country-flag

タイ

不動産関連情報

不動産に関する法制度

不動産関連法・制度の現状

民商法典(Civil and Commercial Code)において、不動産、売買、賃貸借、使用貸借等に関する一般規定が定められている。土地法(Land Code B.E.2497(1954))が土地の所有権移転、移転登記、土地の権利証、外国人(法人を含む)の土地所有等の事項を定めている。コンドミニアム法(Condominium Act B.E.2522(1979))がコンドミニアムの区分所有、外国人(法人を含む)による同所有に関する事項を定めている。

土地・不動産の所有権

〔基本概念〕

土地のほかに、建物は別個の不動産として所有権の対象となる。そのため、建物を土地の所有者と異なる第三者が所有することも可能。不動産の売買については、売買契約の締結に加え、土地事務所における登記を完了させることで売買の効力が発生する。 タイにおいて事業を行う外国法人は,事業の存続期間中,投資促進法第27条及びタイ工業所有権庁法第44条又は石油法第65条に基づき,投資委員会を通じて、条件付きで土地所有に関する特権及び免除の対象となる。 また、土地改正法(2008年)86~96条に外国人の土地所有に関する規定がある。同法第96条1項及び付属省令に基づき、外国人による土地の取得は、最低でも以下の条件が定められている。 (1)外国人が経済的及び社会的に自国の利益となるように投資する事業又は投資委員会が投資促進法の適用対象とする事業。 (2)継続的な投資の期間が、三年以上であるもの。 (3)取得する土地が、バンコク都、パタヤ市、市町村又は都市計画法に基づき住宅地して指定されている区域内であること。

〔土地・不動産の所有権〕

土地、建物はそれぞれ別個の不動産として所有権の対象となる。そのため、建物を土地の所有者と異なる第三者が所有することも可能である。

〔外国人の土地および不動産の所有権〕

原則として外国人(法人含む)は土地を所有できないが、下記の通り例外もある。

〔住居目的の土地所有〕

4,000万バーツ以上の投資金を持ち、投資期間が3年以上、指定された地域内の土地であるなどの条件を満たした上で大臣による承認が得た外国人は、1,600㎡まで土地を所有できる。

〔企業の土地所有〕

外国人が登録資本金の49%超の株式を保有している場合、又は、外国人株主が全株主の過半数を占める株式会社は所有できない。

タイ投資委員会(BOI)奨励企業やタイ工業団地公社(IEAT)認定の工業団地に立地する企業の場合は、外資比率にかかわらず土地取得が可能。

建物については外国人に対する特段の規制はなく、外国人も所有が可能。

また、コンドミニアム法において、外国人(法人を含む)のコンドミニアムの所有が認められている。外国人、外国法人が保有するコンドミニアムのユニットの総床面積は、コンドミニアムの全ユニットの総床面積の49%を超えてはならない等の条件がある。

土地・不動産の登記

〔土地の登記〕

管轄地の土地事務所(Land Office)にて登記する。書面による合意と土地事務所での登記が土地売買の有効要件となる。

土地の所有権を証するものとして土地権利証書(Chanote)が発行される。

土地の権利に関する重要な書類としては、契約書、権利証書(Chanote)、確認済使用権証明書(Ngor Sor Saam GorまたはNS3G)の3点が挙げられる。

権利証書(Chanote、Nor Sor 4とも言われる)は、土地の完全な所有権を証明する証書で、管轄の土地事務所により原本が2部発行され、1部が土地の所有権者に交付、もう1部が当該土地事務所に保管される。原則、土地事務所のデータベースに保管されており、土地事務所のWebsiteにおいて検索することができる。

なお、権利証書は全ての土地で発行されているわけではなく、下記の通り、その他の各種証明書が代替的に利用される場合もある。但し、土地所有権そのものを証明するものではない。

  • 使用権証明書(Ngor Sor Saam またはNS3)
  • 占有証明書(Sor Kor Neung)
  • 土地税納付証明書(Por Bor Tor 5)
〔BOI奨励企業による土地所有申請手続き〕

外国人の資本持分が全資本の49%を超えるか、外国人株主数が全株主数の半数を超えている奨励企業は、投資奨励法の27条により、土地所有の申請ができる。そのためには、所在地の地図、建設計画、および土地権利証書を添付の上、申請フォームを担当の投資促進部(Investment Promotion Bureau)に提出する。
(注:タイ国工業団地公社(IEAT)が管理する工業団地内の土地についてはIEATへ申請すること。)
BOI事務局は、要望のある土地の総面積を承認し、申請者に承認の文書を送付する。
土地がバンコクにある場合、BOI事務局は、土地局に、地方にある場合は、当該の県知事に通知する。
承認の文書の受領に引き続き、その土地を取得するために被奨励企業は、その土地が所在する地区の土地局に、奨励証書を提示しつつ連絡を取らなくてはならない。

〔建物の登記〕

土地と同様に書面による合意と登記が売買の有効要件となる。建物の売買の際は、土地事局において売買契約証書に署名し、30日間の公告期間を経て、土地事務所から売買証明書が発行される。売買証明書は土地の権利証書とは異なり、建物の所有権を直接証明する効力はない。

建築後売買の対象になっていない建物の所有権を示す証拠としては、建物建設時に取得する建設許可証が用いられる。

不動産の鑑定評価

〔鑑定評価概要〕

不動産鑑定にはタイ政府基準または国際的基準、評価法規が存在していない。民間の鑑定士資格はあり、下記が主要団体となる。

2018年に提出された「評価基準および職業倫理法」草案は、現在国務院の承認・審議待ちである。

鑑定関係主要団体
  • タイ鑑定士協会(VAT:The Valuers Association of Thailand)
  • 独自の鑑定基準を定めている民間団体。一定のスキルを有した者に鑑定士(Valuer)資格を認定する。鑑定資格は政府からの認可や免許・登録を受けていない非国家資格。
  • タイ鑑定評価協会(TVA:Thai Valuation Association)
〔鑑定基準に関する今後の動向〕

近年タイ証券監視委員会(SEC:Security and Exchange Commission)によって、鑑定評価基準が若干改正された。鑑定業界内では、国際的基準を導入すべきだとの意見が出始めており、今後導入が見込まれる。

法制度が確認できるWebサイトの紹介

不動産事業を行う際の免許制度

〔制度概要〕

国家に義務付けられた正式な免許制度はない。商務省事業開発局(Department of Business Development, Ministry of Commerce)に事業登録する必要がある。

無登録の場合は、罰金、禁固刑などが課される。

〔外国人の不動産事業〕

外国人事業法(Foreign Business Act B.E.2542(1999))の規制リストに土地取引が含まれている。

出典

不動産関連法・制度の現状、不動産の鑑定評価

国土交通省「不動産鑑定評価基準の国際化に関する検討業務に係る調査報告書」(2011年3月)

土地・不動産の所有権

NNA調べ(2017年10月)

土地・不動産の登記

Department of Lands

タイ国投資委員会ガイド2018

野村総合研究所調べ(2021年2月)

不動産証券化協会「アジア諸国の不動産法制の基礎 第3回インド、タイ

The Valuers Association of Thailand

日本貿易振興機構(JETRO)「ビジネス関連法規・告示等 仏暦二四九七年・土地法

森・濱田松本法律事務所 「アジア不動産法制 初版」

不動産の鑑定評価

日本不動産鑑定士協会連合会「各国の国際評価基準(IVS)導入状況

Bangkok Post「各国の国際評価基準(IVS)導入状況

不動産の取引に関する制度

不動産を取引する際の制度

〔制度概要〕

実務上、土地事務所の登記官の面前において、所定の契約書様式に必要情報を記載し、売り手と買い手が署名し、さらに登記官が署名して公印を押す。依頼を受けた代理人弁護士が同席することもある。

土地売買における詐欺等の問題を防ぐために、登記手続きの完了を見届けた後、売買代金の支払いを行うことが推奨される。

契約書に署名し、購入取引を行う前に、弁護士に調査を依頼し、不動産の実態等を確認することを推奨する。契約時には10%の保証金が支払われる。 契約書の交換や残金の支払いなどを含め、通常30日から60日かかる。これらが完了すると、権利証書は登録と税金の支払いのために土地局に提出される。

〔BOI奨励企業による土地の譲渡〕

BOI奨励企業が、後に解散した場合には、BOI事務局に通知し、その土地は解散の日から1年以内に売却しなくてはならない。
BOI奨励企業が、株主の50%以上が外国人である他の奨励企業に事業を譲渡する場合には、被奨励企業は、BOI事務局に事前許可を申請しなくてはならない。

消費者保護(インスペクション、瑕疵対応、その他)

〔消費者保護の規制〕

不動産に特化した法律ではないが、購入者と販売者は消費者保護法で守られている。また、Real Estate Professionals Trade Associationは、インスペクションサービス「200 point Pre-Purchase inspection」を行っている。サービス内容は下記の通りである。

  • 現地調査を行い、インスペクションの詳細レポートを提出。建物の内外、電気系統も全てインスペクションの対象となる。
  • 購入を予定している不動産の全ての情報を提供する。
  • インスペクターは豊富な知識と訓練された者で構成されている。
  • インスペクターは買主、売主双方にとって有益な問題解決方法を提示する。

実際には、工事遅延や購入後の瑕疵の発覚によって買主が損害を受けるケースがある。不動産購入の際には、信頼できる不動産会社等に相談する、事前の入念な現地視察、調査等を実施し、慎重に検討することが必須である。

コンドミニアム法(Condominium Act B.E. 2551 第6/2条)によれば、コンドミニアムのユニットの売買の際には所定のフォームの契約書を締結しなければならないとされている。この所定のフォームの契約書において、売主が登記日から構造部分については5年間、非構造部分については2年間の瑕疵保証期間が記載されている。

民商法典上は、瑕疵を発見した時から1年間のみ責任を負うとしており、コンドミニアムの契約書の書式にはこれよりも長い期間が記載されている。なお、実際には、締結する契約書の作成は、所定のフォームを基に登記官が改めて作成し直している。

民商法(Civil and Commercial Code)第472~474項において、瑕疵があった際の法的責任の在処を規定している。基本的には、瑕疵があった場合は売主の責任があるとされる一方で、提訴の期限や、状況により買主が責任を負う場合もある。


さらに、個人ローンなどを別途借り入れている場合も、住宅ローンの一部として扱われるようになり、1,000万バーツ以上の住宅を購入した際の借入限度は住宅価格の80%となる。中銀は新たな規制を通じて、住宅ローンの不良債権化のリスクを抑えたいとしている。

新コンドミニアム法第50条において、詳しく記載されている。被害が建物全体又は半分以上の場合において、管理組合が修繕の決議をしたときは、管理会社は、これに従わなければならない。修繕費用は、各管理者が所有権を有する割合に応じて、連帯して支払わなければならないとしている。

不動産行政の方向性(新築・中古、長期・短期、持家・借家)

2011年政府住宅銀行(GBH)による0%金利住宅ローンの供与を実施。100万バーツ(約246万円)以下の住宅を初めて購入する者が対象者で、返済期間が最長30年、ゼロ金利は当初3年。その他、GBHは低所得者向け融資を強化する等している。

また、タイ中央銀行(BOT)は2019年4月1日から、1,000万バーツ(約3,500万円)以上の住宅や2軒目以降の住宅購入者に対し、頭金として住宅価格の20%の支払いを義務化させることを発表した。

タイでは、低・中所得者層への供給サイド、需要サイドへの住宅施策がきめ細かく実施されている。低所得者向けには、公共住宅の供給が国家住宅供給公社(NHA)やコミュニティ組織開発研究所(CODI)で実施され、中所得者層を中心に政府系の住宅銀行(GHB)や貯蓄銀行(GSB)が住宅ローンの貸付を実施している。また、タイ国投資庁(BOI)では低・中所得者層への住宅開発プロジェクトに対する所得税減免措置等の投資インセンティブを与えている。 コミュニティ開発協会(CODI)や住宅供給公社(NHA)が低中所得者向けの住宅計画を策定している。

不動産金融(住宅ローンの実態、ローン審査、担保評価)

〔住宅ローンの実態〕

住宅購入時には2~3割程度が住宅ローンを利用し、変動金利が主で、2011年新規貸し出しのうち商業銀行が6割、政府住宅銀行3割となっている。

住宅ローンの家計負債率が高いため、政府系金融機関のタイ信用保証公社(TCG)と抵当証券公社(SMC)が保証を供与することを計画。債務不履行に陥った場合は、TCGとSMCが融資の全額もしくは一部を肩代わりする。また、2016年には、政府貯蓄銀行(GSB)と政府住宅銀行(GHB)は、初めて住宅を購入する低所得者を対象に、低金利住宅ローンの実施を開始した。

外国人は一般的にタイで不動産を抵当に入れることはできず、実際、現地の銀行による外国人向け住宅ローンは、タイではほとんど存在しなかった。しかし近年、外国人の金融アクセスを制限する政策に若干の変化が見られる。 ただし、外国人向けの住宅ローンを提供しているものの、外国人名義での所有や、コンドミニアム法の下での登録があることなどの厳しい条件を課している銀行が多い。

〔ローン審査〕

商業銀行各国のローン審査は、低所得層、富裕層いずれにおいても厳格化しており、住宅ローン却下率が2016年で25%~30%上昇する見通し。これを受けて、政府は低所得者向けの住宅開発と住宅ローンの提供を進めている。

〔担保評価〕

住宅ローン利用時には、不動産鑑定人の鑑定評価による不動産担保価値の審査がある。鑑定評価は売り手買い手双方からのニーズがある。これら鑑定業務は投資用不動産の時価評価、担保評価等で需要はあるが、不動産鑑定業者が関連業務の法人を設立する際の規制は無い。

不動産のリース(期間、延長・解除の是非)

賃貸住宅の契約は普通借家契約で、一般的な契約期間は1年。契約終了時に貸主の合意があれば、借主は賃貸期間を延長できる。土地や建物の賃貸は最長30年まで可能。30年を超える期間の賃貸借契約を希望する場合には、賃貸借契約を更新する方法によることが一般的。

賃貸期間が3年を越える不動産は、土地事務所に登記しない限り3年間しか拘束力を持たない。このためオフィスの賃貸期間は、登録義務を避けるために3年以内とされるのが一般的。

外国人に特化したリース規定は存在せず、民商法第540条に一般的なリース期間(最長30年)が記載されている。タイにおけるリース契約は、(リース契約違反の場合)早期に終了することができ、 抵当に入れることができず、自動的に継承することができない不動産法の賃借の下にあり、賃借人は、契約で合意されている場合に、転貸し、残された残りの期間を割り当てる法的権利を有する。

出典

不動産を取引する際の制度、消費者保護

タイ国投資委員会ガイド2018

Real Estate Professionals Trade Association of Thailand

不動産行政の方向性、不動産金融、不動産のリース

NNA調べ(2017年10月)

NNA ASIA (2018年11月12日)

野村資本市場研究所「資本市場クォータリー2013春号 拡大するタイの住宅金融

不動産取得に関する税制

〔特定事業税〕

特定事業税は、金融機関、証券、保険、不動産販売業などの特定事業に課税される。

不動産販売業については、売買代金または土地局による資産評価額のいずれか大きい方の3.3%課税される。

〔印紙税〕

税率は、文書や証書の種類によって異なる。税率は契約書/同意書では1,000バーツにつき1バーツ課税される。

不動産売買の際には、売買代金または土地局による資産評価額のいずれか大きい方の0.5%要するが、特別事業税を負担した場合は支払い不要。

〔キャピタルゲイン税〕

贈与の場合と贈与以外の場合で課税方法が異なる。

贈与等により取得した不動産の譲渡益については、その譲渡金額の50%相当額を低額(率)控除することが認められる。そして、残余の金額(正味取得金額)を保有年数で乗じた上、個人所得財率表に基づき単年度あたりの税額を計算し、それに保有年数を乗じて納付すべき個人所得税額を算出する。

贈与以外の場合、保有年数により控除率は1年所有の8%から8年以上所有の50%まで変動し、正味所得金額に税率を掛けて所得税率となる。個人所得税額の上限は20%である。

〔移転登記手数料〕

売買代金または土地局による資産評価額のいずれか大きい方の2%。

不動産保有に関する税制

〔土地・建物税〕

2017年1月より施行される予定だった固定資産税。。2019年1月現在も発効について審議中。

貧富の格差是正や税収増などを目的に導入される。法案によると、税率は累進制で、農地、住宅、商用、遊休地(未使用の土地)の4区分で異なる。導入に伴い、現行の土地・建物関連の税である地域開発税などは廃止される。

農地は、評価額5,000万バーツ(約1億4,600万円)未満の場合は非課税で、最高税率は0.2%。住宅は最高税率が0.5%で、初めて取得した住宅と2軒目以降で税率の体系が異なり、初めての住宅は評価額5,000万バーツ未満が非課税。商用の最高税率は2.0%、遊休地の最高税率は5.0%に設定されている。

2019年3月13日に新土地家屋税法が施行され、2020年8月(当初は1月1日施行予定であったが、2019年12月の告示により延期)から新法に基づく土地家屋税の課税が始まる。同法の施行により、旧土地家屋税法および土地開発税法は廃止された。 新法の下では、土地、建物またはコンドミニアムユニットの評価額が課税標準となる。税率は、利用目的(農地、住宅地または商業地)に応じて0.15%から3%が上限とされている。

想定賃貸料は実際の賃貸料もしくは建物が賃貸中の場合は所管の税務署員が見積もる想定賃貸料。

〔看板税〕

収益事業目的で使用される会社名、商号、商標などが記載された看板の所有者に課される税。看板の面積に応じて課税され、タイ語表記と外国語表記で税率が異なる。外国語表記の方が高く、タイ語表記は500平方センチメートルあたり3バーツ、外国語表記は同面積あたり40バーツ。

その他税制(租税条約等)

〔日タイ租税条約〕

源泉税率は配当金10%、利息15%、ロイヤルティ15%。金融機関への利息支払については10%に軽減される。

〔相続税・贈与税〕

2016年2月1日より導入。相続税は1億バーツ超の資産を相続した相続人は10%、相続人が直系尊属または直系卑属の場合には5%が課税される。贈与税下記において一律5%課税される。

  • 暦年中に、嫡子(養子を除く)が親から、贈与または不動産の所有権もしくは占有権の無償譲受を得た場合、その2,000万バーツ超の部分。
  • 暦年中に、直系尊属・卑属、配偶者から、生活支援もしくは贈り物を得た場合、その2,000万バーツ超の部分。
  • 暦年中に、直系尊属・卑属、配偶者以外の者から、道徳的な生活支援もしくは式典や慣習や伝統などに基づく行事などで贈り物を得た場合、その1,000万バーツ超の部分。
出典

不動産保有に関する税制、その他税制

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る タイ 税制

タイ歳入局(The Revenue Department)

新土地家屋税法

野村総合研究所調べ(2017年10月)

森・濱田松本法律事務所 「アジア不動産法制 初版」

不動産取引に関する外国人及び外国資本に対する規制

外資に関する優遇措置もしくは規制

原則として外国人(法人含む)は土地を所有できない。下記の通り例外もある。

〔住居目的の土地所有〕

4000万バーツ以上の投資金持ち厳格な査定や条件を満たした上で大臣による承認が得た外国人は、1600㎡まだ土地を所有できる。

改正土地法第96条に該当する外国人のみが、特定地域における居住用の土地を1,600平方メートル(または1rai)まで所有することができる。第96条に基づく外国人の土地所有には、BOIが承認したタイの債券および資産で、タイ経済に有益でなければならず、 内務大臣の承認を必要とするものへの4,000万バーツ以上の投資が条件である。この免除に基づいて外国の土地の所有権が付与された場合、所有権は付与された者の生存時に限定される(譲渡不可、相続不可)。土地法第96条に基づく外国の土地所有の許可は、めったに申請されず、付与されない。

〔企業の土地所有〕

外国人が登録資本金の49%超の株式を保有、外国人株主が全株主の過半数を占める株式会社または公開株式会社、類似したパートナーシップ、財団は土地を所有できる。タイ投資委員会(BOI)奨励企業やタイ工業団地公社(IEAT)認定の工業団地に立地する企業の場合は、外資比率にかかわらず土地取得が可能。

なお、外国人による建物の所有は禁じられていないため、外国人が土地を借りた上で、賃貸借契約の規定に従って土地上に建物を建築して所有することは可能である。

タイにおいて事業を行う外国法人は,事業の存続期間中、投資促進法第27条、タイ工業所有権庁法第44条又は石油法第65条に基づき,投資委員会を通じて土地所有に関する特権及び免除を取得することができる。この免除は多額の投資を条件とし、事業期間に限定される。

外資参入の許認可制度

不動産業に関する免許制度は存在しない、あるいは有名無実化している状態である。ただし、営業するにはDepartment of Business Development ,Ministry of Commerce(事業発展局)に登録する必要がある。

Foreign Business Act, B.E. 2542 (1999)によると、タイにおいて賃貸業に従事しようとする外国人は、同法第17条に基づき、事業開発局長(Director General of Department of Business Development)及び外国事業委員会(Foreign Business Committee)に外国事業許可申請をしなければならない。

就労ビザ、長期滞在について

〔外国人就業規則〕

2020年6月20日施行の法改正により、27業種については外国人就業禁止業種、3業種についてはタイが加盟している条約に基づく条件を満たす外国人のみが就労できる業種、 8業種については従業員としてのみ就労できる技能労務・準技能労務の業種、および2業種については従業員としてかつタイ政府と外国政府との間の合意書(MOU)に基づいてタイに入国した外国人のみが就労できる業種に指定された。

〔在留許可〕

外国人が労働目的でタイに入国し、その後でワークパーミットを申請する場合、まずノン・イミグラントビザを申請する必要がある(移民法)。

入国時に90日間の滞在許可が与えられ、ワークパーミット取得後、滞在許可の延長ができる。BOIの投資奨励企業であれば、ワークパーミットの取得は比較的容易にできる。

外国人による不動産の取引について

外国人事業法(Foreign Business Act B.E.2542(1999))において、禁止事項に土地取引が含まれている。

出典

外資に関する優遇措置もしくは規制、外資参入の許認可制度

Foreign Business Act B.E.2542 (1999)

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る タイ 外資に関する規制

主要都市等における不動産マーケット情報

主要都市などにおけるマーケット情報

〔工業団地(土地)購入価格〕
チョンブリ県工業団地、一般工業区

220米ドル/m2

〔工業団地借料〕
チョンブリ県工業団地、一般工業区

7.4米ドル/m2月

〔事務所賃料〕
バンコク
  • タイムズスクウェア
  • 22.5 米ドル/m2月
  • エクスチェンジタワー
  • 35.3米ドル/m2月
〔市内中心部店舗スペース/ショールーム賃料〕
バンコク
  • ホームプレイス(トンロー通り)
  • 32.1~57.8米ドル/m2月
  • エイト・トンロー(トンロー通り)
  • 32.1~64.2米ドル/m2月
〔駐在員用住宅借上料〕
バンコク
  • プロンポン地区 サービスアパート、63~97m2
  • 1,091~1,765米ドル/月
  • スクンビット地区 アパート、170~210 m2
  • 2,727~3,851米ドル/月

(調査実施時期:2018年12月~2019年1月)

取引履歴・物件情報などのデータベース化

出典

主要都市等におけるマーケット情報

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 投資コスト比較

不動産業者に関する情報

業界団体

主な国内不動産業者

〔デベロッパー〕
  • Italian-Thai Development
  • 売上:660億バーツ(2019年)

    設立年:1958年

    概要:Suvarnabhumi International Airportの建設や、Bangkok Transit System (BTS)などのインフラ建設に携わっている他、東南アジアやアフリカ諸国における受注経験も多数あり。

  • Syntec Construction
  • 売上:106億バーツ(2019年)

    設立年:1988年 

    概要:従業員数は1,127名(2017年)。学校や病院などの大型施設、商業施設、住宅、PPPプロジェクトの建設・開発を実施。建設案件数は年々増加傾向にある。

  • Sino Thai Engineering&Constrution
  • 売上:333億バーツ(2019年)

    設立年:1962年 

    概要:57年間に亘り、国内外において大量輸送機関、高架道路、高速道路、道路、橋梁、ダム、桟橋工事など大規模工業・商業用インフラ開発を実施。

  • Ch Karnchang
  • 売上:247億バーツ(2019年)

    設立年:1972年 

    概要:建設やインフラ開発の他、ドイツのBilfinger AGやイギリスのThames Water International Limitedなどとのジョイントベンチャーによる建設技術開発も実施している。交通インフラ、橋や発電所、高層ビルまで幅広い案件を手がける。

  • TTCL
  • 売上:83億バーツ(2019年)

    設立年:1985年 

    概要:東洋エンジニアリング株式会社(TEC)とItalian-Thai Development Public Company Limited(ITD)の合弁企業。主にエネルギー、石油化学、化学、電力などの産業用・プロセス用プラントの設計・エンジニアリング、機械・設備の調達、建設(EPC)を一貫して行う。

〔仲介業〕

不動産業(住宅販売等を含む)を展開する主な日系企業

  • スターツコーポレーション
  • 積水化学工業
  • 三井不動産
  • 三菱地所
  • 住友不動産
  • 東京建物
  • 野村不動産
  • 東京急行電鉄
  • 西日本鉄道
  • レオパレス21
  • ラ・アトレ
  • すずき
  • アパマンショップ    等

※当データベースについては、細心の注意を払って情報収集をしておりますが、必ずしも正確性または完全性を保証するものではありません。国土交通省は、閲覧者が当データベースの情報を用いて行う一切の行為について何ら責任を負うものではありません。

トップへ