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内政部が土地実勢価格登記制度を実施している。これにより、不動産の取引価格は透明化の方向に向かうことを目的としている。土地の実勢価格での課税方法は1つには限られず、逐次、土地公告価格を市場価格まで引き上げる方法や、1年内の売買を優先的に実勢価格課税する方法などがあるとしている。
参考情報として、土地所有に関しては、上位所有権として国による所有、下位所有権として個人による所有の二種類が記載されており、これは台湾国籍を有する者に限定される。外国籍の方による土地および不動産の所有権については、別途の定義が存在する。
台湾を国家として捉えた場合、中国からの影響を多く受けている。特に、地政学的リスクや輸入品にかかる関税といった経済面、またスパイ活動を含む治安維持の面において注意が必要である。さらに、エンティティリストに基づく経済制裁や中国企業との取引の見直しや中止の必要性がある。
地政士が不動産売買において、契約書に対し、納税文書押印、納税、登記、権利証交付を行う。地政士が実施する手続きは下記の通り。
登記前に不動産取得税を納める必要がある。納税をしないと登記ができない。また、登記変更を行ってからローン給付による支払いが行われる。
売主側から見ると、売買代金が売主に支払われる前に登記の名義変更がなされ銀行からローンがおりるため、買主が代金を支払わず所有権を移転するという危険性があり、トラブルも多く発生している。
これを回避し、引き渡し完了まで当事者の権益を保護するため、契約履行を保証する一種のエスクローサービスが実施されている。前売分譲建物については、消費者保護法に基づく「前売分譲建物契約書」が2011年3月に改正され、義務化されている。
登記の申請先:当該土地が所在する土地登記所。
土地估價學會は土地評価の理論と技術の研究開発を目的とした非営利の社会団体である。専門的な土地評価技術の開発を促進し、土地評価担当者の社会サービスの質を向上させ、公正かつ合理的な土地評価制度を確立している。
不動産部門は中華民國不動產估價師公會全國聯合會が担当している。
不動産取引業を営もうとする者は、主管機関(Ministry of The Interior,R.O.C、直轄市、県(市))の許可を取得し、法人登記又は商業登記をし、登記所在地の同業協会に加入後営業することができる(条例第5条、7条)ことになっており、同業協会への加入は義務となっている。台北市の場合には、台北市不動産仲介商業同業協会があり、主管機関からの法令の周知、取引業従事者の研修、取引業関連法に関する要望とりまとめ等を行っている。
営業開始後、不動産取引業者は、15日以内に申請書、会社又は商業登記証明書写し、営業保証金納付証明書写し、同業協会会員証明書写し、不動産取引主任者名簿及び証書写し等を添付し、主管機関に登録しなければならない(細則第5条)。
不動産取引業者の免許、監督については、直轄市、県(県の下部に市、鎮、郷)、市(県と同格の存在)の地政處という部局が担当している。台湾の場合、主たる事務所が存在する場所の主管機関の許可を受けることとなる。
不動産取引主任者試験に合格し、不動産取引主任者証書を有するものは、不動産取引主任者と称することができる。(条例第13条第1項)
試験実施機関は、国の機関である考試院考選部が12月中旬に実施している。試験科目は、中国語、民法概要、不動産鑑定評価概要、土地法及び土地関係税法概要、不動産取引業関係法概要となっており、各科目90分(記述式と選択式)で、1日半かけて実施される。
不動産取引営業員は、不動産取引主任者に協力し、仲介又は販売代理業務を行う者である。中央主管機関又は認定機構、団体が開催する不動産取引営業員訓練に合格又は不動産取引主任者試験に合格し、かつ、中央主管機関指定機構、団体に登録し不動産取引営業員証明者証を有するものは、不動産取引営業員として活動することができる。この営業員訓練は30時間以上を要し、証明書有効期限を4年となっている。満期終了時、不動産取引営業員は20時間以上の訓練を終了する証明書を添付し、中央主管機関、指定機構・団体に新たに登録をしなければならない(条例第13条第2項、3項)。
〔不動産関連法・制度の現状〕
公益財団法人 日本台湾交流会「台湾月報」
〔土地・不動産の所有権〕
PwCコンサルティング合同会社調べ(2024年11月)
〔土地・不動産の登記〕
不動産適正取引推進機構「台湾の不動産仲介制度の概要(2)」(2012年7月)
〔不動産の鑑定評価〕
〔不動産事業を行う際の免許制度〕
不動産適正取引推進機構「台湾の不動産仲介制度の概要(1)」(2012年4月)
不動産取引の場合、「前売り分譲建物契約書」、「前売り分譲駐車場契約書」、「完成分譲建物売買契約書」、「不動産販売委託契約書」、「家屋賃貸借契約書」及び「家屋賃貸借委託契約書」については中央政府の内政部により見本の契約書が作成されている。このうち「前売り分譲建物契約」、「前売り分譲駐車場契約」及び「不動産販売委託契約書」について、「記載すべき事項及び記載してはならない事項」に違反した場合は、無効となる。例えば、前売り分譲建物契約の場合、記載してはいけない事項として、定義が明確でない「使用面積」、「受益面積」、「販売面積」という表現を使用してはならない、不動産説明書を回収すると約定してはならないという項目があげられている。
不動産取引に係る紛争が生じ、紛争が消費紛争に属する場合、消費者保護法の規定に従い、裁判所に消費訴訟を提訴するほか、下記機関団体に申立てることができることとなっている。
上記方法により申立てた後妥当な処理を受けない場合、消費者は直轄市・県(市)政府消費者保護委員会に申立てまたは直轄市・県(市)政府消費紛争調停委員会に調停を申請することができる。
消費者保護法に基づき、内政部が「前売り分譲建物契約」、「前売り分譲駐車場契約」及び「不動産販売委託契約書」を定め、「記載すべき事項及び記載してはならない事項」に違反した場合は、無効とするなど消費者保護の強化を図っている。さらに、一種のエスクロー制度を取り入れ、消費者保護を図ろうとしている。従前は一部大手不動産取引事業者において導入されていたが、消費者保護法に基づく「前売り分譲建物契約」を改訂し、様々な保証制度を設けた。
都市中心部における新築・中古のあらゆる住宅が高すぎるという、市民の怒りの批判を受け、台北市は、ねらいを豪宅に定めた「豪宅税」を課すことを決定した。各方面の意見を結集し、2011年の1月に正式に法政化し、2011年7月1日から実施することとなった。2012年からは、現在の住宅税に加算して徴収することになっている。
台北市都市更新処(都市再開発局)によって台湾で初めての「公営住宅」の建設が行われている。この公営住宅というのは、いわゆる社会住宅に相当するもので、全てが賃貸の住宅である。目的は、中低所得者が台北市内で居住できる環境づくりで、中低所得者が家を買うことが困難な状況に対応した賃貸のみの住宅提供である。
・台湾の不動産に投資する際に、地政学的状況は投資家にとって重要な要素である・地政学的な安定が確保されていない場合、投資家は安心して投資を行うことが難しくなる
・そのため、台湾は全体的に非常に良好な成長を遂げているにもかかわらず、金融機関による投資は慎重に行われている。特に中国との緊張関係や米国の介入が、この地域における不安定要因となっている
・また、台湾の地元住民は、ローンやリース市場に積極的に参加しており、住宅産業においても非常に活発である。しかし、依然として地政学的な状況が非常に敏感であり、強い影響を及ぼしている
・国際金融公社(IFC)によると、台湾で取得できる不動産売買免許は非常に信頼性が高く、国際市場においても大きな意味合いを持つ
不動産賃貸契約はテナントと直接行う。期間は一般的に1~7年とされている。賃貸契約の解除については、契約書に詳細な条件が記載されていることが通常で、借主が契約を中途解約する場合、違約金が発生することがある。
〔不動産を取引する際の制度・消費者保護〕
不動産適正取引推進機構「台湾の不動産仲介制度の概要(2)」(2012年7月)
〔不動産行政の方向性〕
〔不動産金融〕
PwCコンサルティング合同会社調べ(2024年11月)
〔不動産のリース〕
PwCコンサルティング合同会社調べ(2024年11月)
地方税。不動産譲渡または分割契約書を締結するにあたり、当事者や作成者が負担する。不動産譲渡・分割契約書の税率は0.1%である。
空き家となった不動産などを自宅として使用していない場合、所有1年で売却した場合には売値の15%、所有2年以内で売却した場合には売値の10%を課税する制度。
土地増値税は、当該用地の購入時と売却時の公示価格の差額に対して課税される。現在は、土地の増値額が原地価の100%以下の部分については税率20%、100%から200%の部分については税率30%、さらに200%以上の部分については税率40%の課税となっている。土地増値税の納付後、約1週間以内で売主から買主へ所有権の移転が完了する。
地価税の基本税率は地価の1%である。個人住宅用地に対しては0.2%。
当該用地や建物を所有した後には、建物固定資産税である房屋税として、土地公告価格の1%が課せられる。地域によっては、工程受益費の支払いが必要。
〔不動産取得〕
日本貿易振興機構(JETRO)「台湾 税制 その他税制税目」
〔不動産譲渡、不動産保有〕
日本貿易振興機構(JETRO)「現地法人が不動産取得をする場合の売買契約手続きおよび税金:台湾」
原則として、条約または外国の法律によって、台湾人が当該外国で同様の権利を享受できる場合に限り、当該外国の者も台湾で土地に関する権利を取得できる。
外国人が自分のため、投資または公益の目的で使用する場合、次の用途の土地を取得できる。ただし、その面積および場所は、各自治体が定める法規の制限に従わなければならない〔土地法第19条〕。
外国人による投資は〔外国人投資条例〕に基づく許可が必要。華僑・外国人投資の業種は原則自由だが、「華僑・外国人投資ネガティブリスト」に属するものは例外的に禁止または制限。また、中国企業による投資は〔大陸地区人民来台投資許可弁法〕に基づく許可を要し、投資可能な業種は「大陸地区人民来台投資業別項目」に属するもののみが許される。
労働部の許可証を申請取得した後、外交部領事事務局にビザを申請する。
外国人が台湾で就業する場合、有償または無償にかかわらず、原則労働部に許可申請が必要。外国人が就業可能な職種は次のとおり〔就業服務法第46条〕。また、特定の職業に従事する外国人は「外国専業人材招聘雇用法」に定める「外国専業人材」に該当し、同法の適用がある。
外国人による台湾の不動産への投資対効率は非常に高い状況である。
特定の不動産アセットにおいては、特に投資対効率が良い。
新規不動産物件も増えている状況である。
一方で、以下記載のリスク等を加味すると外国籍の方による投資割合はまだ限定的であり、建設資材の高騰の影響もあり、まだまだ伸びしろはあると思われる。
PwCコンサルティング合同会社調べ(2024年11月)
内政部「不動產交易實價查詢服務網」
〔主要都市等におけるマーケット情報〕
日本貿易振興機構(JETRO)「投資コスト比較」(2024年11月)
〔取引履歴・物件情報などのデータベース化〕
内政部「不動產交易實價查詢服務網」
PwCコンサルティング合同会社調べ(2024年11月)
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