アジアハイウェイ路線とその現状
バングラデシュのアジアハイウェイ路線は、1993年のネットワーク見直しに際し、大きく変更された。第1には、以前のネットワークでは、AH1号線がミャンマーから直接コックスバザール、チッタゴン経由で 首都ダッカに接続されていたものが、ミャンマー側の路線変更要求により、インドのインパールからバングラデシュ北部のシルヘット経由でダッカに接続されるようになったことである。更に、この路線変更に対し、バングラデシュ側はインド国内のインパールからバングラデシュ国境までの経路について注文をつけ、わざわざ大回りする路線(旧AH40、AH41)を主張し、最終的は路線決定に際してインド側が渋々大回りする路線に同意するという経緯があった。第2には、AH1号線の路線変更に伴い、従来のAH2号線のルートがAH1号線と重複、そしてコックスバザール~ダッカ間は、AH41号線というルートとして再設定された。その結果、バングラデシュのAH1号線、AH-2号線は、起終点はすべてインド国境という結果になっている。その他にも、各路線において経由地が変更された。 さらに、2002年5月にESCAPで開催された専門家会合において、バングラデシュはシルヘットから直接インドのインパールを結ぶルート、ならびにコックスバザールからミャンマーを結ぶ路線をAHとするように提案した。しかし、北部の路線についてはインド側が反発し、南部の路線についてもミャンマー側が大規模な投資が必要なことから難色を示し、結果的にはコックスバザールからテクナフまでAH41号線を延伸することで調整された。下表にバングラデシュにおける最新のアジアハイウェイ路線の概要を示す。 表-1 バングラデシュのアジアハイウェイ路線
データ出典:Asian Highway Database 2005 バングラデシュのアジアハイウェイ路線の現状は表-2に示すとおりである。現状では、改良が実施されていない舗装道路区間の大半は、バングラデシュの設計基準に従い18ft(5.4m)の幅員であり、その結果、アジアハイウェイの最低限の設計基準であるClass III(2車線、幅員6m以上、簡易舗装)を満たさない区間が約35%あることになるが、外国からの援助による道路整備プロジェクトで、その大半は最低限の設計基準を満たすように改良される予定である。 路線別にみると、AH1には現在4カ所のフェリー渡河区間と未開通区間が存在する。また、未開通区間(バンガ-バティアパラ間21km)に関しては、一部はブロック舗装された区間があるものの大半の区間は路面の損傷が著しく、通行ができない状態となっている。一方、4カ所のフェリー渡河区間に関しては、昨年、森首相がバングラデシュを公式訪問した際に、パドマ橋のF/S実施に関して日本で実施するとの公式回答を行ったことから(その後調査実施は保留されている)、すべてのフェリー渡河区間で橋梁計画が立案あるいは立案予定となっている。なお、これらの区間以外にも幅員が6m未満の区間が67%存在する。 AH2は、ダッカからタンガイルに至る区間並びにパンチャガラからバングラバンダ間については、Class IIIの設計基準を満たしていないが、前者については、現在JBIC融資により整備が行われており、幅員が3.0mしか確保されておらず、かつ舗装も劣悪な区間である後者が、今後整備が望まれる区間である。 なお、AH1のバティアパラ~ベナポール間、ならびにAH2のパンチャガラ~バングラバンダ間については、ADBが改良資金の資金協力について合意している。 表-2 バングラデシュのアジアハイウェイ路線の現状
データ出典:Asian Highway Database 2005 日本の援助動向、日本との関係バングラデシュは97年度で日本の援助対象国のうち、第9位の受取り国であり、特に無償資金協力については94年以来、第1位の受取り国となっている。表6-3及び図-1にバングラデシュに対する日本の援助の推移を示す。 表-3 バングラデシュに対する日本の援助の推移
図-1 バングラデシュに対する日本の援助の推移 これら日本の援助の中で、道路整備関連の援助としては表-4に示すプロジェクトがある。 表-4 バングラデシュの道路整備に対する日本の協力実績
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