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パキスタン

不動産関連情報

不動産に関する法制度

不動産関連法・制度の現状

Registraion Act 1908において、不動産の登記に関して述べられている。Land Revenue Act 1967は土地の税務に関して、Transfer of Property Act 1882は不動産の売買について定めている。

土地・不動産の所有権

〔基本概念〕

土地は、国有地、私有地、国・州に明確な権利保有者が不在である共有地に分けられる。一般的な保有権は、所有権、リース権、耕作権の3種類である。

〔土地の所有権〕

パキスタンでもっとも一般的な権利である。個人・法人に関わらず自由保有地を取得できる。共有地は慣習法に従い所有が認められる。

〔土地のリース〕

外国企業によるリースの場合は50年間が限度で、さらに49年間の延長が可能である。

〔土地の耕作権〕

耕作(小作)権は30ha以下の中小サイズの農地で一般的であり、パキスタンの貸借地の67%は小作農地である(2000年)。通常、収穫物を地主と折半する。ほとんどの場合、口頭契約である。

〔外国人の土地および不動産の所有権〕
土地

外国企業の土地所有は認められ制限はないが、外国人の個人所有は原則的に不可。土地の購入にはパキスタン政府の許可が必要である。

不動産

不動産を購入することができる。

土地・不動産の登記

〔土地・不動産の登記〕

Nation Transfer of Property Act(1882)、Registration Act(1908)、Stamp Act(1899) を採用している州もあり、不動産の登記や譲渡・リースに関する情報は、各州の土地登記所、州の税務署、各地方の住宅開発局に登録するよう義務付けられている。

しかし、パキスタンの自由保有地は、家系によって代々継承されていることが多く、登記も滅多に行われていない。法律によって義務付けられてはいるが、手続きの複雑さ、法の抜け道も多さもあり、登記への反応は鈍い。また、各州は登記情報を集中管理するシステムを採用しておらず、各地方局によって異なる登記システムを採用していることもある。

さらに、イスラム教徒が従うイスラム法では、口承を認め、未登録のままの土地のやり取りを認めている。そのため、実際にどの程度の土地が登記済みなのか詳細を把握することは困難である。

例として、パンジャブ州の場合、土地の売買契約は地方の税務署で口頭で行われる。軍の管轄下の土地や開発計画に基づく住宅地は、州や税務署で記録されないまま、それぞれ別のシステムで管理されている。

〔不動産の取得及び登記(所要日数/費用)〕

1. 新聞で取引を公示し、異議に備える(8日 / 10,000ルピー)
2. 売買契約書の起草をするため、譲渡契約書記もしくは弁護士を雇う(3日~7日 / 5,000ルピー~10,000ルピー)
3. 印紙税、キャピタルゲイン税、市税、登録料を支払う(1日 / 資本価値税:地代の2.5%、印紙税:地代の3%、登録料:地代の1%、市税:地代の1%)
4. 非異議証明書(Non-Objection Certificate)の取得(1日 /手順3で支払済み)
5. 支払の領収書が印紙局から渡される(1日 / 無料)
6. 登記が有効になる前に、譲渡契約の登録(38日 / 無料)

不動産の鑑定評価

〔鑑定評価概要〕

Pakistan Banks' Associationが、銀行を始めとする金融機関における資産評価業務を行うProfessional Valuerの認定を行っている。Professional Valuerは3種類の認定カテゴリーに分かれており、土地、建物の評価者はPanel-Ⅰに分類される。

法制度が確認できるWebサイトの紹介

不動産事業を行う際の免許制度

パンジャブ州では、不動産取引業を行うには免許が必要である(毎年、更新が必要)。

出典

不動産関連法・制度の現状、土地・不動産の所有権、土地・不動産の登記

Zaman Vardag Law Associates「Property aned Real Estate Laws in Pakistan

Zameen「How foreigners can invest in Pakistan real estate

USAID「Property Rights&Resource Governance Pakistan

Doing Business「Pakistan Registering Property

THE LAND ACQUISITION ACT, 1894


不動産の鑑定評価

Pakistan Banks' Association「GUIDELINES FOR ENLISTMENT OF VALUERS AND MONITORING OF PBA PANELS OF PROFESSIONAL VALUERS

不動産の取引に関する制度

不動産を取引する際の制度

〔制度概要〕

不動産取引の際は、譲渡証書または売渡証書の登録が必要である。

消費者保護(インスペクション、瑕疵対応、その他)

〔消費者保護の規則〕

不動産を含む消費者の保護としてパンジャブ州消費者保護法(Punjab Consumer Protection Act, 2005)がある。法律の下、政府によって地方毎に消費者保護委員会を設置、消費者裁判を開くことなど定められている。

その他、建築物のインスペクションを行う民間企業もある。

不動産行政の方向性(新築・中古、長期・短期、持家・借家)

リゾート型高級戸建住宅、高層住宅、高層オフィスビル、大型ショッピングモール等の建設投資が活発化している一方、住宅金融の欠如が大きな問題となっている。この問題への対処として、Association of Builders and Developers (ABAD)はパキスタン国営銀行による住宅金融窓口の創設を提案した。住宅ローンの借り換えは、住宅所有者による既存のモーゲージを新しいもので払い戻したり、金利を引き下げたり、別の財産に投資したりすることを可能にする。

不動産金融(住宅ローンの実態、ローン審査、担保評価)

〔住宅ローンの実態〕

Muslim Commercial Bank、Bank Alfalah、Meezan Bank、Bank of Punjab、Bank Islamiなど各銀行が住宅ローンを提供している。また、House Building Finance Company Limited(HBFCL)もローンを提供している。例えばMuslim Commercial Bankでは、ローン期間は最長20年、住宅購入のおけるローン金額は50万パキスタンルピー~30百万パキスタンルピーである。

住宅ローンの金利は平均13.1%(2015年第一四半期)である。

出典

不動産を取引する際の制度

Zaman Vardag Law Associates「Property aned Real Estate Laws in Pakistan


消費者保護

日本貿易振興機構(JETRO「パキスタンの業種別関連法・関係機関ガイド

Pakistan Inspection Company


不動産行政の方向性

NNA調べ(2016年11月)

不動産金融

Zameen.com


不動産のリース

Pakistani Law Firm「The Archives:Landlord and Tenant Laws in pakistan

不動産に関する税制

不動産取得に関する税制

〔印紙税(Property Tax)〕

契約金額による累進課税。

不動産保有に関する税制

〔資産税(Property Tax)〕

18%(10%の減税を含む)

年間の不動産賃貸料を元に算出される。

その他税制(租税条約等)

〔日本-パキスタン租税条約〕

1959年に日本と締結。日本の他46ヶ国とも締結している。

2008年11月に改正された条約の主な変更点は下記の通りである。

  • 事業利得に対する課税方式が、総合主義から帰属主義に変更された。
  • 配当に対する源泉地国の限度税率が、配当受け取り側の持ち株割合50%以上の場合5%、持ち株割合25%以上の場合7.5%、その他の場合10%となった。
  • 利子に対する源泉地国の限度税率が、現行の30%から10%となった。
  • ロイヤルティに対する源泉地国の限度税率が、15%から10%となった。
  • 技術上の役務の料金についての範囲が明確にされるとともに、限度税率が10%となった。
  • そのほか、譲渡収益に関する条項の導入やみなし外国税額控除が廃止となった。
出典

不動産取得に関する税制、不動産保有に関する税制

Doing Business「Pakistan Paying Taxes


その他税制(租税条約等)

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る パキスタン 税制

不動産取引に関する外国人及び外国資本に対する規制

外資に関する優遇措置もしくは規制

外国人の土地の購入は、パキスタン政府の許可が必要。
リースの場合は50年間が限度(さらに49年間の延長可能)。
機密/防衛地区(Sensitive/Security zones)として公示されている地区を除き、プロジェクトの場所に関する州政府の同意証書(No Objection Certification)を取得する必要はない。

外資参入の許認可制度

すべてのセクターにおいて外資100%での企業設立が可能。

小売業などのサービス業も100%外資での参入が可能。

就労ビザ、長期滞在について

〔外国人就業規制〕

特になし

〔在留許可〕

就労ビザは、技術やノウハウの移転を目的とした技術指導者や管理者に対して認められている。適切な期間に技術や管理業務をパキスタン人が引き継げるよう指導する建設的な計画を条件に認められている。

在外パキスタン公館は、日本を含む「ビジネスビザリスト(BVL)」に掲げる67カ国のビジネスマンに対して5年間有効のマルチビザ(指定期間内であれば何度でも出入国可能)を以下のいずれかの書類提出を条件に認めている。1回の入国の際の滞在可能期間は3カ月。上記67カ国以外の国(イスラエルを除く)は有効期間および滞在期間が1カ月。

  • 申請者の該当国の商工会議所からの推薦状
  • パキスタンの関連する業界団体が正式に推薦する企業からの推薦状
  • 在外パキスタン公館の投資・商務担当商務官の推薦状
  • ビザの延長はパスポート地方事務所(Regional Passport Office)で1年間の延長ができる。
出典

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見るパキスタン 外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用

主要都市等における不動産マーケット情報

主要都市などにおけるマーケット情報

〔工業団地(土地)購入価格〕※カラチ

購入不可

〔工業団地借料〕

ポートカシム工業団地 0.05米ドル/m2月

〔事務所賃料〕

サッダール地区 6.16米ドル/m2月(2~6階の賃料(1階賃料はほぼ2倍))

〔市内中心部店舗スペース/ショールーム賃料〕

31~51米ドル/m2月

〔駐在員用住宅借上料〕

2,382米ドル/月(戸建293m2、3部屋、駐車場2台、家具なし)
※一般的に賃料は前払い

(調査2015年12月~2016年1月)

取引履歴・物件情報などのデータベース化

〔政府が整備しているWebsite〕

歳入庁主導のLand Records Information Management & Information System (LRIMS)

〔不動産情報を一般に公開している民間のWebsite〕
出典

主要都市等におけるマーケット情報

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 投資コスト比較

不動産業者に関する情報

主な国内不動産業者

〔デベロッパー〕
〔仲介業〕

不動産業(住宅販売等を含む)を展開する主な日系企業

日系企業の進出はない(2015年10月時点)

※外務省「海外在留邦人数調査統計」

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