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ブラジル

不動産関連情報

不動産に関する法制度

不動産関連法・制度の現状

ブラジルの主要な不動産関連法には以下のものがある。

  • 1988年連邦憲法 (Federal Constitution)
  • 民法典 (Civil Code, Federal Law No. 10,406/2002)
  • 都市土地法 (Urban Land Statute, Federal Law No. 10,257/2001)
  • 農村土地法 (Rural Land Statute, Federal Law No. 4,504/1964)
  • 公共登記法 (Public Register Law, Federal Law No. 6,015/1973)
  • 不動産開発法 (Real Estate Development Law, Federal Law No. 4,591/1964)
  • 都市賃貸借法 (Urban Lease Law, Federal Law No. 8,245/1991)
  • 不動産金融システム法 (Real Estate Finance System Law, Federal Law No. 9,514/1997)

土地・不動産の所有権

・不動産契約は利用可能だが、契約期間を遵守する必要がある。契約を特定の期間前に解約すると、生活費を上回る高額請求されるケースが多く注意する必要がある

・具体的には、契約期間を満了する前に解約した場合や、特定の期間を経過した後に解約した場合の罰則に係る法令が制定されている

土地・不動産の登記

不動産取引のプロセス:

不動産を購入する際には、まず売買契約書を公証人(Notário)により公正証書として作成する必要がある。この公正証書は、契約の合法性を保証するための重要なステップである。
公正証書が作成された後は、不動産登記所(Cartório de Registro de Imóveis)で正式に登記を行う。この登記が完了することで、購入者は正式な所有権を得ることができる。

不動産登記の重要性:

登記されていない不動産は法的に取引が認められず、所有権が正式に移転されないため、必ず登記を行うことが重要である。

賃貸契約の法律:

ブラジルでは、賃貸契約に関しては「賃貸法」(Lei do Inquilinato)という法律によって、賃貸人および借主の権利が保護されている。
この法律は、賃料の調整、契約の更新および解約、保証金についての規定を含んでおり、双方が公正な条件の下で契約を結ぶことを保証している。

不動産の鑑定評価

不動産鑑定士という資格はない。工学士、建築学士、農学士等であれば、それぞれの分野での資産評価を行うことができる。法的要件としては、「工学士・建築士・農学士州協会(CREA: Conselho Regional de Engenharia, Arquitetura e Agronomia)に会員登録している者」である。また、同じく鑑定士資格を認証する機関は存しない。CREAの会員であることは、法的要件。

なお、上記CREAの会員の中で、特に鑑定業を専門とする会員の団体として、ブラジル鑑定工学協会(IBAPE: InstitutoBrasileiro de Avaliações e Perícias de Engenharia)が存在する。IVSCのブラジル代表機関もこのIBAPEである。IBAPEの会員であることは、資格認証とは直接に関係がないが、IBAPEの会員であることで、ある程度の専門性を持っているという社会的信用を得ることはできる。不動産の鑑定基準を発行している協会は、ブラジル技術基準協会(ABNT: Associação Brasileira de Normas Técnicas)ブラジルにおける資産評価基準は、NBR第14653号である。

法制度が確認できるWebサイトの紹介

Presidencia da Republica

不動産事業を行う際の免許制度

原則として、リース取引の実施を目的とした法人の設立には、事前に BACEN の正式な認可が必要である(CMN 決議第 3,040/2002 号付属書)。

リース会社またはリース・ポートフォリオを有する総合銀行の出資者(株主)になろうとする個人または法人は、BACEN の金融制度組織部(DEORF)に法人設立申請の届出を行い、設立の過程で BACEN に対して専門能力を持つ個人を法的代理人として指名する。

出典

〔土地・不動産の所有権、土地・不動産の登記〕

PwCコンサルティング合同会社調べ(2024年11月)


〔不動産の鑑定評価〕

国土交通省「不動産鑑定評価基準の国際化に関する検討業務に係る調査報告書


〔不動産事業を行う際の免許制度〕

公益社団法人リス事業協会「ブラジルのリース制度

不動産の取引に関する制度

消費者保護(インスペクション、瑕疵対応、その他)

ブラジルでは、1990 年に民事実体法、訴訟法及び業刑罰規定を含む包括的な消費者保護法典が世界に先駆けて制定されたが、連邦レベルの行政機関であり、我が国の消費者庁にあたる法務公安省内の国家消費者局(Secretaria Nacional do Consumidor: Senacon)の設置は2012 年と後発であった。この間、1988 年連邦憲法において準司法機関(第4編第4章「司法に不可欠な職務」)として位置づけられる検察庁及び公共弁護庁が955、被害消費者の救済のみならず政策形成過程においても重要な役割を担ってきた。特に検察庁は長い歴史の中で先導的役割を担ってきたといえる。

さらに、我が国の消費生活センターに当たる全国各地のプロコン(Procons)は、消費者保護法典が制定された1990年よりも前から存在する歴史あるものもあり、各地域の州検察庁と連携しつつも、個別の役割を担ってきた。

不動産行政の方向性(新築・中古、長期・短期、持家・借家)

ブラジル経済省は7月24日、連邦政府が所有する109の不動産を24の入札案件として公開した。連邦政府が入札で取り扱う不動産の数としては過去最大なものになったが、入札方法が電子競争入札システム(SCE)により100%オンラインで行われるようになった。

この背景には、6月10日付法律14.011号による「連邦政府の不動産管理・売却方法の変更」がある。主な変更点は、オンラインで不動産を売却できるようになったこと、個別の不動産をグループ化・地域ブロック化した入札が可能になったこと、州・市などの自治体が建設・リフォーム・技術サービスの提供を対価として連邦政府の物件を使用できるようになったことの3点だ。公開された入札案件の総額は約1億レアル(約20億円、1レアル=約20円)となっている。経済省で連邦政府の資産を管理するフェルナンド・ビスポ局長は、財源確保に加え、不動産のメンテナンスにかかるコストの削減メリットもあると述べている。ジャイール・ボルソナーロ政権は2019年1月の政権発足当初から「小さな政府」を掲げていたが、同局長は新型コロナウイルス感染拡大の影響で財源確保が重要になる状況下、その重要性は増していると説明した。

今回の入札で取り扱っている地域別の不動産数は、上位から順にマットグロッソドスル州(44)、サンパウロ(32)、ブラジリア連邦直轄区(20)となっている。例えば、サンパウロ州で最も高額な入札案件は、カンピーナス市で1万平方メートルを超える土地などを含んだ案件で、総額1,250万レアル(約2億5,000万円、1レアル=約20円)で公開されている。

不動産金融(住宅ローンの実態、ローン審査、担保評価)

・2年間は契約を解約できない条件がある場合や、5年間契約を維持することで特別な割引や契約開始時の固定費の割引を享受できる条件などがある

・ブラジル市場では、リース契約の開始時に非常に魅力的な利率が提供されているため、固定金利の場合は契約期間が短い傾向にあり、一方で、変動金利の場合は契約期間が長くなる傾向にある

・契約後に特定期間が経過した後に契約を解除したい場合、市場価格に基づいた支払いが求められることがあるため、最終的な契約前には利用者にとっては慎重な判断が必要である

不動産のリース(期間、延長・解除の是非)

固定の場合は2年で柔軟な契約では5年が一般的である。
ブラジルには「住宅賃貸法」(Lei do Inquilinato)があり、借主と貸主の権利と義務を規定している。

出典

〔消費者保護〕

消費者庁 ブラジルにおける消費者政策体制


〔不動産行政の方向性〕

日本貿易振興機構(JETRO)「経済省、オンライン方式での過去最大数の不動産入札案件を発表」(2020年8月)


〔不動産金融〕

PwCコンサルティング合同会社調べ(2024年11月)


〔不動産のリース〕

PwCコンサルティング合同会社調べ(2024年11月)

不動産に関する税制

不動産取得に関する税制

〔相続・贈与税(ITCMD)〕

資産や権利の相続・贈与に対する課税。税率は州により異なり、上限は8%。
サンパウロ州の税率は4%だが、以下の事由等に該当する相続・贈与の場合、非課税。

  • ・5,000UFESP*未満の現に居住する唯一の住居を相続する場合
  • ・2,500UFESP未満の不動産で、それが唯一の相続財産の場合
  • ・1,000UFESP未満の銀行預貯金を相続する場合
  • ・2,500UFESP未満の贈与の場合
  • ・社会福祉団体、文化団体、環境保護団体等の非営利団体へ贈与する場合

不動産譲渡に関する税制

〔生存者間不動産譲渡税(ITBI)〕

生存者間の不動産および不動産の権利譲渡に対し課税。税率は不動産の所在する市により異なる。
サンパウロ市の税率は3%。住宅融資システム(SFH)等の融資を受けている不動産の場合、制限額までの税率は0.5%。

不動産保有に関する税制

〔土地家屋税(IPTU)〕

都市部の不動産に対し課税。時価を基に算定し、税率は不動産の所在する市と用途により異なる。
サンパウロ市の場合、居住用不動産に対する税率は1%、非居住用不動産は1.5%。不動産価額により割引または割増される。

その他税制(租税条約等)

〔二国間租税条約〕

日本とブラジルは租税条約を締結しており、ブラジルの国内法と同租税条約のいずれか有利な方を選択できる。源泉所得税率は通常15%だが、同条約により12.5%を適用。

出典

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る ブラジル 税制」(2023年7月12日)

不動産取引に関する外国人及び外国資本に対する規制

外資に関する優遇処置もしくは規制

奨励業種に関して、特に外資、内資は区別されていない。雇用を多く創出し、かつイノベーションを促すITなどの最先端産業や自動車産業等、インフラ開発部門に対する投資優遇策などがある。

REIDI(2007年6月15日付け法令11488号、インフラ開発奨励特別プログラム)

交通、港湾、空港、エネルギー、公衆衛生、水利事業プロジェクトに対するインフラ投資奨励策。 社会負担金(Pis/Cofins)に対する税制恩典が与えられる。

外資参入の許認可制度

外資参入が禁止されている業種は、核エネルギー開発関連、保健医療サービス、郵便、電報業、航空宇宙産業であり、都市部においては、外資を対象とした土地所有に関する制限・規制は存在しない。一方、外国人や外国企業が国家防衛上重要な地域(国境付近など)で土地を取得することは認められない。また近年、中国や米国などの外国企業や外国人がブラジル農村部の土地を購入する事例が増えたため、外国企業や外国人の農村部の土地購入に関して厳密な法令適用を行い、土地購入状況を監視する体制を強化している。

外資系企業は、起業にあたり納税番号(CNPJ)取得の必要があるが、2002 年 9月の新法により、海外の本社の CNPJ も申請、取得するよう義務付けられた。この作業を行わない場合、定款の変更が認められなくなり、駐在役員の交代などができなくなる。

外国人による不動産の取引について

〔外国企業の土地所有〕

一定の制限があるものの、外国企業の土地所有が可能。
有効な居住許可を保有しブラジル国内に居住する外国人や、外国企業がブラジルの法令に従いブラジル国内に設立した企業は、一定の制限があるものの、土地・不動産の取得・所有が認められている。外国に居住する外国人や外国企業によるブラジル国内の土地所有は禁止されている。

都市部の土地所有(Urban Property)

特に規制、制限はない。

地方の土地所有(Rural Property)

国内の外国人または外国企業による土地所有が農牧畜事業または工業製造事業の導入、開発を目的としたものであり、かつそれらの事業が社会的責任を果たすのに即したものであると考えられる場合にのみ許可が与えられる。事業内容により、農務省または開発商工省の認可を必要とする。

取得可能な土地面積
  • ・ブラジルに居住する外国人による土地取得
  • 3MEI*以上の土地を取得する場合、国立植民農地改革院の承認が必要。20MEIを超える土地を取得する場合、土地開発に関する計画書を提出し、認可を取得する必要がある。50MEIを超える土地を取得する場合、国会での承認が必要。土地面積が3MEI未満の場合には国立植民農地改革院や国会の承認は不要だが、複数の3MEI未満の土地を取得する場合、国立植民農地改革院の承認が必要。

  • ・外国企業がブラジル国内に設立した企業あるいは外資比率が過半数を占めるブラジル企業による土地取得
  • 農業、畜産業、林業、製造業、観光、土地造成事業を土地取得の目的とし、当該企業の事業目的に合致している場合に許可される。100MEI以下の土地を取得する場合、国立植民農地改革院の承認が必要。100MEIを超える土地を取得する場合、国会での承認が必要。

    *MEIとは国立植民農地改革院が定める土地面積の基準単位で、1MEIは自治体により5~100ヘクタールと異なる。

なお、ブラジルに居住する外国人、外国企業がブラジル国内に設立した企業あるいは外資比率が過半数を占めるブラジル企業(単数・複数を問わない)が1つの自治体の25%を超える土地を所有することは禁じられている。
また、同一国籍のブラジルに居住する外国人または外国企業がブラジル国内に設立した企業(単数・複数を問わない)が1つの自治体の10%を超える土地を所有することも禁じられている。

出典

〔外資に関する優遇処置もしくは規制〕

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る ブラジル 外資に関する奨励」(2023年7月12日)


〔外資参入の許認可制度〕

一般社団法人 日本中小型造船工業会

一般財団法人 日本船舶技術研究協会「ブラジル造船関連レポート2


〔外国人による不動産の取引について〕

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る ブラジル 外資に関する規制」(2023年7月12日)

主要都市等における不動産マーケット情報

主要都市などにおけるマーケット情報

〔工業用地価格〕
  • サンパウロ
  • 1778米ドル

〔事務所賃料〕
  • サンパウロ
  • 33米ドル/月

  • タツアペ地区
  • 3,000m2:3,000万レアル

〔駐在員用住宅借上料〕
サンパウロ
  • セルケイラ・セーザル地区
  • マンションタイプ(160m2)、3寝室、駐車場1台分
    6,800レアル+共益費2,510レアル+都市不動産所有税(年間)850レアル

取引履歴・物件情報等のデータベース化

〔不動産調査会社〕

VIVA REAL

出典

〔主要都市などにおけるマーケット情報〕

日本貿易振興機構(JETRO)「投資コスト比較 リオデジャネイロ(ブラジル)」(2024年12月)


〔取引履歴・物件情報などのデータベース化〕

PwCコンサルティング合同会社調べ(2024年11月)

不動産業者に関する情報

主な国内不動産業者

〔デベロッパー〕
〔仲介業〕

不動産業(住宅販売等を含む)を展開する主な日系企業

  • スターツグループ   等
出典

PwCコンサルティング合同会社調べ(2024年11月)

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