カタール

外資に関する規制

〔規制業種・禁止業種〕

特定事業（銀行・保険業、商業代理店業及び不動産）については閣議による事前承認が必要。原則、現地法人設立の場合、カタール投資法上ではカタール資本が最小51％出資する必要がある。（例外として政府許可を得た場合、外資100％の現地法人設立可）

〔工事受注に当たっての現地法人の設立義務付け〕

公共工事については、特定の契約を履行するため契約期間に限り支店の登録が可能である。

建設業許可制度、条件・手続きの流れ

〔制度概要〕

建設業許可制度はあるが、義務ではない。ただし、工事によっては、下記の幅広いライセンスの取得が必要となる。

• Ministerial License
• Commercial Registration
• Municipality License
• Signboard Permit
• Chamber of Commerce Registration
• Immigration License
• Block Visa （国籍・職種別のVisa人数枠）

入札契約制度、条件・手続き

〔入札制度概要〕

改正前は500万カタールリアルを超える全ての政府系発注については中央入札委員会（CTC）が行っていたが、新法ではCTCを廃止し、調達政府機関が、機関および財務省やState Audit Bureauからの代表者による入札委員会を設立する責任を負うことになった。政府が公共調達において積極的な役割を担うこととなる。

公共調達法（Law No. 24/2015）における改正点
• 中央入札委員会（CTC）を廃止し入札手続きを分散・効率化
• 紛争解決のための委員会を設立し紛争審査を合理化
• 二段階入札方式の許可
• 中小企業に対する契約履行保証（Performance Bond）および支払保証の免除

履行保証制度、条件・手続き

2016年に施行された新・公共調達法（Law No. 24/2015）では、中小企業に対し、契約履行保証（Performance Bond）および支払保証を免除するとしている。

技術者・技能者の資格制度

2001年にthe Engineering Law が制定された（2014年に改正）。

建築、土木、電気、機械、化学、鉱業等の技術者並びに技術コンサルタント会社は、Engineers and Consulting Offices Accrediting Committee への登録が必要である。

就労許可制度

〔外国人就業規則〕

カタールは、外国人の従業員の入国に関連して、スポンサー制度を運用している。カタールで合法的に仕事に従事し、同国に居住するためには、現地で設立された法人またはカタールに居住する権利を有する個人がスポンサー（例えば、外国人従業員の被扶養者のスポンサー）とならなければならない。

〔在留許可〕

カタール国内で就労および居住を希望する者は在住許可を申請しなければならない。在住許可を申請する前に、労働許可の発行を既に受けていなければならない。申請を行うのは雇用主の保証人でなければならない。初回は1年間、その後は2年間の在住許可が発行される。

〔現地人の雇用義務〕

労働法（Labour Law）は、カタール国民の外国人従業員に優先して雇用される権利を法定している。外国人に対する労働許可の発行には、労働省（Labour Department）の承認が必要であるが、当該職務に必要な技術と経験を備え、労働省にて登録した上で求職中のカタール国民がいる場合には、労働許可は発行されない。

建設投資額(億米ドル)

85(2012年)、97(2013年)、119(2014年) 、158(2015年)、181(2016年)、209(2017年)

(Value Added by Economic Activity, at current prices - US Dollars)

国内の建設企業数

2,519社（2010年）

建設労働者

74万5,463人（2015年）

• 外国人：744,327人
• カタール人：1,163人

インフラ整備水準

電力

• 一人当り電力消費量：16,183.1kwh（2012年）、15,471.0kwh（2013年）

上下水道

• 上水道普及率：100%（2015年）
• 下水道普及率：98%（2015年）

我が国建設業の受注実績

• 2012年度：47.5億円
• 2013年度：354億円
• 2014年度：9.25億円
• 2015年度：623.7億円

ＯＤＡ（百万ドル）

カタールの所得水準の向上に伴い、1998年度をもって日本はODAによる援助を終了。

・無償資金協力
• -（2010年）
• -（2011年）
• -（2012年）
• -（2013年）
・技術協力
• 0.01（2010年）
• 0.05（2011年）
• 0.13（2012年）
• 0.19（2013年）
・円借款
• -（2010年）
• -（2011年）
• -（2012年）
• -（2013年）

主な国内建設企業

• Middle East Dredging Company
• Qatar National Cement Co
• Midmac Contracting Company
• Al-Darwish Engineering
• Bin Omran Trading & Contracting
• Qatar Building Company
• HBK Contracting Company
• Construction Development Company

主な外国建設企業

〔我が国建設企業(2016年6月現在)〕

• 大林組
• 大成建設
• 竹中工務店
• 日立製作所インフラシステム社　　　等

〔その他〕

• Bechtel（米）
• Besix（ベルギー）
• Vinci (仏)
• Bilfinger Berger（独）
• Hyundai Engineering & Construction（韓）
• China State Construction Engineering Corporation（中）
• Arabtec(UAE)
• Samsung C&T（韓）
• GAMA Insaat（トルコ）
• Tekfen Construction and Installation（トルコ）
• TAV Construction（トルコ）
• Yuksel Insaat（トルコ）

主な公共発注者

• 公共事業庁（Ashgal: Public Work Authority）
• 民間航空局（Qatar Civil Aviation Authority）
　空港整備関係
• 新ドーハ国際空港運営委員会（New Doha International Airport Steering Committee）
• 新港湾プロジェクト運営委員会（New Port Project Steering Committee）
　港湾整備関係
• Qatar Railways Company （Qrail）
　鉄道関係

業界団体

• Qatar Chamber of Commerce and Industry
• Qatari Businessmen Association

土木・建築系の学科を有する主な大学

• Qatar University

ビジネス慣行

〔ビジネス環境の現状〕

必要な手続き数

8

平均的な手続き日数

8.5日

必要な手続き数

15

平均的な手続き日数

57日

必要な手続き数

7

平均的な手続き日数

13日

毎年支払う税の種類

4

収益に占める税率

11.3%

輸出に係る手続き

時間：30時間　　費用：382USD

必要書類の手続き

時間：10時間　　費用：150USD

輸入に係る手続き

時間：88時間　　費用：754USD

必要書類の手続き

時間：72時間　　費用：617USD

問題等の解決

• 在カタールインフラプロジェクト専門官
「インフラプロジェクト専門官」は、各在外公館においてインフラプロジェクトに関する情報を収集・集約すると共に、関係機関や商工会等との連絡・調整に際して窓口となる等、インフラ海外展開の支援を担当している。
• 在カタール日本国大使館　日本企業支援窓口
• 国土交通省海外建設ホットライン

国土交通省における、海外建設プロジェクトにおける施工技術、施工管理マネジメントへの課題・対応方策に関する海外進出建設会社・コンサルタントからの相談窓口

各国・地域特有の課題

〔ガバナンス指標のパーセンタイルランク〕

カタールよりランクが低い国の割合（2015年）

• 政治的安定と暴力・テロ等安全度　17%
• 政府機関の効率性・独立性　56%
• 規則の策定や遵守度　40%
• 法の支配度　56%
• 汚職の抑制　44%

Qatar National Vision 2030

〔運営主体〕

General Secretariat for Development Planning

〔計画概要〕

より豊かで持続的な国家を目指し、長期的な視点から国家戦略と実施計画を開発するためのフレームワークとして、カタール国家ビジョン2030(Qatar National Vison 2030）が策定されている。

1. 経済開発（Economic Development)
2. 社会開発（Social Development）
3. 人間開発（Human Development）
4. 環境に配慮した開発（Environmental Development）

上記の4つの柱と関係したチャレンジ
• 現代化と伝統維持
• 当世代の要求と将来世代の要求
• 管理された成長とコントロール不能な拡大
• 外国籍労働力の質と量
• 開発経路の選択、経済成長、社会開発と環境マネジメント

Qatar National Development Strategy 2011-2016

〔運営主体〕

General Secretariat for Development Planning

〔計画概要〕

カタール国家ビジョン2030を受けて、その実現過程における具体的な達成目標として「カタール国家開発線戦略2011?2016(Qatar National Developing Strategy 2011-2016）」が2010年に策定された。

1. 経済目標
• 2011?2016年の間に8,200億カタール・リアルの投資計画、公共投資部門は3,470億カタールリアルの投資予定
• 民間非炭化水素事業部門については、3,890億カタールリアルの投資予定
• 2011?2016年の間に政府系企業に1,300億カタールリアルが投資され、そのうちの1,000億リアルは、政府系開発会社である「Barwa」と「Qatar Diar」による住宅、ビジネス施設の大規模な建設プロジェクトにあてられる
• 道路、港湾、電力、水道などのインフラ整備に670億米ドルが投資され、カタール石油とその子会社に880億カタールリアルが投資される

2. 環境問題への取り組み
• 水の管理、エネルギー、大気汚染、気候変動などに対応
• 中東の環境先進国を目指す
• ゴミのリサイクル率を8％から38％に

3. 社会・福祉分野への取り組み
• 新医療・保健制度
• 女性就業率の引き上げ目標42％
• 高度な技術を備えた外国人に対しての永住権付与の検討

• Doha Metro Project　－Red Line, Green Line , Gold Line, Blue Line
• Lusail City　（450億米ドル）
• Doha Expressway System （81億米ドル）
• New Doha Port　（74億米ドル）
• Msheired　Downtown Doha （55億米ドル）
• Qatar Bahrain Causeway
• Doha Festival City
• The Amphibious1000
• Sharq Crossing
• Long Distance Rail Network Project
• Lusail Light -Rail Transit Project

スタジアム建設プロジェクト（2022年FIFAワールドカップ）

• Al Rayyan Stadium
• Al Wakrah Stadium
• Lusail Stadium（450億米ドル）
• Al Khor Stadium （Al Bayt Stadium）
• Khalifa International Stadium
• Al Gharafa Stadium Expansion
• Doha Port Stadium
• Education City Stadium
• Al Shamal Stadium
• Umm slal Stadium