アジアハイウェイ路線とその現状
長い期間鎖国政策をとっていたミャンマーは、アジアハイウェイ・プロジェクトに参画せず、そのためアジアハイウェイ・ネットワークは、路線としては設定されていたものの、実際にはミャンマーですべて分断される形になっていた。しかし、ミャンマーは1988年にアジアハイウェイ・プロジェクトに正式参加し、アジアハイウェイ・ネットワークが正式に設定された。さらに、2002年5月のネットワーク見直しのための専門家会合において、中国側代表より、雲南省昆明とマンダレーを結ぶ道路を新たにアジアハイウェイとしたいとの提案があり、その結果、同路線の新設が専門家会合で承認された。
表-1にアジアハイウェイ路線の概要を示す。
なお、公共事業局では、近い将来AH1号線のマンダレー~タム(インド国境)間の一部を、モニワ、カレワ経由に変更したい旨を表明している。
表-1 ミャンマーのアジアハイウェイ路線
路線番号
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起 終 点
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延長(km)
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選定基準
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AH1
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ミヤワディ
(タイ国境)→タトン→パヤジ→メイクティラ→マンダレー→パレ→ガンゴウ→カレムヨ→タム
(インド国境)
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1.554
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*首都間連絡
*工業中心地/農業集積地連絡
*主要港湾連絡
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パヤジ→バゴ→ヤンゴン
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96
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AH2
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タチレック(タイ国境)→キャイントン→メイクティラ
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807
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*首都間連絡
*工業中心地/農業集積地連絡
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AH3
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モングラ(中国国境)→キャイントン
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93
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*工業中心地/農業集積地連絡
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AH14
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ムセ(中国国境)→レイショウー→マンダレー
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453
|
*工業中心地/農業集積地連絡
*主要港湾連絡
|
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合計
(4 路線)
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3,003
|
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データ出典:Asian Highway Database 2005
これら3本のアジアハイウェイ路線の道路状況は表-2に示すとおりである。この表からも明らかなように、ミャンマー国内のアジアハイウェイ路線で2車線以上の舗装区間は約49%のみであり、1車線区間の拡幅および未舗装区間の拡幅・舗装が必要となっている。また、道路状況の項でも記したように、主要幹線道路の舗装は大部分が簡易舗装であり、過積載トラックの通行ならびに不十分な維持補修により、路面状態が悪化している区間が非常に増えており、舗装の維持補修が今後の大きな課題であると言える。
表-2 ミャンマーのアジアハイウェイ路線の現状
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総延長
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舗装道路
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未舗装道路
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未開通
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路線番号
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(km)
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2車線
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1車線
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砂利道
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土道
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区間
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以上
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通年可
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四駆可
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AH1
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1,650
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969
|
467
|
214
|
-
|
-
|
-
|
AH2
|
807
|
50
|
541
|
216
|
-
|
-
|
-
|
AH3
|
93
|
-
|
5
|
40
|
48
|
-
|
-
|
AH14
|
453
|
453
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
合計
|
3,003
|
1,472
|
1,013
|
470
|
48
|
-
|
-
|
比率
|
100%
|
49.0%
|
33.7%
|
15.7%
|
1.6%
|
-
|
-
|
データ出典:Asian Highway Database 2005
日本の援助動向、日本との関係
ミャンマーでは1988年に政治的混乱が発生し、それ以来、日本政府は継続案件、緊急・人道的性格の援助以外は、原則として停止している状態である。ただし、援助停止前にすでに実施していた案件、例えば既往案件の「ヤンゴン国際空港拡張計画」に関しては、緊急な対応が必要との判断から25億円の貸付を行っている。ミャンマーに対する援助の推移を表6-211及び図6-130に示す。
表-3 ミャンマーに対する日本の援助の推移 (支出純額、単位:百万ドル)
暦年
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贈 与
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政府貸付
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合 計
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無償資金協力
|
技術協力
|
計
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支出総額
|
支出純額
|
|
1990
|
30.18
|
3.16
|
33.34
|
27.98
|
27.98
|
61.32
|
1991
|
37.17
|
4.59
|
41.71
|
42.81
|
42.81
|
84.52
|
1992
|
31.58
|
4.98
|
36.56
|
35.51
|
35.51
|
72.06
|
1993
|
35.98
|
5.77
|
41.75
|
26.86
|
26.86
|
68.61
|
1994
|
99.95
|
7.37
|
107.32
|
26.49
|
26.49
|
133.82
|
1995
|
139.27
|
12.16
|
151.42
|
15.96
|
-37.19
|
114.23
|
1996
|
101.98
|
9.87
|
111.85
|
6.05
|
-76.65
|
35.19
|
1997
|
55.14
|
9.28
|
64.42
|
-
|
-49.59
|
14.83
|
1998
|
47.01
|
11.01
|
58.02
|
3.90
|
-41.94
|
16.09
|
1999
|
9.08
|
15.47
|
24.55
|
9.63
|
9.63
|
34.18
|
2000
|
17.97
|
22.38
|
40.35
|
11.43
|
11.43
|
51.78
|
図-1 ミャンマーに対する日本の援助の推移
なお、2001年度に、ミャンマーの道路整備に対して初めて無償資金協力が実施されている。
表-4 ミャンマーの道路整備に対する日本の協力実績
アジアハイウェイ
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案件名
|
援助の種類
|
年次
|
金額
(百万円)
|
〇
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シャン州北部コーカン地区道路建設機材整備計画
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無償資金協力
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2001
|
584
|
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