政府保障事業
政府の自動車損害賠償保障事業(政府保障事業)
自賠責保険・共済はすべての自動車にその加入が義務付けられていますが、加入しないまま自動車を運転(以下、無保険車という)し、事故を起こしてしまうと、事故の被害者は自賠責保険・共済への請求ができず、加害者の経済状態によっては賠償金を受け取ることができないケースが発生します。また、事故の加害者がひき逃げをし、加害者不明の場合も、自賠責保険・共済への請求ができないことから、被害者は賠償金を受け取ることができなくなってしまいます。そうした無保険車による事故、ひき逃げ事故の被害者に対しては、政府保障事業によって、国が自賠責保険・共済と同等の損害を塡補する救済が行われています。
損害の塡補請求から支払までの流れ
請求は、損害保険会社(共済組合)の全国各支店等の窓口で受付します。
※なお、政府保障事業の業務のうち、受付、支払、調査の業務は損害保険会社(共済組合)に委託(さらに、損害保険会社(共済組合)は調査業務を損害保険料率算出機構に再委託)しており、国が審査・決定します。
請求の受付窓口
※保険代理店では受付しておりませんので、直接、損害保険会社(共済組合)の窓口へ請求して下さい。
(令和2年4月1日現在)
- あいおいニッセイ同和損害保険(株)
- AIG損害保険(株)
- 共栄火災海上保険(株)
- セコム損害保険(株)
- SOMPOダイレクト損害保険(株)
- 全国共済農業協同組合連合会
- 全国自動車共済協同組合連合会
- 全国トラック交通共済協同組合連合会
- 全国労働者共済生活協同組合連合会
- 損害保険ジャパン(株)
- 大同火災海上保険(株)
- Chubb損害保険(株)
- 東京海上日動火災保険(株)
- 日新火災海上保険(株)
- 三井住友海上火災保険(株)
- 明治安田損害保険(株)
- 楽天損害保険(株)
(五十音順)
政府保障事業の取扱件数・支払実績
政府保障事業の近年の取扱件数及び支払実績は、以下の表のようになっています。
区分 | 受付件数 | 支払件数 | 支払保障 金額 |
|
---|---|---|---|---|
令和 2年度 |
ひき逃げ | 384 | 330 | 136 |
無保険 | 170 | 91 | 373 | |
合計 | 554 | 421 | 509 | |
令和 3年度 |
ひき逃げ | 338 | 342 | 169 |
無保険 | 157 | 157 | 647 | |
合計 | 495 | 499 | 815 | |
令和 4年度 |
ひき逃げ | 252 | 206 | 116 |
無保険 | 123 | 69 | 182 | |
合計 | 375 | 275 | 299 |
単位:件、百万円
- ※死亡事故や後遺障害の有無等により各年度の支払額は変動します。
- ※受付年度の翌年度に支払う事案があるため、受付件数と支払件数は一致しません。
政府保障事業の原資
政府保障事業の原資は、自賠責保険・共済の加入者(被保険者)からの賦課金(※)です。令和4年度予算では、国の賦課金収入は14億円であり、自家用乗用車1年契約の場合、自動車1台あたり約16円/1年となっています。
令和5年度からは自家用乗用車1年契約の場合、自動車1台あたり約4円/1年となりました。
※賦課金とは…ある事業を行うことを目的に納付いただくお金のこと
事故を起こした場合に国(国土交通省)などから求償されます
加害者が自賠責保険(共済)に加入しておらず、国土交通省が損害賠償責任者(加害者や自動車の所有者など)に代わって被害者に損害の塡補を行った場合、国土交通省は、被害者が本来の損害賠償責任者に対して有する損害賠償請求権を代位取得し、損害賠償責任者に対して求償を行います。
また、被害者が国民健康保険や労働者災害補償保険などの各種社会保険を利用した場合には、国土交通省以外の政府機関からもその損害賠償額を求償されることになります。
損害賠償責任者が弁済しない場合には、国が損害賠償責任者を相手に、損害賠償請求訴訟を裁判所に提訴することになります。
その後、裁判所の判決に従い、損害賠償責任者が所持している自動車、土地や建物、給与等について差し押さえを実施し、裁判時に回収を行うことになります。
不安の解消やサポートにご活用ください
交通事故にあったときには
国土交通省では、交通事故に遭われた方を対象に各種制度や手続きの周知・ご案内を目的に「交通事故にあったときには」と題したパンフレットを作成致しました。突然の交通事故により、抱える課題は時間の経過とともに変わっていきます。その時々の状況に応じてこの冊子の情報をご活用ください。
交通事故被害者ノート
国土交通省では、自動車事故にあわれた方々に少しでもお力添えできればとの思いから、自動車事故被害者ご本人やそのご家族などが、事故の概要等の記録を残していただくこと、警察や自治体、民間被害者支援団体などで行われている支援制度を知っていただくことなどを目的とした「交通事故被害者ノート」を作成しました。事故被害者皆様の不安の解消やサポートにつながることを願っております。