アジアハイウェイ路線とその現状
ベトナムでは、南北統一前の南ベトナム政権がアジアハイウェイ・プロジェクトに参画していたが、南北統一後、新ベトナム政府はアジアハイウェイ・プロジェクトへの参画を行っていなかった。しかし、ドイモイ政策による市場経済導入によって交通が増加し、ラオスとの交流が活発化していることから、ベトナム政府は1991年にアジアハイウェイ・プロジェクトに参画することとなった。
従って、1993年のアジアハイウェイ・ネットワークの見直しにおいては、旧南ベトナムに設定されて路線の見直し、ならびに旧北ベトナムへの新規路線の設定が行われた。更に、2002年5月のネットワーク見直しのための専門家会合において、東西回廊路線がAH16、中国側代表からの提案でハノイと昆明を結ぶ路線がAH14として新たに設定された。また、ハノイから広州に向かう路線もAH1の延伸として設定された。さらに、ベトナム代表の提案によるビエンホアから近年建設されたブンタウ港までのAH17の延伸も承認された。表-1にベトナムのアジアハイウェイ路線の概要を示す。
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表-1 ベトナムのアジアハイウェイ路線
路線番号
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起 終 点
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延長(km)
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選定基準
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AH1
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フーンギ(中国国境)→ハノイ→ボット→ドンホイ→ダナン→アンニョン→ホーチミン→モクバイ(カンボディア国境)
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1,977
|
*首都間連絡
*工業中心地/農業集積地連絡
*主要港湾連絡
*コンテナターミナル連絡
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AH13
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ハノイ→ホアビン→テイトラン(ラオス国境)
|
521
|
*工業中心地/農業集積地連絡
*主要港湾連絡
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AH14
|
ハイフォン→ハノイ→モクバイ(中国国境)
|
446
|
*工業中心地/農業集積地連絡
*主要港湾連絡
*コンテナターミナル連絡
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AH15
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ボット(ビン近郊)→カウトレオ
(ラオス国境)
|
85
|
*工業中心地/農業集積地連絡
*主要港湾連絡
|
AH16
|
ドンハ→ラオバオ(ラオス国境)
|
84
|
*工業中心地/農業集積地連絡
*主要港湾連絡
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AH17
|
ボット→プライチューホーチミン→ブンタウ
|
961
|
*工業中心地/農業集積地連絡
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合計
(6 路線)
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4,074
|
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データ出典:Asian Highway Database 2005
これら6本のアジアハイウェイ路線の道路状況は表-2に示す。この表からも明らかなように、ベトナムのアジアハイウェイ路線の2/3は2車線以上の舗装道路であるが、その反面AH13及びAH17の大半の区間は路面状態が悪い。
表-2 ベトナムのアジアハイウェイ路線の現状
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総延長
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舗装道路
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未舗装道路
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未開通
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路線番号
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(km)
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2車線
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1車線
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砂利道
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土道
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区間
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|
以上
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通年可
|
四駆可
|
|
AH1
|
1,977
|
1,977
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
AH13
|
521
|
87
|
-
|
434
|
-
|
-
|
-
|
AH14
|
446
|
260
|
186
|
|
|
|
-
|
AH15
|
85
|
20
|
65
|
-
|
-
|
-
|
-
|
AH16
|
84
|
-
|
84
|
|
|
|
-
|
AH17
|
961
|
354
|
240
|
367
|
-
|
-
|
-
|
合 計
|
4,074
|
2,698
|
575
|
801
|
-
|
-
|
-
|
比 率
|
100%
|
66.2%
|
14.1%
|
19.7%
|
-
|
-
|
-
|
データ出典:Asian Highway Database 2005
日本の援助動向、日本との関係
日本のベトナムに対する協力は、改革・開放化政策を積極的に支援していくという基本的立場で1992年から本格的に再開された。その後もIMF延滞債務解消においても主導的な役割を果たし、97年12月の援助国会議では、援助国中最大の約975億円の支援表明を行った。表-3及び図-1にベトナムに対する日本の援助の推移を示す。
表-3 ベトナムに対する日本の援助の推移 (支出純額、単位:百万ドル)
暦年
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贈 与
|
政府貸付
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合 計
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無償資金協力
|
技術協力
|
計
|
支出総額
|
支出純額
|
|
1990
|
-
|
1.31
|
1.31
|
-
|
-
|
1.31
|
1991
|
0.17
|
6.93
|
7.10
|
-
|
-
|
7.10
|
1992
|
0.21
|
5.22
|
5.43
|
359.20
|
275.81
|
281.24
|
1993
|
8.31
|
13.25
|
21.56
|
-
|
-10.10
|
11.47
|
1994
|
58.76
|
30.84
|
89.60
|
0.84
|
-10.14
|
79.46
|
1995
|
98.66
|
45.70
|
144.36
|
37.76
|
25.83
|
170.19
|
1996
|
46.37
|
46.67
|
93.04
|
38.13
|
27.81
|
120.86
|
1997
|
79.08
|
54.35
|
133.43
|
108.36
|
99.06
|
232.48
|
1998
|
55.46
|
45.98
|
101.44
|
293.34
|
287.18
|
388.61
|
1999
|
84.87
|
61.66
|
146.53
|
540.54
|
533.46
|
679.98
|
2000
|
41.52
|
91.49
|
133.01
|
798.21
|
790.66
|
923.68
|
図-1 ベトナムに対する日本の援助の推移
ベトナムの道路整備に対する日本の協力実績を表-4に示すが、ベトナムに対する協力は1992年から本格的に開始されたにもかかわらず、既に開発調査、無償資金協力、有償資金協力案件も進行中であり、今後道路整備に対する協力が増加するものと予想される。
表-4 ベトナムの道路整備に対する日本の協力実績
アジアハイウェイ
|
案件名
|
援助の種類
|
年次
|
金額
(百万円)
|
○
|
北部地域総合交通システム開発調査
|
開発調査
|
1991-94
|
-
|
|
国道18号改修計画
|
開発調査
|
1994-95
|
-
|
○
|
ハノイ市都市交通計画
|
開発調査
|
1994-96
|
-
|
○
|
中部ベトナム地域総合開発
|
開発調査
|
1995-96
|
-
|
○
|
運輸交通開発戦略調査
|
開発調査
|
1999-2000
|
-
|
○
|
紅河橋(タインチ橋)建設計画調査
|
開発調査
|
1997-2000
|
-
|
|
カントー橋建設計画調査
|
開発調査
|
1997-2000
|
-
|
|
北部地方橋梁改善計画
|
無償資金協力
|
1995-97
|
923
|
○
|
国道5号線改善計画
|
有償資金協力
|
1993-95
|
5,470
|
○
|
国道1号線橋梁復旧計画
|
有償資金協力
|
1993-95
|
8,808
|
|
国道1号線橋梁復旧第2計画(第2期)
|
有償資金協力
|
1996
|
2,239
|
○
|
ハイヴァン・トンネル建設事業
|
有償資金協力
|
1996-
|
5,500
|
|
国道10号線改善計画
|
有償資金協力
|
1997
|
17,742
|
|
国道18号線改善計画
|
有償資金協力
|
1997
|
11,863
|
○
|
国道1号線橋梁リハビリ計画(第II期-3)
|
有償資金協力
|
1998
|
13,170
|
○
|
ハイヴァン・トンネル建設計画(II)
|
有償資金協力
|
1998
|
10,000
|
|
ビン橋建設事業
|
有償資金協力
|
1999
|
8,020
|
|
国道10号線改善計画(第2期)
|
有償資金協力
|
1999
|
12,719
|
|
国道18号線改善計画(第2期)
|
有償資金協力
|
1999
|
11,586
|
○
|
ハノイ紅河橋(タインチ橋)建設事業(第1期)
|
有償資金協力
|
1999
|
10,000
|
○
|
サイゴン東西ハイウェイ建設事業(第1期)
|
有償資金協力
|
1999
|
4,255
|
|