香港

不動産関連情報

不動産に関する法制度

土地・不動産の所有権

〔基本概念〕

香港では土地すべてが政府所有である。外国企業が不動産を賃借することに対して規制はないが、購入はできない。

〔外国人の土地所有権〕

不動産の賃貸は可能だが、土地の購入はできない。

土地・不動産の登記

土地登記所は、証書、譲渡証書、その他の書面による文書、および判決の登録を行う公的機関とされている。香港の土地、建物、または建物に影響を及ぼす可能性のあるすべての証書、譲渡証書、その他の書面による文書、および判決は、所定の方法で当該事務所に登録および登録することができる。 (1911年法律第50号第4条および附則、1953年法律第10号第2条、1980年法律第56号第3条および第12条、1992年法律第56号第15条、1993年法律第8号第2条により改正)

登録されていない前述のすべての証書、譲渡証書、その他の書面による証書、および判決は、同じ土地、借地、または建物のその後の善意の購入者または有価な対価による抵当権者に対して、すべての事実と目的において完全に無効であるものとするとされている。

不動産の鑑定評価

〔鑑定評価概要〕

公的な資格制度があり、政府はこの資格制度に則り鑑定士が資格を登録することを奨励している。

〔鑑定評価関係主要団体〕
  • Registered Professional Surveyor (RPS)
  • 公的な資格制度。政府は鑑定士に対し、完全な資格取得者となるため登録を奨励している。
  • The Hong Kong Institution of Surveyors(HKIS)
  • Royal Institution of Surveyors (RICS)
  • 評価業務を行うにはHKISまたはRICSの資格取得が必要である。

評価は、案件に応じてHKISまたはRICSのいずれかの基準に則って行われている。
香港不動産鑑定士協会HKIS(Hong Kong Institute of Surveyors)及び香港の不動産鑑定士は、香港の経済的ポジションが極めて国際的であることから、これら国際基準によって鑑定評価を行うことは重要であるとの認識が強く、鑑定評価においては国際化先進国であると言える。

法制度が確認できるWebサイトの紹介

不動産事業を行う際の免許制度

〔制度概要〕

Estate Agents Authority(地産代理監管局)が管轄している。不動産事業を行う際には、免許制度が適用される。不動産業者の免許には、営業許可と不動産仲介業者許可の2種類があり、それぞれ取得要件が異なる。

不動産業者免許(個人)

販売員免許または不動産業者免許(個人)を取得するには、申請者は以下の要件を満たす必要があります。

  • ・申請日時点で18歳に達していること。
  • ・中等教育第5学年またはそれと同等の教育レベルを修了している。
  • ・申請の直前12か月以内に該当する資格試験に合格していること。
  • ・免許を保持するのにふさわしい人物であるとみなされる。
不動産業者免許(法人)

不動産業者(会社)の免許を取得するには、申請者は以下の条件を満たす必要があります。

  • ・会社であること。
  • ・有効な不動産業者免許を保有する取締役が少なくとも1人いること。
  • ・不動産業者としての会社の業務を効果的に管理する認可を受けた不動産業者を置くこと。
  • ・取締役全員が適格かつ適切な人物であるとみなされる者であること。
  • ・免許を保持するのにふさわしい人物であるとみなされる。
出典

〔土地・不動産の所有権〕

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 香港 外資に関する規制」(2024年7月8日)


〔土地・不動産の登記〕

Cap. 128 Land Registration Ordinance Land Titles Ordinance


〔不動産の鑑定評価〕

Surveyors Registration Board

Royal Institution of Surveyors (RICS)

The Hong Kong Institution of Surveyors(HKIS)

公益財団法人 日本不動産鑑定士協会「各国の国際評価基準(IVS)導入状況


〔不動産事業を行う際の免許制度〕

Cap. 511 Estate Agents Ordinance

不動産の取引に関する制度

不動産を取引する際の制度

Estate Agents Ordinanceおよび関連規則により、監督官庁(Estate Agents Authority)が設置され、特定の営業員のライセンス取得、不動産仲介業務および特定の仲介契約の規制に関する事項を定めている。

具体的には、以下のような内容が含まれている:

ライセンスの取得: 不動産仲介業務を行うためには、特定の営業員がライセンスを取得する必要がある。
仲介業務の規制: 不動産仲介業務および特定の仲介契約に関する規制が定められている。

不動産金融(住宅ローンの実態、ローン審査、担保評価)

2024年9月現在、香港銀行間金利(HIBOR)連動型の割合は88.6%、プライムレート連動型の割合は4.2%。

住宅ローン保険プログラム(MIP)は、香港抵当公司(HKMC)によって開始された。HKMCの完全子会社であるHKMC保険有限会社は、銀行に住宅ローン保険を提供し、銀行が追加の信用リスクを負うことなく、より高いLTV比率の住宅ローンを提供できるようにしている。そのため、住宅購入者の頭金負担を軽減できる。

不動産のリース(期間、延長・解除の是非)

1997年7月15日、行政長官は香港特別行政区政府 (HKSARG) のもとでの土地賃貸および関連事項を規定された。

一般的な新規リースは50年間、プレミアム付きで付与される。ただし、レクリエーション目的やガソリンスタンド用の特別リースなどは除外される。
年間政府賃料は、リース開始時点の不動産課税評価額の3%で、評価額の変動に応じて調整される。

レクリエーション目的およびガソリンスタンド用の特別リースは、21年間の期間で付与される。
短期賃貸借は7年を超えない期間で付与される。

出典

〔不動産を取引する際の制度〕

Cap. 511 Estate Agents Ordinance


〔不動産金融〕

Hong Kong Monetary Authority「Mortgages


〔不動産のリース〕

The Government of the Hong Kong Special Administrative Region「Land Tenure System and Land Policy in Hong Kong

不動産に関する税制

不動産取得に関する税制

〔印紙税〕

印紙税は、香港内における不動産売買契約書、株式譲渡契約書等の課税文書の作成者に課せられる税で、例えば不動産売買契約書の場合は、最高で売買価格の8.5%を課税。

※2010年11月から、住宅への投機を抑制するために、住宅が短期売買される場合には特別印紙税が課せられているほか、2012年10月から、香港の永住権保有者以外の者による住宅の売買に対し購入者印紙税を課税。購入者印紙税は2016年11月5日から一律15%に調整された。2017年4月11日から、香港の永住権保有者が1件の売買契約で複数の住宅を購入した場合も15%を課税。

※香港の不動産価格の上昇を抑制するために2013年から導入されていた、非居住用不動産取引に係る印紙税を2倍とするDoubled Ad Valorem Stamp Duty(DSD)が2020年11月26日の取引から撤廃された。

※昨今の住宅市場の低迷を受け、2024年2月28日に行われた2024/25財政年度予算案演説の中で、居住用不動産取引に係る特別印紙税、購入者印紙税および新住宅印紙税の即時取り消しが発表された。

不動産保有に関する税制

〔資産所得税〕

資産所得税は、家賃収入から固定資産税および賃貸収入その20%を控除した額に一律15%(2008/09財政年度以降)を課税。
ただし、家賃収入が法人税の課税対象となっている場合、不動産所有者が自ら事業を営むため占有している場合は、資産所得税の対象にはならない。

〔固定資産税〕

固定資産税(Rates:レーツ)は、香港政府が毎年公表する推定賃貸価格に課税される。2024/25財政年度第4四半期以降、一般住宅のレーツは従来の標準課税率5%から累進課税方式により最大12%となる。
原則として不動産所有者と借り手が納税するが、双方の協議によって、一方のみが納税することもできる。

その他税制

香港の税率は簡素かつ低税率となっている。課税対象は、香港での利益または収入のみである。法人の事業所得税以外の主な直接税として給与所得税・資産所得税、間接税として印紙税・物品税・自動車初回登録税・ホテル宿泊税などがある。

出典

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 香港 税制」(2024年7月19日)

不動産取引に関する外国人及び外国資本に対する規制

外資に関する優遇措置もしくは規制

香港では土地すべてが政府所有である。外資が不動産賃貸をすることに対して規制はないが、購入はできない。

就労ビザ、長期滞在について

香港にて就業または投資を行う際は、原則ビザの申請が必要となる。ビザは、香港政府の入境事務処(Immigration Department)へ直接申請するか、中国大使館または領事館を通して申請する。ただし、一部短期的な活動には就労査証を要しない場合もある。

短期的な活動のために香港に入境する際に、就労査証を要しない活動は次のとおり。

1.ビジネスに関連した活動
  • ・契約の締結、入札への参加
  • ・商品や設備の梱包・設置に係る検査・監督
  • ・展示会や貿易見本市への参加(一般参加者に対し、直接的に商品の販売やサービスの提供を行う行為や展示ブースの設置作業を除く)
  • ・賠償またはその他民事訴訟
  • ・商品説明会への参加
  • ・短期セミナーやその他のビジネス会議への出席
2.スピーチ/プレゼンテーション
  • ・報酬を得るものではないこと(イベントに関わる宿泊費、旅費、食事の提供や補填は認められる)
  • ・14日間以内であること
3.指定分野への短期活動に参加する訪問者に対する入国促進制度

香港政府が指定する主催機関から招待状を受領し、かつ以下の分野の活動に参加する場合は就労査証を要しない。
該当分野:医療とヘルスケア、高等教育、芸術と文化、スポーツ、遺産、クリエイティブ産業、イノベーションとテクノロジー、香港桂冠フォーラム(科学技術交流イベント)、航空、国際/メガイベント、金融、開発と建設

4.香港における仲裁手続の参加者のための円滑化に関する試行制度

次のいずれかに該当する場合は、就労査証を要しないが、入国前に香港政府律政司または香港の仲裁機関から「証明書」の取得が必要となる。

  • ・仲裁人
  • ・専門家および証人
  • ・仲裁の担当弁護士
  • ・仲裁の当事者
出典

日本貿易振興機構(JETRO)「外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用」(2024年7月17日)

主要都市等における不動産マーケット情報

主要都市などにおけるマーケット情報

〔工業団地(土地)購入価格〕
工業ビル(内部に小規模の加工スペースを備えたビル)内の分譲エリア購入価格

3,451~10,981米ドル/m2

〔工業団地借料〕

屯門工業区
9~29米ドル/m2

〔事務所賃料〕

銅鑼湾(市内中心部ビジネスエリア)
28~375米ドル/m2月

〔市内中心部店舗スペース/ショールーム賃料〕

銅鑼湾糖街(路面店舗)
247米ドル/m2月

〔駐在員用住宅借上料〕

マンション(西湾河、市中心部から約30分)約63m2
2,550米ドル/月

(調査2023年9月)

取引履歴・物件情報などのデータベース化

出典

〔都市等におけるマーケット情報〕

日本貿易振興機構(JETRO)「投資コスト比較 香港(香港)」(2024年11月)

不動産業者に関する情報

不動産業(住宅販売等を含む)を展開する主な日系企業

  • 三井不動産
  • 住友林業
  • エイブル
  • スターツ   等
出典

PwCコンサルティング合同会社調べ(2024年11月)

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