- アジア・中東
- 北米・中南米
- 欧州・アフリカ・大洋州
ラオスでは 16 年ぶりに土地法が改正され、2020 年 8 月に「改正土地法」が施行されている。
ラオス天然資源環境省は、土地に関する事業を全国統一的に管理するため、2022年8月25日付で「土地関連事業に関する天然資源環境大臣による合意(No.4392) (以下、「合意」)を発行した。
同合意においては、土地関連事業におけるマネー・ローンダリング(資金洗浄)およびテロ資金供与対策に関する規定も含まれている(第30条、第31条)。
ラオスの土地は、ラオス憲法第17条において、「国家共同体の所有に属し」とあるとおり、何人も土地を所有することができず、「永久的土地使用権」が、ラオス国籍者のみに認められている。このようなシステムの中、外国人や外国法人がどのようなかたちで、土地関連事業に参入できるのか合意の中で明文化されている。
ラオスの土地はすべて国家が所有し(2015年改正憲法第17条、2019年改正土地法第3条)、個人や法人が保有できるのは、土地利用権あるいはリース・コンセッション締結権である。土地利用権はラオス企業およびラオス国民のみが保有でき、土地利用権証明書によって認められる永久的な土地利用の権利である。土地利用権は次の5つの権利から構成される。
ラオスで外国人が生活する場合や外国企業がビジネスを行う場合には、
がある。ラオス国籍者からの土地の借地は、借り手との合意で実施できる。契約期間は、30年間が上限。その期間の延長には、地方政府の許可が必要。また、借地契約書は村役場や公証人への登録に加えて、郡の天然資源環境事務所における土地利用権活動登録が必要(改正土地法第117条)。
国有地のリースやコンセッションについても、契約期間は50年間。契約の延長には、政府または国会・地方議会の合意が必要(同第120条)。リースやコンセッションには入札を行うこと(同第119条)とされている。詳細な手続きは今後、規定されるとみられることから注意が必要。
ラオスの土地取引では、土地の使用権の移転のために①売買契約書,②譲渡証明書,③土地権利証が必要であるとされている。もっとも,土地法制定後も土地登記をせず,土地登記書がないまま,代替的文書(村長が発行した証明書など)によって土地の権利を証明し,土地取引が行われていた。しかし,現在の土地取引実務では土地使用権の移転を登記することが一般化してきている。その際には,公証人の証明を受けた譲渡証明書と土地登記書が必要である。
土地の価値の評価について土地法で規定されている。それによると,土地価値の評価は,その地理的位置の特色,インフラおよび短期・中期・長期における社会経済の拡大レベルに鑑みて各地方の各地域の土地の価値を定めることとされる(2019 年土地法 109 条1 項)。この土地価値の評価は,次の目的でなされている。
①から⑤の土地価値評価は,県知事,首都ヴィエンチャン知事が法規則に従い土地評価委員会を任命する。
〔不動産関連法・制度の現状〕
日本貿易振興機構(JETRO)「ラオス投資ガイドブック2023」(2023年2月)
〔土地・不動産の所有権〕
日本貿易振興機構(JETRO)「外資に関する規制」(2023年05月30日)
〔土地・不動産の所有権、土地・不動産の登記、不動産の鑑定評価〕
法務省「ラオス登記関連法制実務に関する調査」(2020年2月)
〔土地・不動産の登記〕
World Bak「Doing Business-Lao PDR Regisering Property」
売買等に基づいて土地使用権の登記を申請する個人または組織は、村落行政体および地域または市町村の土地管理当局を通して、地方または都市土地管理当局に申請書を提出しなければならない。その際に提出すべき書類は、
である(土地法 45 条)。
不動産に特化した法律ではないが、購入者と販売者は消費者保護法で守られている。法律に基づき、非営利団体であるConsumer Protection Associationが発足している。
019年改正土地法では、新都市やコンドミニアムなどの分譲開発のために、政府は最大50年間の制限付きで国有地の土地利用権を、ラオス国籍者だけでなく外国人・外資企業に販売することができるとした(同第123条)。さらに、関係機関の合意があれば、その土地や建物を他人や法人に売却、貸し出し、相続、担保化、証券化することも可能とした(同第124条)。
コンセッション事業に参加する外国投資家は、土地利用において次の2つの面で優遇される(改正投資奨励法第16条)。
〔不動産を取引する際の制度〕
村上暢昭編「メコン諸国の不動産法」(2017年8月)
法務省「ラオスにおける民事関係法制に関する調査研究 平成27年3月」
法務省「ラオス登記関連法制実務に関する調査」(2020年2月)
〔消費者保護〕
NNA調べ(2016年11月)
SlideShare「Lao Law on Consumer Protection」
〔不動産のリース〕
日本貿易振興機構(JETRO)「外資に関する規制」(2023年5月30日)
農地を除く土地、家、建物の利用権の売買に対する課税:2%
土地使用権の譲渡の場合、売買価格の1%を手数料として、もう 1%を税として徴収する。個人が登記する場合、土地価格の 1%が手数料となり、2%が税金として徴収される。これに対して法人の場合、手数料は個人が登記する場合と同じく、土地価格の 1%であるが,税率は 11%である。相続の場合,登記手数料は 0.2%に抑えている。
100平米で1万キープから10万キープ
土地、建物、車両、機械などのリースによる収入に対する課税:10%
農地を除く土地、家、建物の利用権の売買に対する課税:2%
日本と租税条約を締結していない。
〔不動産を取引する際の制度、不動産保有に関する税制〕
法務省「ラオス登記関連法制実務に関する調査」(2020年2月)
〔不動産取得に関する税制、不動産保有に関する税制、その他税制〕
日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る ラオス 税制」(2023年10月17日)
ラオス天然資源環境省は、土地に関する事業を全国統一的に管理するため、2022 年 8 月 25 日付 で「土地関連事業に関する天然資源環境大臣による合意(No.4392) (以下、「合意」)を発行した。ラオスの土地は、ラオス憲法第 17 条において、「国家共同体の所有に属し」とあるとおり、何人も土地を所有することができず、「永久的土地使用権」が、ラオス国籍者のみに認められている。このようなシステムの中、外国人や外国法人がどのようなかたちで、土地関連事業に参入できるのか合意の中で明文化されている。
上記の事業の中で、外国人、外国法人が参入できるのは、(1)土地の測量および(2)査定・評価に関するサービス業のみと規定されおり、土地使用権を取り扱う業務は許可されていないため、留意する必要がある(第 6 条)。
投資奨励法において、外資内資を区別することなくラオスでの投資が広く奨励されている。事業ネガティブリスト承認に関する首相令第107号で、ネガティブリストに挙げられている事業は、監督省庁での許可審査を受けることが定められているが、不動産業は該当しない。外資が不動産業を行う場合は、会社法に従い、商工省あるいは都・県商工省に届け出をして手続きを行う。
ただし、三つ星以上のホテル事業は外資出資比率上限が60%となる。
ラオス人の優先的雇用を推奨されているが、必要な労働力がラオス人で満たせない場合、外国人を雇用することができる。外国人労働者の比率上限は、単純作業従事者の場合はラオス人従業員数の15%、専門・技術職の場合は同25%である。5年以内の大規模国営事業における外国人労働者の雇用については、別途個別の契約で定める(2013年11月24日付改正労働法第68条)。
外国人投資家がラオスに在留するには、ビジネスビザ(NI-B2もしくはI-B2)および滞在許可証もしくはIDカードが必要。外国人労働者が滞在するには労働者ビザ(LA-B2)と労働許可証、滞在許可証が必要である。
ビザは複数回の出入国が可能なマルチプルビザを取得することが可能。
外国人、外国法人には土地使用権を取り扱う業務は許可されていないため、留意する必要がある
〔外資に関する優遇処置もしくは規制、外国人による不動産の取引について〕
日本貿易振興機構(JETRO)「ラオス投資ガイドブック2023」(2023年2月)
〔外資参入の許認可制度、外国人による不動産の取引について〕
NNA調べ(2017年11月)
外資企業による土地購入は認められないため、該当なし
(調査2022年11月2日~2022年12月)
主要都市等におけるマーケット情報
日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 投資コスト比較」
主要日系企業の進出はない
※データベースについては、関係機関等から収集した情報を掲載しており、必ずしも正確性または完全性を保証するものではありません。掲載情報の詳細については、出典元にお問い合わせいただくようお願いいたします(掲載情報以外の内容については、国土交通省としてお答えできません)。また、閲覧者が当データベースの情報を用いて行う一切の行為について、国土交通省として何ら責任を負うものではありません。