当社は、企業と地域を学びで結ぶ「越境学習(ラーニングワーケーション)」を推進しています。これは、企業の人材育成など経営課題への対応として、“地域ならでは”の、職場ではできない体験や地域の人々との関わりを、独自のラーニングプログラムとして構成するものです。
例えば、地域課題の解決を目指す地域事業者と企業人材が協働するリーダー育成プログラム「ことこらぼ」や、地域の資源(文化・自然・民俗・産業・政策など)を研修として再定義し、構成したプログラム「there」を展開しています。
まず、企業にとっては、ワーケーションの導入目的を定めることです。例えば、社員のウェルビーイングが目的なのか、新事業の開発が目的なのかによって、連携する関係先や人材の専門性など、求める要素も変わってくると思います。
次に、導入に関わる担当者自身の意識の醸成です。ワーケーションを通じて、担当者自身が地域の人々との交流や体験を心から楽しむ。そうすることで、調整側と参加者側の両方の目線にたつことができ、「これは今の自社に絶対に必要なのだ」という確信をもつことができると思います。
当社では、岩手県釜石市を舞台に震災被害の現実に触れ、復興に立ち向かう人々と交流することで、レジリエンスとトライ(不撓不屈・挑戦精神)の醸成を目的としたプログラムを展開しています。あるお客様は、この地域との関わりをきっかけに、社内で新事業創造プロジェクトが動き出しました。
また、和歌山県田辺市では、林業分野のスタートアップと多様な業界の企業人がコラボしながら、地域の人々がもっと森づくりに関わる仕組みを社会実装しました。こちらはメディアなどにも取り上げられる形になり、実際に成果も生まれています。
休暇先として地域を楽しむのも良いですが、地域と企業の人々が出会い、お互いに学びや成長をもたらすことで、つながり続けていく機会は、地域にとって関係人口の創出をもたらすと同時に、企業人にとっても、知の探索を始めるきっかけになります。
地域の課題は資源の中にあり、共創の可能性に満ちていると思います。課題があるから、想いある当事者が集い、そこにしかない取り組みが生まれます。それはワーケーションに参加する人々の“関わりしろ”を創出し、人々の往来を生むことにつながります。地域の想いある当事者とつながることはこれからの企業人にとって、かけがえのない学びになると考えています。