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バングラデシュ

不動産関連情報

不動産に関する法制度

不動産関連法・制度の現状

バングラデシュ憲法で基本的な財産の所有権が認められている。

1950年国家収用及び賃借法(State Acquisition and Tenancy Act,1950)において、個人または企業による土地の所有について定められている。

1984年土地改革法では農地の土地取得について規定している。

土地・不動産の所有権

〔基本概念〕

個人の土地・不動産の所有権が認められている。実際の運用にあたっては、1950年国家収用及び賃借法(State Acquisition and Tenancy Act of 1950)により、特定の個人または企業による33エーカー以上の土地の所有は禁止されている。他人を名義人として用いた場合も同様に禁止されている。

また、1984年土地改革法では農地取得に関して、21エーカーを土地取得の上限としている。

登録済みの産業プロジェクトについては政府から特別に土地を取得することができる。

〔外国企業の所有権〕

現地に法人を持つことを条件に、実質的に所有権を持つことが許されている。土地所有も認められているが、輸出加工区(EPZ)については30年間の使用権のみ認められている。

輸出加工区(EPZ)の場合は購入できないが、長期(30年間)使用権を獲得できる。次の使用料は1平方メートル当たり。

チョットグラムEPZ、ダッカEPZ、コミラEPZ、アダムジーEPZ、カルナフリEPZ:2.20ドル/年

モングラEPZ、イシュワルディEPZ、ウットラEPZ:1.25ドル/年

EPZ内の賃貸工場:1.60~2.75ドル/月

〔外国人の所有権〕

個人の土地所有は認められていない。

土地・不動産の登記

〔不動産の取得及び登記の手続き(所要日数/費用)〕

1. 現況調査の実施(45~60日 / 6,000~15,000タカ)
2. 現況調査実施の結果(45~60日 / 手続き2に含まれている)
3. 土地事務所(Land Revenue Office)において、登記内容の確認(20日 / 3,000~6,000タカ)
4. 管轄内の登記事務所より、非担保証明書を取得する(3~12日 / 1,000~1,500タカ)
5. 譲渡契約の準備をし、印紙税を支払う(1日 / 地価の3%)
6. キャピタルゲイン税、登録料、VAT他を指定銀行で支払う(1日 / 地方税:地価の1%、登録料:地価の2%)
7. 関連する登記事務所に登記申請する(180日 / 手続き6で支払済み)
8. 土地事務所にて、所有権の変更を登録する(45~60日 / 5,000タカ)
2、3、8はそれぞれ同時に行うことができる。

1882年不動産譲渡法(Transfer of Property Act of 1882)及び1908年登記法(Registration Act 1908)に従って登記手続が行われる。土地の不動産権の登記の他,リースも登記対象に含まれているが,実務上はリースについて登記がなされることは稀である(登記をしなければ法的には権利保全がなされない)。土地収入局での権利登記の確認手続→土地の境界等に関する当局の調査→現地役所からの障害不存在(nonencumbrance)証明書の取得→譲渡証書(Deed)の作成及び印紙税の納付→地方税及び登記手数料の納付→土地収入局での登記変更申請という迂遠な手続きを経る必要があり,半年から1年程度要するのが通常である。しかも,当該手続の運用が腐敗しており,賄賂を渡さなければ円滑に終了しないという批判も存在する。こういった状況により,不動産の登記については所有権についても登記されていないケースが多く,不測の紛争に巻き込まれるリスクが高い。

出典

不動産関連法・制度の現状、土地・不動産の所有権

THE CONSTITUTION OF THE PEOPLE’S REPUBLIC OF BANGLADESH

THE STATE ACQUISITION AND TENANCY ACT, 1950


土地・不動産の登記

Doing Business「Bangladesh Registering Property

不動産の取引に関する制度

不動産を取引する際の制度

〔制度概要〕

土地売買の際、買主は必要とされる証明書を入手し、印紙税、キャピタルゲイン税、登記費用等を支払った後、Municipal Deed Registry Officeに登記を申請する。登記資料を取得後、土地事務所で所有者の名義変更登記を行い、売買契約を行う。

〔政府所有工業団地に関わる制度概要〕

政府所有工業団地における土地区分ならびに取得照会の発行については、下記の書類を必要とする。

1.レターヘッド付申請書

    2.書式Kaxxivに記入する
  • BIDA (投資庁)登録と同様のオフィスの住所
  • BIDA(投資庁)登録番号と登録日
  • 商業登記所登録日
  • 商品名、おおよその製造量、年間製造量
  • 国内投資分(BDT (バングラデシュタカ)100万単位で)
  • 海外投資分(BDT(バングラデシュタカ)100万単位もしくは米ドルで)
  • 当該事業の進捗レポート ・予定している土地の詳細(書類添付)
  • 備考:BOI局長(Service/Utility Service)宛て申請書類2部と共に必要書類を提出する。

3.必要とする土地について:(a)事業構造、(b)内部の道路、鉄道、水道について、(C)オープンスペースとその活用について

4.設計プラン

5.土地を必要とする理由と現況についての説明

6.減税保持する土地のサイズ(Katha/Bigha)

7.従業員数

消費者保護(インスペクション、瑕疵対応、その他)

〔消費者保護の規制〕

物品の売買において、消費者はThe Consumers' Right Protection Act,2009で守られている。

不動産行政の方向性(新築・中古、長期・短期、持家・借家)

National Housing Policy による2017年の調査では、2021年までに都市部において約850万戸の住宅が不足するとされている。これを受けて第8次五か年計画において、低所得者層居住地域における住宅事業や、住宅ローンの整備、登記制度の見直しなどの一連の改善策を提示している。

不動産金融(住宅ローンの実態、ローン審査、担保評価)

〔住宅ローンの実態〕

住宅ローン貸出残高は、2016年6月末時点で5,629億タカと見込まれている。

そのうち、3090億タカを民間商業銀行 (PCB) 、 1,193億タカを国有商業銀行が占めている。

住宅金融を専門に提供する機関の貸出残高は、バングラデシュ住宅建設金融公社(Bangladesh House Building Finance Corporation)が301億タカ、Delta Brac Housing Finance Corporationが334億タカ、National Housing Finance and Investment Limitedが69億タカである。

また、貧困層の住宅購入においてマイクロファイナンスの利用が行われている。

バングラデシュにおいては、確立した住宅ローン金融業界が存在しないことが課題となっている。近年、住宅ローンを提供する民間企業の設立が進んでいるものの、金利が高く、資格要件が厳しい傾向にある。第8次五か年計画において、政府は、住宅ローンの利子への非課税や、キャピタルゲインの税率引き下げ等を通して支援を行うとしている。

不動産のリース(期間、延長・解除の是非)

住宅の通常の契約期間は2~3年であるが、それ以外でも交渉に応じる場合が多い。

The Tranfer of Property Act (1882)第110項・111項において、リース期間に関する規定がある。同規定によると、1年以下のリースの場合は書面における契約は不要とされている。

出典

不動産を取引する際の制度

JETRO「バングラデシュ ビジネス・スタートアップガイド(第2版)

消費者保護の規則

The Consumers' Right Protection Act,2009

不動産行政の方向性、不動産金融

Bangladesh Bank Annual Report 2015-16

National Housing Policy

不動産のリース

The Tranfer of Property Act

不動産に関する税制

不動産取得に関する税制

〔印紙税〕

土地総額の3~5%が課税される。

〔その他の費用〕
登記手数料

土地総額の1~4%相当が預託する。

収入印紙

土地総額の3~5%。所在地によって金額は異なる。

〔法人のキャピタルゲイン税〕

15%課税される。

〔付加価値税(VAT)〕
基本的に15%だが、異なる場合がある。2019年7月にVAT法改定。 例)土地開発:2%
  • ビル建設会社 1,600平方フィート超のフラットの販売:4.5%
  • 土地開発:3%
  • ビル建設会社 1,600平方フィート以下のフラットの販売:2%

不動産保有に関する税制

〔不動産税〕

賃貸料の7%

その他税制(租税条約等)

1991年に租税条約を締結。日本のほか33カ国とも締結しており、内容は下記の通りである。

  • 利子への課税 10%(最高税率)
  • 配当への源泉税率 法人15%、個人10%、国外居住の外国人30%(最高税率)
  • ロイヤルティ、技術料に対する課税 10%(最高税率)
  • 給料・報酬への課税は当該課税年度に合計182日以上滞在した国で課税される。
出典

不動産取得に関する税制

日本貿易振興機構(JETRO)「バングラデシュ投資ハンドブック

不動産保有に関する税制

Doing Business「Paying Taxes in Bangladesh - Dhaka

付加価値税、その他税制(租税条約等)

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る バングラデシュ 税制

不動産取引に関する外国人及び外国資本に対する規制

外資に関する優遇措置もしくは規制

外資100%でも法人を設立することができ、規制はない。会社設立手続きは商業登記所(Registrar of Joint Stock Companies and Firms)で設立承認証を得た後に、設立手続きと登記手続きを行う。投資登録証は、投資庁で取得する必要がある。

    

バングラデシュ経済特区庁(BEZA)により、経済特区(EZ)が指定されている。また、日本企業が開発する経済特区の建設(アライハザール)も進められている。当該地域の開発や投資においては、土地移転登録料や印紙税が免除される。

 

外資参入の許認可制度

不動産業への外資参入について、特別な許認可制度はない。

規制業種については、主に政府の事業認可等が必要。不動産業は規制業種に該当しないものの、一般的に外国人がバングラデシュで事業を始めるのは難しいとされる。しばしば、省庁が不必要な免許や許可を必要とする他、土地登記記録は信頼できず、不動産は十分に保護されていない。

就労ビザ、長期滞在について

〔外国人就業規制〕

外国人の雇用は、経営陣も含めた従業員合計が、製造業の場合は5%(1:20)、サービス業の場合は20%(1:5)を超えてはならない。

〔在留許可〕

在日バングラデシュ大使館もしくは移民局(Department of Immigration & Passport)にてBビザ、Eビザ、PIビザの就業ビザが取得できる。移民局にてビザを取得する際には、先にバングラデシュ投資開発庁(BIDA)にて労働許可書(Work Permit)を取得する必要がある。

外国人による不動産の取引について

外資100%でも法人を設立することができ、不動産業の規制も設けられていない。

銀行は、外国人が経営または外国人がオーナーのバングラデシュ国内企業に対し、通常の顧客取引基準に準じて現地通貨建ての運転資金の融資、またはタームローンを提供できる。タカ建ての融資は、中央銀行の事前承認なく利用できるが、下記の制限がある。

  • ローン総額は、バングラデシュ人の資本持分を超えてはいけない。
  • 負債総額は、会社の総資本持分を超えてはいけない。

また、輸出加工区(EPZ: Export Processing Zone) 内の合弁企業に対し、海外から調達した外貨建て短期融資額を上限とし、現地通貨建て融資を提供することができる。

外国企業でも会社登記すれば、土地を所有できる。ただし、外国人個人の所有は不可。また、輸出加工区(EPZ)の場合は購入できないが、長期(30年間)使用権を獲得できる。次の使用料は1平方メートル当たり。

チョットグラムEPZ、ダッカEPZ、コミラEPZ、アダムジーEPZ、カルナフリEPZ:2.20ドル/年

モングラEPZ、イシュワルディEPZ、ウットラEPZ:1.25ドル/年

EPZ内の賃貸工場:1.60~2.75ドル/月

出典

法務省法務総合研究所国際協力部「バングラデシュの基本法制に関する調査研究

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る バングラデシュ 外資に関する規制

日本貿易振興機構(JETRO)「バングラデシュ投資ハンドブック

日本貿易振興機構(JETRO)「外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用

主要都市等における不動産マーケット情報

主要都市などにおけるマーケット情報

〔工業団地(土地)購入価格〕
ダッカ近郊
  • 34~185米ドル/m2
  • 別途必要な税・諸経費:印紙代3%、税4%、地方政府登録料2%など。
〔工業団地借料〕
  • EPZ内借地 0.10~0.18米ドル/m2月
  • EPZ内貸工場 1.60~2.75米ドル/m2月
〔事務所賃料〕
  • ダッカ 13~44米ドル/m2月
〔市内中心部店舗スペース/ショールーム賃料〕
  • ダッカ 15~66米ドル/m2月
〔駐在員用住宅借上料〕
  • ダッカ 1,179~2,948米ドル/月(高級住宅地 アパート、186~418m2)

(調査実施時期:2020年11月2日~2021年1月8日)

取引履歴・物件情報などのデータベース化

地理情報、地籍情報、属性情報により構成される Land Information System (LIS) が計画されている。

出典

主要都市等におけるマーケット情報

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 投資コスト比較


取引履歴・物件情報などのデータベース化

Bangladesh Institute of Planners「Journal of Bangladesh Institute of Planners Vol.2 12 2009 Land Information System (LIS) for Land Administration and Management in Bangladesh」(2009年12月)(p.116?125)

不動産業者に関する情報

主な国内不動産業者

〔デベロッパー〕
〔仲介業〕

不動産業(住宅販売等を含む)を展開する主な日系企業

主な日系企業の進出はない

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