駐在員といった長期滞在・就労のための雇用パス(Employment Pass)と機械設置、調査、研修等短期就労のためのプロフェッショナル・パス(Professional Visit Pass)がある。最近は建設業、製造業を中心に外国人労働者に依存傾向のある業種に対し、政府が外国人就労者の流入を厳しく制限してきている。今後は駐在員、外国人労働者共に査証の取得が難しくなることが想定される。
政府は、マレーシア社会の民族構成比を反映した従業員構成となるよう、全ての企業に対し努力を求めている。
2020年12月現在、政府は新雇用法の導入を検討している。雇用法の対象となる労働者の範囲の拡大(1カ月の賃金2,000リンギ以下から、金額を引き上げまたは撤廃)を中心に、労働者保護の強化の方向で検討が進められている。 2018年5月に誕生したマハティール政権は、最低賃金の段階的な引き上げを志向しており、2019年1月1日より、全マレーシアで1,100リンギに引き上げられている。2020年1月1日以降は、主要57都市のみ、最低賃金が1,200リンギに引き上げられた。
外国関係者による不動産取引については最低取得額が50万リンギから100万リンギに引き上げられた。 外国人または外資50%超の現地法人による100万リンギ以上の不動産取得については、EPUへの申請は不要だが、州政府、他の所轄官庁の認可は必要とする。
農業用地の取得は100万リンギ以上か、5エーカー以上の面積の物件で、かつ次の目的での使用に制限している。
外資参入の許認可制度
日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る マレーシア 外資に関する規制」
Guideline on the Acquisition of Properties
Economic Planning Unit, Prime Minister's Department
就労ビザ、長期滞在について
日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る マレーシア 外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用」
Immigration Department of Malaysia 「Information About Pass」
20米ドル/㎡月
20米ドル/㎡月
主要都市等におけるマーケット情報
日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 投資コスト比較」
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