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イギリス

不動産関連情報

不動産に関する法制度

土地・不動産の所有権

イギリスには、土地を所有するための権利として、フリーホールド(freehold)と呼ばれる自由土地保有権とリースホールド(leasehold)と呼ばれる不動産賃借権とがある。フリーホールド(Freehold)は、不動産の所有形態の一つで、土地や建物を所有する権利が永久的にオーナーに所属することをいう。日本でいうところの「所有権」の概念に近い。規制が少なく、改装にある程度の自由度がある。リースホールド(Leasehold)とは、土地や建物のフリーホールド権を個人や法人が所有しており、その物件を99年などと一定期間を決めてリース販売すること。日本の「定期借地権」の考え方に似ている。内装は自由に変えられるが、外観などに規制があることもある。

土地の最終的な所有権は政府にある。イギリスでは土地や建物は王侯貴族が所有し、民間部門は「定期賃貸権」(リースホールド)を得て土地や建物を利用している。建物を別個の不動産とは考えない。したがって、建物の登記はされない。

土地・不動産の登記

所有権(フリーホールド)・定期借地権(リースホールド)の登記。物件変動の効力を発生させるための要件である。公信力あり誰もが自由に閲覧できる。

不動産の鑑定評価

英国勅認サーベイヤー協会 (The Royal Institution of Chartered Surveyors, RICS)が、鑑定評価基準(RICS Valuation Standards、通称Red Book)を策定し、RICS所属の鑑定人(サーベイヤー)が、評価を行う基準としている。

法制度が確認できるWebサイトの紹介

GOV.UK「Housing and local services

出典

全般

全国宅地建物取引業協会連合会、全国宅地建物取引業保証協会「平成23年度 不動産取引制度に関する調査研究 報告書」(2012年3月)


土地・不動産の所有権

GOV.UK「What's Lease hold Owning and renting a property


土地・不動産の登記制度

法務省HP「我が国と諸外国の不動産登記制度における登記の真正担保のための方策について


不動産の鑑定評価

山田啓二「フランスおよびイギリスにおける土地情報等の開示・提供の現状について(下)」『不動産鑑定』2000年2月

国土交通省「不動産鑑定評価基準の国際化に関する検討業務に係る調査報告書」(2011年3月)

不動産の取引に関する制度

消費者保護(インスペクション、瑕疵対応、その他)

住宅取引においては、買い主がサーベイヤー(Surveyer)を起用し、購入したい住宅の検査・評価を実施する。

RICSでは、RICS会員が行う住宅検査として、「RICS Condition Report」、「RICS Homebuyer Report」、「RICS Building Survey」の3段階を設定している。

イギリスの住宅保証・保険制度は、制度創設時からの運営主体である英国住宅建築協会(NHBC)が圧倒的なシェア(約8割)。その他は専門の民間ブローカーが商品を供給している。

任意の仕組みであるが、住宅ローンの貸出しの要件となっているため、住宅市場で十分に浸透している。

不動産行政の方向性(新築・中古、長期・短期、持家・借家)

政府の持家促進政策として、モーゲージ(住宅ローン)の一部を保証することにより、ローンを得られ易くするための「Help to Buy Mortgage Guarantee スキーム」が2013年に施行された。頭金が少なくても、ローンを返せるきちんとした見通しが立つのであれローンを借りて不動産を購入できる制度。

このスキームが適用される不動産の種類は、英国内にあり、価値が60万ポンド(約1億円)までであれば、新築・中古ともに適用される。購入者が住むための不動産のみが対象となり、別荘や投資目的(Buy to Let)には適用されない。またローンは元利均等返済型(Repayment)に限られる。

更に、銀行の借り手に対する信用力・ローン返済力審査に合格することなどが条件に挙げられる。「Shared Equity or Shared Ownership Purchase」など、そのほかの政府援助スキームを既に利用されている不動産には適用されない。

なお、民間の金融機関も当スキームの外に90~95%の物件価格の融資を提供し、市場が回復したとして、当制度は2016年12月31日で終了となる。

不動産金融(住宅ローンの実態、ローン審査、担保評価)

住宅ローンの主体は民間の金融機関である。固定金利ローンと変動金利の両方があり、変動金 利は、バンクベースレートから一定の割合を追加したレートが適用される。したがって、バンクベースレートの上下により金利が変動する。

審査条件は、最低2年間以上、同じ会社で勤務していることに加えて、十分なデポジットがあることを、最近3カ月間のバンク・ステートメント(銀行の取引証明書)で証明する必要がある。担保は資格をもった評価人によって実施される。

不動産のリース(期間、延長・解除の是非)

不動産賃貸契約は通常、6ヶ月から1年である。両者が合意すれば契約の延長も可能である。もちろん貸主が契約延長を拒否することもできる。借主が中途で契約を無条件に解除することはできない。

出典

全般

不動産流通近代化センターHP「Ⅱイギリスの住宅購入プロセスの概要

(公社)不動産流通推進センター「不動産コンサルティングに関わる海外調査 報告書

Royal Institution of Chartered Surveyors「Home Surveys

国土交通省「住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討委員会 配布資料3 海外の住宅保証・保険制度等について


不動産行政の方向性

GOV.UK「Help to Buy: mortgage guarantee scheme review 2016


不動産金融

住宅金融支援機構調査部編著『日米欧の住宅市場と住宅金融』きんざい、2013

Mortgage Trust「Lending guidelines and submission requirements

倉橋透「イギリス、オーストラリアにおける住宅金融市場の証券化の歴史と現状(上)」『季報住宅金融』2007.秋

倉橋透「イギリス、オーストラリアにおける住宅金融市場の証券化の歴史と現状(下)」『季報住宅金融』2007.冬

不動産に関する税制

不動産取得に関する税制

土地印紙税

イングランド、ウェールズ、北アイルランドで土地や不動産を購入する際には、資産の種類および資産額に応じて、土地印紙税が課税される。資産額は評価額(consideration)に基づき支払うが、多くの場合、購入額を用いる。居住用資産については、2014年12月4日以降、資産額に応じて0~12%の税率を課す超過累進税率が導入された。なお、非居住用または居住・非居住混在資産の場合は、資産額に応じて課税される額が異なる。

£125,000以下 0%
£125,000超~£250,000以下 2%
£250,000超~£925,000以下 5%
£925,000超~£1,500,000以下 10%
£1,500,000超 12%

2015年11月26日以降に契約したセカンドホームや賃貸用不動産の購入時に支払う印紙税については、通常税率に3%を上乗せされる。

また、スコットランドでは、2015年5月1日以降、土地印紙税に代わる新たな税制(Land and Buildings Transaction Tax:LBTT)が導入された。課税率は、不動産購入額により異なる。

キャピタルゲイン課税

英国法人について,資産の所在場所を問わず、売却等の処分から得られるキャピタル・ゲインは,事業所得とは区別され所得が計算されるが,最終的には事業所得その他の所得と合算され課税所得を構成することとなる。

不動産保有に関する税制

カウンシル・タックス

カウンシル・タックスは、居住用資産の評価額を基に課税される。これは日本の固定資産税に似ているが、賃借人でも支払い義務があり、同時に別荘など非居住者であっても、減免はあるものの、支払い義務が生じる。

その他税制(租税条約等)

日英租税条約

2014年12月に改正議定書が発効され、利子が原則免除、配当が10%(持株比率10%以上の場合は免税)、使用料が免税となった。

出典

全般

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 英国 税制」(2019年01月28日)

GOV.UK「Stamp Duty Land Tax

GOV.UK「Capital Gains Tax

不動産取引に関する外国人及び外国資本に対する規制

外資に関する優遇処置もしくは規制

外資のみを対象とした禁止業種はない。

外国人による不動産の取引について

非居住者も不動産の取得が可能,外国企業も不動産取得に規制はない。

外国企業が不動産を購入あるいは貸借するにあたって規制はないが,不動産を購入、受贈、相続等によって取得した場合は、土地登記所で取得不動産を登録しなければならない。各地域で取り扱いが異なる。

出典

日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る 英国 外資に関する規制

主要都市等における不動産マーケット情報

取引履歴・物件情報等のデータベース化

Land Registry

登記情報がオンラインで公開されている。権利関係や平面図、洪水リスク指標を有料でダウンロード可能である。

不動産業者に関する情報

主な国内不動産業者

〔仲介業〕

不動産業(住宅販売等を含む)を展開する主な日系企業

  • ジェイエイシー ストラットンズ
  • ロンドン-東京プロパティーサービス
  • ジャパン レッティング
  • 三菱地所
  • 三井不動産
  • NTT都市開発
  • ヒューリック
  • エイブル
  • CHINTAI 等

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