アジアハイウェイ路線とその現状
モンゴルは1990年からアジアハイウェイ・プロジェクト
に参画し、1993年に初めて2路線のアジアハイウェイ・ネットワークがモンゴル国内に設定された。しかし、北部回廊プロジェクトならびにネットワーク見直し作業を通じて、東西軸であるMillennium
Roadをアジアハイウェイとして選定したいとの要望がモンゴル側から提出された。その結果、従来のAH83号線を廃止する代わりに、Millennium道路を新たにアジアハイウェイとして選定すると共に、路線番号の再編成も行われた。表-1にモンゴルのアジアハイウェイ路線の概要を示す。
表-1 モンゴルのアジアハイウェイ路線
路線番号
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起 終 点
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延長(km)
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選定基準
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AH3
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アルタンブラグ(ロシア国境)→ダルハン→ウランバートル→ナライハ→チョイール→サインシャンド→ザミンウッド
(中国国境)
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1,041
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*首都間連絡
*工業中心地/農業集積地連絡
*主要港湾連絡
*コンテナターミナル連絡
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AH4
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ウランバイシント(ロシア国境)→ホフト→ヤランタイ(中国国境)
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725
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*工業中心地/農業集積地連絡
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AH32
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ノムロッグ(中国国境)→スンベール→チョイバルサン→オンドルハン→バガヌール→ナライハ→ウランバートル→テッセツレッグ→ウリアスタイ→ホフト
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2,520
|
*工業中心地/農業集積地連絡
*主要港湾連絡
|
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合計
(3 路線)
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4,286
|
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データ出典:Asian Highway Database 2005
これら3本のアジアハイウェイ路線の道路状況は表-2に示すとおりである。この表からも明らかなように、モンゴルのアジアハイウェイ路線は、現段階ではインフラ開発省がミッシングリンクと称している通年通行可の土道が約72%を占めており、これらの未整備区間の整備が大きな課題である。
表-2 モンゴルのアジアハイウェイ路線の現状
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総延長
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舗装道路
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未舗装道路
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未開通
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路線番号
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(km)
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2車線
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1車線
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砂利道
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土道
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区間
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以上
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通年可
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四駆可
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AH3
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1,041
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386
|
-
|
-
|
655
|
-
|
-
|
AH4
|
725
|
11
|
-
|
139
|
575
|
-
|
-
|
AH32
|
2,520
|
403
|
-
|
277
|
1,840
|
-
|
-
|
合 計
|
4,286
|
800
|
-
|
416
|
3,070
|
-
|
-
|
比 率
|
100%
|
18.7%
|
-
|
9.7%
|
71.6%
|
-
|
-
|
データ出典:Asian Highway Database 2005
日本の援助動向、日本との関係
モンゴルに対する日本の援助の推移を表-3及び図-1に示す。モンゴルは旧東側諸国の社会主義体制崩壊とともなって、それまでの援助国を失い、経済情勢が悪化した。このような状況下で、モンゴルに対する日本の援助は1991年に本格的に開始され、現在ではDAC加盟国の中で日本の援助額が1位になっている。
表-3 モンゴルに対する日本の援助の推移 (支出純額、単位:百万ドル)
年
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贈 与
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政府貸付
|
合 計
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無償資金協力
|
技術協力
|
計
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支出総額
|
支出純額
|
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1990
|
0.32
|
1.37
|
1.70
|
-
|
-
|
1.70
|
1991
|
20.98
|
3.29
|
24.27
|
24.47
|
24.47
|
48.74
|
1992
|
25.46
|
6.01
|
31.47
|
12.19
|
12.19
|
43.67
|
1993
|
18.51
|
16.91
|
35.42
|
22.12
|
22.12
|
57.53
|
1994
|
45.71
|
23.04
|
68.75
|
2.33
|
2.33
|
71.08
|
1995
|
54.95
|
30.18
|
85.13
|
14.80
|
14.80
|
99.93
|
1996
|
48.91
|
24.78
|
73.70
|
30.05
|
30.05
|
103.75
|
1997
|
46.10
|
19.18
|
65.28
|
12.70
|
12.70
|
77.98
|
1998
|
38.22
|
21.30
|
59.51
|
34.48
|
34.48
|
93.99
|
1999
|
36.40
|
24.43
|
60.83
|
33.18
|
33.18
|
94.02
|
2000
|
59.61
|
26.31
|
85.92
|
18.59
|
18.59
|
104.51
|
図-1 モンゴルに対する日本の援助の推移
また、モンゴルの道路整備に対する日本の協力実績を表-4に示すが、モンゴルの道路整備に対する日本の援助は4案件で、1994年度からにモンゴルに対する初めての道路整備関連の無償資金協力案件が実施され、引き続きウランバートル市内の道路改良のための開発調査が実施された。
なお、前述の道路改良に関し、日本の無償資金協力により、ナライハ~エルデネ・ソム間において、モンゴル人道路技術者の施工能力向上のために、道路の試験施工が行われ、日本の建設業者が道路局の技術者とともに道路の建設を行い、OJTを通じて技術移転を図った。また、同プロジェクトでは、慢性的なビチュメ不足の対応策として、天然アスファルト(ロックアスファルト)の利用による試験舗装も行われ、その区間の舗装に関しては、施工、耐久性共に高く評価されている。
表-4 モンゴルの道路整備に対する日本の協力実績
アジアハイウェイ
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案件名
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援助の種類
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年次
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金額
(百万円)
|
〇
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ウランバートル市道路整備計画調査
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開発調査
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1998-99
|
-
|
〇
|
東部幹線道路建設整備計画調査
|
〃
|
1999-2000
|
-
|
〇
|
ロックアスファルト舗装道路建設計画
|
無償資金協力
|
1994-97
|
2,638
|
〇
|
ウランバートル市道路整備計画
|
〃
|
2000
|
1,643
|
|