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州により不動産の規定が異なる。
不動産は土地の資源と同様に土地とその建物で構成された財産で、土地と独立した不動産とはみなされない。土地を賃貸借して、借主が建物を所有する場合、コンドミニアムにおける個々の単位空間等は例外として取引が認められる。土地に対する権利は、権能の束(Bundle of Rights)として認識されている。土地の売買には取引の許可は不要。
不動産に関する権利は、下記に分けられる。
将来において当該不動産を使用・収益する権利
FIRRMAの施行により、外国人が空港や港湾また米軍施設に近接する土地等の取得などを行う場合は、条件によっては制限の対象になり得る。
登記制度は土地に関するもののみであり、下記のように二点ある。
売主から買主に物件移転の意思をもって交付される不動産物件譲渡証書(Deed)を登録所へ提出し、その謄本が年代順に編綴される。
土地の所有者は登記者に土地の登記を申したてる。調査官の実質的審査によって所有書の申請に不備がないことが確認されると、登記者は証明書を所有者に発行する。土地被譲渡者は、登記官が発行した二部の証明書のうちの一つである副本と譲渡証書を登記所に提出する。
米国では、全国統一された登記簿は存在せず、各州内の各郡が独自に登記簿を保持する。
鑑定評価基準Uniform Standards of Professional Appraisal Practiceにしたがって財産の評価がなされる。
鑑定方法は下記の通りである。
政府の担当官庁はHUD (US Department of Housing and Urban Development)、不動産関係法はほとんどが州法管轄。
不動産業に従事する者全員が、各州でライセンスを取得する必要がある。
また、入会を認められた不動産仲介人のみ、全米リアルター協会(NAR:National Association of Realtors)のRealtorと称することができる。
Multiple Listing Service (MLS)への加盟を義務付けられている。MLSで共通契約書様式の変更や法令改正等の情報、トレーニング開催情報、各種統計情報等を入手する。
必ず不動産会社と所属契約を結び、トレーニング・賠償保険・マーケティング・リーガルサポート等の支援を受けながら業務を遂行する。
各州の不動産ライセンスの質の確保・教育・資格試験の運用サポートを行う専門協会。各州のライセンス課と契約を締結し、不動産ライセンスの試験問題を作成。
州によっては、資格試験の受験前にPre-License Educationを受講したり、資格取得後も、3年間 に45時間の講習を受けることが義務付けられている。
土地・不動産の所有権:United States Government Publishing Office 「H.R5841 An Act」
土地・不動産の登記制度:法務省HP「我が国と諸外国の不動産登記制度における登記の真正担保のための方策について」
全般:全国宅地建物取引業協会連合会、全国宅地建物取引業保証協会「平成23年度 不動産取引制度に関する調査研究 報告書」
不動産の鑑定評価:The Appraisal Foundation
不動産事業を行う際の免許制度
売主、買主共に仲介業者と契約を結び、売買交渉が行われる。
買主は売り出された物件の情報が掲載されているMultiple Listing Service(MLS)で購入希望物件を見つけ、エージェントを通して売主に買い付け合意書(residential purchase agreement)を提出し、購入希望の意思を伝える。
その後、価格を含めた条件交渉が行われ、売買契約書が作成される。契約書が作成されると、各州の政府に許可された民間機関であるエスクロー会社が、公正・中立な立場で、登記履歴の調査手配、ローン銀行とのコーディネートから、登記、購入代金の振り分けまでの一連の業務を実施。
エスクロー制度が適用される。不動産取引の際、売主・買主の権利保護のために、エスクロー会社が、中立の立場として介入する。登記履歴の調査手配、ローン銀行とのコーディネートから、登記、購入代金の振り分けまでの一連の業務を実施。透明性と利便性の高いエスクロー制度の利用により、投資家が安心して取引を行える、海外からの遠隔投資が行える、というメリットを享受できる。
物件の引渡し前に、専門の検査員が家屋の問題点を調査。建物の内側、外側の検査を、買主や不動産仲介者の立会の下で実施する。
不動産取得時に、タイトル保険会社が物件の所有権や抵当権、地役権等を含む権利関係を示す保険レポート(Preliminary Title Report)を作成。レポートに未記載かつ、抵当権等の権利の存在により不動産取得者が損害を被った際、その損害額をタイトル保険会社が支払う。
保険会社が、不動産取引の登記のため、法規に従って取り決められた公的記録から、権原に関わる書類を収集。所有権、先取特権、および権原に影響するような他事項の状態の確認作業を実施。
不動産取引は消費者保護の観点から効率的で、専門家の役割分担により、透明化されている。
エスクロー会社が、必要書類の確保、権利関係・条件の確認、清算手続等を履行。
所得税について、ローン利子及び取引費用・リフォーム費用の税額控除がある。借家よりも持家をサポートしている。
財務省、住宅都市開発省による住宅ローン返済支援策(Making Home Affordable Programs)で、月当たりの返済額の低減や、ローンの借り換え等のプログラムが提供されている。
商業銀行、貯蓄貸付組合(S&L)、モーゲージバンク等、民間の金融機関が実施。特に重要な役割を果たしているのが連邦住宅抵当公庫と連邦住宅金融抵当金庫であり、両社は10兆ドルの残高規模のある住宅ローン市場の約半分、6億ドルの資金を供給してきた。市場のセグメントとしては、低所得者層には連邦政府機関であるFHAの融資保険等が付保されたローン、中低所得者はGSEの買い取り基準に合致したローン(コンフォーミングローン)、高額所得者は民間金融機関のローン(ジャンボローン)といった分類がされてきた。FHAローンの多くは証券化され、同じく連邦政府機関であるジニーメイの連邦政府保証のついたMBSとして投資家に販売されていた。
下記3点が審査の基準となる。
①クレジットスコア:個人信用情報機関/信用調査会社
②返済負担率:年収(税込み)に対する年間返済額の割合
③融資比率:住宅価格に対する融資額の割合
ノンリコースローン(非遡及型ローン)が主流。ローンなどの返済についての原資となる範囲を物件に限定した融資となる。万が一、ローン返済が困難になった場合、担保(責任財産)となっている物件を売却し、債務が残ったとしてもそれ以上の責任を負わない。
賃貸住宅はリース契約を結び、契約期間はオーナーの意向による。
契約期間満了後、同じ物件を引き続きリースするには、改めてオーナーと契約交渉することになる。中途解約を認める法律は存在しない。
オフィス物件のリース期間は、例えばニューヨークでは3年から10年、リテール物件では5年から16年とされている。
外国人や海外企業も原則アメリカ人と同じように扱われる
不動産金融:International Monetary Fund「Global Financial Stability Report, April 2011」
カナダと米国の住宅ローン保険制度:「Housing Finance 2011/winter」
不動産のリース期間
日本貿易振興機構(JETRO)「米国における事業進出マニュアル -商業不動産賃貸-」(2021年1月)
LEX MUNDI 「Real Estate Global Practice Guide IV ? Issues Relating to Commercial Leasing」
個人が不動産(個人向け住宅)を売却することで生じる売却益(または譲渡益)には、売主の国籍にかかわらず連邦の所得税がかかる。不動産売却益にはほとんどの場合、州政府や地方自治体の所得税もかかるが、各州、各郡、各市によって税制および税法が異なる。
連邦税の場合、不動産売却益にかかる税金は、原則としてすべての売却にかかるが、当該物件が売り手の「主たる住居」となっている場合には、売却益が独身で25万ドル、夫婦合算で51万ドルまでなら非課税扱いとなる。
不動産取得後、各州で支払い義務が発生。州や郡レベルで課税され、税率は不動産(土地と建物)評価額の1.14%が全米平均で、地方自治体や同じ地域でも物件の立地などによって細かく異なる。
National Association of Realtors(NAR)によると、実効税率は、市場価格の0.8%程度。期日までに支払を行わないと、年率11%の遅延損害金が発生する。
日米両国政府は2019年8月、日米租税条約の改正議定書を発効させるための批准書を交換した。
日米租税条約の下、米国外の親会社などへの支払いに対しては、次の軽減税率が適用される。
持株割合50%以上:免税
持株割合10%以上50%未満:5%
ポートフォリオ配当:10%
財務省HP「主要国の土地税制」
National Association of Realtors(NAR)
日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 米国 税制」
ビジネスについての規制等は特別ない。労働者にはWorking Visaが必要。
駐在して就労するためには就労目的に応じたビザを取得する必要があるが、外国人に対する就業上の規制はない。
駐在の形態によってビザの種類と有効期限が異なる。また、ビザの取得についても申請方法や審査方法、期間が異なることに留意する必要がある。
不動産取引は外国人および外国資本に開放されている。
取引上の規制はないが、外国人や外国企業の不動産取得は、米国内での営業あるいは「恒久的施設」の取得とみなされ、税制面で不利になる可能性が高い。
不動産投資を促進させる税制。
アメリカ居住者は不動産の買換え時に一定の条件を満たすことで、制度の利用が可能。投資不動産の所有者は、物件を売却し売却益を、同種の不動産に投資すれば、キャピタルゲイン税を繰り延べできる。
2019年度国防権限法案が可決され、対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を強化することなどを内容とするFIRRMA が制定された。これににより、これまで審査対象になっていた外国企業等が米国事業を支配することになる買収・合併等に加え、外国人による、軍事施設やその他安全保障に関連する施設に近接している一定の要件を満たす不動産の購入やリースなどの取引もCFIUS の審査対象になることとされた。
外国人による不動産の取引について
日本貿易振興機構(JETRO)「外資に関する規制-米国-国・地域別に見る」
Like-Kind Exchanges Under IRC Code Section 1031
大和総研「米国対内投資規制の改正」(2018年08月17日)
122.84~1,520.65米ドル/㎡
13.67~30.00米ドル/㎡月
50.63~79.03米ドル/㎡月
11.11~126.67米ドル/㎡月
日本貿易振興機構(JETRO)「投資コスト比較」
全米の物件状態、登記状況、所有者名、過去の価格データ等不動産に関する情報を得ることが可能。全米不動産協会に所属する不動産事業者向けMLSと、一般公開型MLSに分けられる。ブローカーが得た売り物物件情報は24時間以内に登録しなければならないため、売り物物件の網羅性は非常に高い。いい物件を早く見つけるためには、日ごろから、全米不動産業者協会に登録しているエージェントに希望を伝えておき、該当物件が出てきたら、すぐに情報をもらえるようにしておくことが必要。
カリフォルニア州のMLS登録物件が最多。
MLSを基礎に作成されている。物件や築年数、過去の売買履歴、物件価格推移、固定資産税推移、現在の予測価格等を確認できる。
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